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    批判され続けたLiverpool主将

    1月19日、アンフィールドでのプレミアリーグ戦(対クリスタルパレス、試合結果はLiverpoolが4-3で勝利)で、クラブ史上最も成功を収めた監督として今でも話題に上るボブ・ペイズリーの生誕(1919年1月23日)百周年を記念するモザイクなど様々なイベントが行われた。

    その一つとして、ペイズリーの下で主力として黄金時代を作った選手の一人であり、現在はアナリストとして活躍しているロニー・ウィーランのインタビューがあった。その中で、ウィーランが自分の現役時代の、あまり良くない思い出を明かした場面があった。アイルランドのダブリンからLiverpool入りしたウィーランは、1979から1994年にかけて通算362試合でリーグ優勝6回、リーグカップ3回、ヨーロピアン・カップ(CLの前身)1回、FAカップ2回と華々しいトロフィーを勝ち取った。しかもFAカップ2度目の1989年は、主将としてひのき舞台に立った。

    「Liverpool入りして2年目、ボブ(ペイズリー)が監督だった時だが、私はいつもファンから批判の的にされていた。でも、私は毎試合出ていた。正直、批判される理由が理解できなかった。チームメートも監督も、私を評価してくれていたのに」。

    当時すでに大人だったベテラン・ファンは、ウィーランの言葉に頷いた。「私はウィーランを評価する側だったが、批判者は確かに少なくなかった。思い余って私はある日、ウィーランのどこが悪いのか?と彼らに質問した。ところが彼らは、数分考えた末に明確な答えが出なかった。その挙句に、『ウィーランはグレアム・スーネスでもないしケニー・ダルグリーシュでもないから』と言い放った」と、そのファンは苦笑した。

    「今のジョーダン・ヘンダーソンが受けている扱いは、当時のウィーランと全く同じ。もちろんトロフィーの数は違うが、どんなに良いプレイをしても批判者はひるまない。批判の理由が『ヘンダーソンはスティーブン・ジェラードではないから』というところが、まさに同じ」。

    2018年の夏に、Liverpoolがナビ・ケイタとファビーニョを多額の移籍金で獲得した時に、それらアンチ派は、「ヘンダーソンはベンチに格下げになるだろう」と自明のごとく唱えた。ユルゲン・クロップは、Liverpoolが大きな目標を達成するためには試合に出ている11人だけでなく、25人の全選手が主力となり力を合わせて勝てるチームになる必要がある、と繰り返し主張したにもかかわらず、決して少なくない人々が、「理解不能な理由で」ヘンダーソン批判を唱え続けた。

    「ケニー・ダルグリーシュ、ブレンダン・ロジャーズ、ユルゲン・クロップ、ガレス・サウスゲートら複数の監督が評価している側面を、無視して批判し続ける人々は、何があっても批判をやめない」と、そのファンは首を振った。

    しかし、それら批判者ですら、Liverpoolが最後にタイトル争いに参戦した2013-14季に、ヘンダーソンが果たした役割については(しぶしぶ)認めていた。残り4試合の時点でマンチェスターシティに3-2と勝った試合で、ヘンダーソンが退場となり3試合出場停止を食らったことが敗因だったとは、多くの人が一致するところだった。

    同じ行方を辿りつつある今季、ヘンダーソンが5年前のピッチ内外の苦しい戦いについて明かした。2013年秋に、お父さんが喉のがんと診断された時のことだった。監督から「必要なだけ休みなさい」と言ってもらったが、お父さんは「フットボールに専念しなさい」と言ったのだった。警察官だったお父さんを慕って育ったヘンダーソンは、苦しんだ末に、お父さんの言葉に従うことにしたと言う。

    「治療に苦しむ姿を見て、僕が心配するだろうと思ったから、来るなと言ったと思う。だから僕は、良い試合をしようと必死になった。お父さんが見ていることが分かっていたから。僕が頑張ってチームが勝てば、お父さんは安心して治療に臨めるだろうから、と」。

    その決意をピッチの上で表現したヘンダーソンは、Liverpoolのタイトル争いに不可欠なキーとなった。幸いお父さんは回復し、昨年のCL決勝戦もキエフまで見に来れるまでになった。

    今季はW杯の後遺症や軽傷のためスタートはもたついたが、徐々に主力として存在感を発揮しているヘンダーソンは、特にブライトン戦(試合結果は1-0でLiverpoolの勝利)とクリスタルパレス戦ではマン・オブ・ザ・マッチの活躍を見せた。5年ぶりのタイトル争いに主将としての役割を果たしている状況について、インタビュアーから好意的な質問を受けて、ポツリと言った。

    「僕は、人々から批判されればされるほど、見返してやろうと意欲に燃える方で、批判されるのは歓迎。逆に、褒められるのが苦手。プロ生活を通してずっと批判され続けているから、批判には慣れている」と、ヘンダーソンは苦笑した。

    「正直、どんなに批判されても気にしない。監督が言うことだけを真剣に聞く」

    例外的な選手の記録的な契約更新

    1月18日、青天のへきれきのごとく、アンディ・ロバートソンが5年間の契約更新にサインしたという朗報が流れた。「近々にどこかに行ってしまうような危惧は特になかったが、でも、最高のニュースだ」と、Liverpoolファンは誰もが一斉に歓声を上げた。

    2017年夏に降格したハル・シティから£8m(追加金が加算されて約£10m)の移籍金でLiverpool入りし、通算77試合に達した時点での昇給&契約延長だった。

    昨季後半にレギュラーの座を確保し、初シーズンを終える頃にはファンの一番人気の選手となったロバートソンは、その勢いをそのまま持続する安定したプレイで、誰からも「Liverpoolのチームシートに真っ先に乗る人物」と言われるようになった。

    その過程で、ニュートラルな立場のアナリスト、ライバルチームの関係者など様々な人々の評価を次々に塗り替えさせてきた。例えば、元マンチェスターユナイテッドの人気アナリストであるガリー・ネビルは、「ロバートソンを過小評価していた自分の見解は致命的に間違っていた」と、真っ先に反省を表明した。

    12月18日に解任されたジョゼ・モウリーニョの、マンチェスターユナイテッド監督としての最後の言葉は、「アンディ・ロバートソンの短距離走を90分見せられて疲れた」と、ロバートソンへの脱帽だった。

    その点ではユナイテッド・ファンもモウリーニョと同期を取っていた。「1年前の今頃は、ルーク・ショーとアンディ・ロバートソンを比べるなど笑いものだった。今では全く逆の意味で嘲笑ものだ」と、誰もがロバートソンの圧倒的な優位を認めていた。

    BBCのガース・クルックスは、1月4日のチーム・オブ・ザ・ウィークにロバートソンを選出した。Liverpoolが今季プレミアリーグ初敗戦を食らったマンチェスターシティ戦(試合結果は2-1)の翌日だった。「私のチーム・オブ・ザ・ウィークに、負けたチームのディフェンダーが入るということは通常はあり得ない。でも、例外が必要になることがある。ロバートソンは例外的な選手だから、例外措置を取るにふさわしい」と、説明が添えられていた。

    同じくBBCのアナリストとして活躍する元エバトンのケビン・キルバーンは、更に断定的だった。「ロバートソンは今のプレミアリーグのベスト・レフトバック。攻撃力も優れているし、守りは完ぺき。そんな選手が、わずか£10mそこそこの移籍金で取れたなんて!」。

    元Liverpoolながら、ジェルダン・シャキリ批判を繰り返してLiverpoolファンの神経を逆なでしたチャーリー・アダムは、「ハル・シティが降格した時に、僕はクラブ(ストーク)に対してロバートソンを取るように懇願した。でも、決断が遅れているうちにLiverpoolに取られてしまった。今ではロバートソンは£50mは下らないだろう」と、自らの先見の明を主張した。

    アダムの絶賛にLiverpoolファンは、「先日のCIESの評価額では£72mだった。しかも、更新版の数字が出る度に上がっている」と、微笑んだ。そして、その評価額が純粋な卓上の金額であることを、誰もが確信していた。「Liverpoolについて感謝と意欲の言葉しか出さないロバートソンは、この先何年もLiverpoolの重要な戦力として活躍してくれるに違いない。Liverpoolが黄金時代を築くにはスコットランド人選手が不可欠と言われたように、クラブ史上に残る偉大なスコットランド人であるサー・ケニー・ダルグリーシュやアラン・ハンセンのように、マージーサイドに帰化するまでになって欲しい」。

    ファンの祈りを裏付けるかのように、ユルゲン・クロップがロバートソンの契約更新について、「私が監督として関わってきた契約更新の中で、史上最短記録とも言える程に簡単に終わった」と語った。「契約更新の話を持ち出した時、ロバートソンは数秒後にサインしていたのだから」。

    「2017年の夏に、彼を獲得した時のことを良く覚えている。プレミアリーグに到達するまでのロバートソンの『ジャーニー』を聞いて、私は心から感銘を受けた。こんな選手ならば絶対に戦力になってくれるだろうと確信した」と、クロップはさらに笑顔を深めた。「18か月後に、すでに私の期待をはるかに上回る選手になってくれた」。

    クロップの証言通り、契約更新には全く躊躇しなかったと語ったロバートソンは、ファンに対する感謝を強調した。「ファンがスタンドで選手の歌を歌う時、その選手にとってはどれだけ大きな励ましになることか。それはどの選手も同じ。先日はフィルジル・ファン・ダイクが控室で自分の歌を歌っていた。ものすごく気に入っている、と言いながら。僕も、ファンが自分の歌を歌ってくれるのを何度も聞いて、その度に力がみなぎるのを感じる」。

    「ファンはロバートソンのことを熱烈に好きだし、ロバートソンも同じくらいファンのことを好いている」と、クロップは語った。「本人もご家族もマージーサイドにしっかり落ち着いているし、ここでの生活が数年延長されたことは、皆にとって良いことだと思う」。

    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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