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    30年間の悲願が達成された日

    6月25日、スタンフォードブリッジでチェルシーがマンチェスターシティに2-1と勝って、Liverpoolのプレミアリーグ優勝が正式に決定した。残り7試合での優勝決定は、イングランドのトップ・ディビジョン史上記録だった(※)。
    ※これまでの最短は、残り5試合で優勝を決めた2000-01季のマンチェスターユナイテッド、2017-18季のマンチェスターシティ。

    イングランドのメディアは一斉に、Liverpoolの30年ぶりのリーグ優勝のニュースを掲げた。そのうちの一つ、BBCは「30年間の悲願」という見出しで、最後の優勝シーズンだった1990年から今季までの30年間に起こった出来事を振り返った。

    「1990年5月にLiverpoolがリーグ優勝した時、誰もが定例行事と受け止めた。それはLiverpoolにとっては過去18年間で11回目のリーグ優勝だったから。以来、通算238人の選手がLiverpoolの19回目の優勝を目指した。次の優勝までに30年もかかるとは誰も思わなかった」。

    並行して、ブリーチャー・レポートが「Liverpoolの30年間の悲願」というタイトルの、1分間の動画を流した。1990年に、お父さんに連れられてアンフィールドに向かう少年の姿で始まるその動画は、少年が成長し、お父さんと肩を並べてアンフィールドに通う姿に変わった。お父さんは次第に年を取り、少年はお父さんの車いすを押してアンフィールドに通うようになった。マンチェスターユナイテッドがヘッドラインを独占したニュースを背景に、お父さんは天国へと行ってしまい、少年は1人でアンフィールドに通う。その後、奥さんと一緒にアンフィールドに通うようになった少年は、2020年には娘を連れてアンフィールドに向かった。

    この動画を見て涙をこらえたLiverpoolファンは、BBCの記事を神妙な表情で見つめた。

    「2019-20季、対戦相手を片っ端から降参させたLiverpoolは、誰の目にも無敵の王者だった。唯一、Liverpoolをストップさせたのは、世界を襲ったパンデミックだった」。

    プレミアリーグが中断していた3か月余りの間に、世間の状況はめまぐるしく変動した。一時期は、「試合の再開は無理。30年ぶりの優勝にあと一歩に迫っているLiverpoolには気の毒だが、シーズンを中止し、2019-20季を無効とすべき」という声が、中立のメディアやアナリストの間で圧倒的多数を占めた。

    Liverpoolファンは、「97ポイント取りながら優勝できなかった昨季の後で、今季この戦績で、シーズンが無効で終わるなどと考えられない」と、ひたすら祈った。

    昨季は97ポイントの快挙が空手で終わってしまったプレミアリーグの失意を跳ね返して、クロップが「メンタリティ・モンスター」と表現した通り、チームはCL優勝を達成した。

    この30年間でCL優勝2回の記録は、ファンにとって誇りだった。ライバル・ファンが「チャンピオン(※リーグ優勝)になったことがないチームが『チャンピオンズ』リーグ(CL)で優勝するとは矛盾では?」と、嫌味のジョークを発するのを見て、Liverpoolファンは、「嫉妬だ」と冷笑してきた。しかし、CL(ヨーロピアン・カップ)通算6回優勝のうち、最初の4回(1977、1978、1981、1984)は、文字通りリーグ優勝チームのみが出場するフォーマットだったことは、誰もが認識していた。

    その30年間に、2位で終わったシーズン(2002、2009、2014)は、その翌季または翌々季に監督が交代し、ゼロからスタートするサイクルを辿った。「あと一歩で優勝を逃した」後の立て直しがいかに困難か、この30年間を見てきたファンは痛い程実感していた。

    それだけに、クロップと「メンタリティ・モンスター」たちの偉業は顕著だった。

    チェルシー対マンチェスターシティの試合の後で、スカイスポーツは、レギュラーのジェイミー・キャラガーに加えて、70-80年代の立役者だったサー・ケニー・ダルグリーシュ、グレアム・スーネス、フィル・トンプソンがリモートで出演し、Liverpoolの優勝の特集番組を放映した。Liverpoolのチーム一行は、前日のクリスタルパレス戦(試合結果は4-0でLiverpoolの勝利)のウォームダウンでホテルに戻った後で、半日滞在を延期してチーム全員でこの試合を見ることにしたという。

    インタビューに駆り出されたクロップは、Liverpoolのレジェンドからのお祝いに答えて、「あなた方がこのクラブの歴史を作ったのです。そして、ビル・シャンクリー、ボブ・ペイズリー、ジョー・フェーガンという人々が。そして、スティーブン・ジェラード。20年近くもの間、このクラブの歴史を担いだ。私にとっては、そのクラブの歴史があったから、選手たちにモチベーションを与えることは簡単でした」と、語った。

    「あなた方は30年間待ったのですからね」。クロップの目は、明らかに湿っていた。

    「ファンの方々に喜んでもらえていると思うと、ひとえに嬉しい。この優勝はあなた方のためのものです。ロックダウン中で一緒に祝えないけど、ファンの方々とは心でお祝いを共有しています。30年間の重荷を肩から降ろして、力を合わせて今回の歴史を作ったファンの方々と、共に祝っています」。


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    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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