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    2人目のスカウサー

    2月4日のFAカップ4回戦再試合は、事前に飛び交った世間の猛批判を笑い飛ばすかのように、Liverpoolのアンダー23チームが、フル・メンバーで臨んだ3部のシュルーズベリータウンを1-0と破って5回戦出場を勝ち取った。

    ファースト・チームの全員がプレミアリーグの中休みに入り、この試合はアンダー23チームが出場するという決定については、Liverpoolファンの間でも議論が交わされた。誰もが「ユルゲン・クロップの判断を全面的に支持する」という結論に達したが、そこに至るまでに様々な意見が上がった。

    ひとつには、FIFAクラブ・ワールド・カップとバッティングしたために、同じくアンダー23チームで臨み、アストンビラの(ほぼ)ファースト・チームに5-0と敗退した12月のリーグカップ準々決勝の記憶があった。「あの時と比べて、プレミアリーグの行方も変化していることだし、FAカップも本腰を入れたかった」と、ぼやく声は少なくなかった。また、「クロップを始め、プレミアリーグの毎試合で全力を尽くして心身ともに疲労を溜めている主力選手たちは、もちろん休むべきだ。ただ、負傷明けなどの理由で試合に出て調整すべき選手は例外措置とした方が良いと思う」という現実的な声もあった。

    そんな中で、「アンダー23チームが負ける前提で考えるのは間違い」と、強調したファンは説得力があった。「ビラ戦では、アンダー23チームの主力であるカーティス・ジョーンズとネコ・ウィリアムズがファースト・チームと一緒にカタールに行ってしまったことで、いつもの戦力ではなかった。何より大きいのは、アンフィールドだということ」。

    ファンの期待に応えるかのように、Liverpoolのクラブがチケット価格の大幅引き下げを発表した。アウェイ・スタンドも含め全スタンド統一価格で、大人£15、ヤングアダルト£5、ジュニア£1という破格の設定は、「プレミアリーグの試合は価格(※平均で£50程度)に加えて、チケット入手困難と諦めていたが、この試合は子どもたちを連れて行くいい機会だ」と、特に地元のファンの大歓迎を誘い、満員のスタンドとなった。

    「アンフィールドで、5万人の素晴らしいファンの声援を背に、試合が出来たとは、まさに夢の実現だった」と、アンダー23チーム主将で、この試合ではLiverpoolの主将として、クラブ史上最年少記録を塗り替えたカーティス・ジョーンズが、頬を染めて語った。

    今季12月のボーンマス戦(試合結果は3-0でLiverpoolの勝利)でプレミアリーグ・デビューを飾ったジョーンズは、リバプール市出身で、1月に19歳になったばかりだった。そして、ユースチームの試合を見て有望若手発掘にいそしむ地元の熱心なファンの間で、ジョーンズの名前が頻繁に上がるようになったのは、2017-18季のことだった。

    それは、当時アンダー18チームの監督だったスティーブン・ジェラードの言葉とも同期を取っていた。トレーニングを見に来たスティーブン・ウォーノックが、「あの10番の選手は誰?」とジェラードに尋ねたところ、「カーティス・ジョーンズ。トップ・プレイヤーになる素質は全て持っている若者だ。正しい態度で成長し続ければ、きっと大物になる」と答えたという。

    そのエピソードは、スカイスポーツのハイライト番組でウォーノックが明かしたものだった。FAカップ3回戦マージーサイドダービー(試合結果は1-0でLiverpoolの勝利)で決勝ゴールを決めたジョーンズが、全国メディアでも話題に上り始めた時のことだった。

    「ジョーンズは、ファースト・チームの選手がアンダー18チームでトレーニングしているかのような印象を受けた。それほど秀でていた」と、ウォーノックは語った。

    若手にチャンスを与えることでは定評のあるユルゲン・クロップが、ジョーンズの才能を見逃すはずがなかった。「カーティスは正統派スカウサーだ。人前でも臆さずに自分の意見を表明する。眉を吊り上げる人もいるようなことを、ずばっと言うこともある。ただ、チーム内のルールを尊重していることは確かだし、その上で自分に自信を持っているのは良いことだ」と、クロップが言ったのは、2018年夏のことだった。

    そして、プレミアリーグでファースト・チームのベンチに入り、カップ戦で主力として頭角を現し始めた今季、クロップは語った。「私はカーティスを3年半見ている。彼は良い方向に向かっているし、大きなステップを踏んだ。このまま進めば、間違いなくLiverpoolの戦力になるだろう」。

    ファンの間では、ジョーンズについて「アンダー18チーム監督時代のジェラードと、当時のクロップの言葉を総合すると、素質は間違いないが態度に関しては要注意だったように感じる」と、小声で交わされることがあった。それが今は、「その点も含めて成長した成果が、今出ているのだろう」という純粋な期待に変わった。

    「ファースト・チームのレギュラーに2人目のスカウサーが誕生する日も近い」と、ファンは笑顔を浮かべた。

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    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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