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    ジニのパワフルなメッセージ

    6月1日、プレミアリーグのチーム全体トレーニングが解禁になった初日に、Liverpoolのチーム一行がアンフィールドのセンターサークルに並び、片膝をついている写真が全国メディアのヘッドラインを飾った。これは、5月25日にアメリカ合衆国のミネアポリス近郊で発生した人種差別殺人事件(※)に際して、Liverpoolのチーム全体が団結してアンチ人種差別を訴えたもので、BBCなど一般メディアは、スポーツニュースではなく社会ニュースのトップに掲げた。

    ※黒人ジョージ・フロイドが4人の警官に捉えられた時に、うち1人の白人警官がフロイドの首を9分間に渡りひざで押し付け、死亡させた事件。これは、一連の動きを録画した動画が世界中で報道された。その白人警官は解雇され、過失致死の罪で逮捕された。直後に、過失致死(3種)から殺人罪(2種)への変更と、残り3人の警官の逮捕を求めて、ミネアポリスを始め、合衆国各地で抗議デモが行われた。

    「2016年の人種差別殺害事件の時に、サンフランシスコ・フォーティーナイナーズのコリン・キャパニックが、NFLの試合前の国歌演奏の時に、『人種差別殺人を容認する権力』として起立を拒否し、片膝をついたことが発端で、以来、この姿勢はアンチ人種差別の象徴となった」と、BBCは説明した。

    5月30,31日のブンデスリーガで、ジェイドン・サンチョら数人の黒人選手がゴールの時にシャツを脱ぎ、「ジョージ・フロイドに正義を」と書かれたメッセージを表示したことが伝えられていた。「今回のLiverpoolは、初めてチーム全体でアンチ人種差別を訴えた」と、BBCは伝えた。

    英国のアンチ人種差別団体「キック・イット・アウト」が即座に、「ヨーロピアン・チャンピオンであり、ワールド・クラブ・チャンピオンのLiverpoolが、チーム全体で宣言したことは大きな意味を持つ」と表明した。「プレミアリーグが再開した時には、全クラブの選手たちが試合前に片膝をついて欲しいと願う」。

    その翌日には、ニューカッスルとチェルシーがチーム全体で片膝をつく写真を掲げた他、プレミアリーグ各クラブの多数の選手たちや、フットボール界だけでなく、F1のルイス・ハミルトンや各界の有名人が続々と、アンチ人種差別を唱えるメッセージを表明した。

    世界中の訴えの中で、ジョージ・フロイドを致死させた警官の罪状は殺人罪となり、3人の警官が共犯で逮捕された。NFLのチーフが、「2016年に片膝をついた選手を批判したことは過ちだった」と謝罪した。最初の頃には街中の商店街を破壊するなどの暴動に発展していた合衆国の抗議デモは、間もなく完全な平和デモとなった。

    Liverpoolのチーム一行が、6月1日に晴天のへきれきのごとく片膝をついている写真を公開した時に、デイリー・スター紙が、「ジニ・ワイナルドゥムとフィルジル・ファン・ダイクが発起人となり、Liverpoolの選手全員とユルゲン・クロップやコーチ陣全員が賛成して実行に移されたらしい」という記事を掲げた。

    ジニが初めてアンチ人種差別を大声で唱えたのは、昨年11月のインターナショナル・ウィーク中のことだった。オランダ2部リーグで人種差別事件(※)が発生した直後のことで、「オランダでこのような事件が起こるとは、予想すらしなかっただけにショックだった」とジニは語った。
    ※SBVエクセルシオールの選手アフメド・メンデス・モレイラが、試合中に相手スタンドから人種差別的野次を受けて、試合が一時中断した事件。

    そして、11月20日のユーロ予選(対エストニア、試合結果は5-0でオランダの勝利)で、ゴールを決めた時にジニは、チームメートのフレンキー・デ・ヨング(白人)と一緒に腕を差し出すという動作で、アンチ人種差別を宣言したのだった。

    「もし自分が試合中に人種差別的野次を受けたとしたら、僕はピッチを去る。無視して試合を続けていれば、野次を飛ばしている奴らは『やってもいいんだな』と思って続けるだろうから」と、ジニは語った。これは、マリオ・バロテッリが試合中に人種差別的野次を受け、ピッチを去ろうとした時に、ブレシアのチームメートが引き留めた事件について意見を問われたものだった。「あの事件を見て、僕はいら立ちを禁じ得なかった。バロテッリがどんな気持ちでいるか、何故チームメートは分かってあげないのか、と」。

    「僕がその立場に立った時には、オランダ代表チームでもLiverpoolでも、チームメートは理解してくれると信じている」。

    そして6月1日、Liverpoolのチーム一行は、ジニの信頼に応えたのだった。

    「パワフルなメッセージだ」と、Liverpoolファンはチームに向かって強い拍手を送った。「ピッチ内だけでなく、ピッチ外でもこのチームは、一致団結して自分たちの信念を貫いている。まさに世界のベスト・チームだ」。

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    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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