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    ダビデとゴリアテ

    クリスマス時期の過密日程が明けた1月中旬に、プレミアリーグの各チームで、複数の主力選手を負傷で失う事態が議題に上がった。どのチームも過密日程の最中に負傷者を抱えることになった状況に、多くのメディアがイングランドのリーグ日程に疑問を投げかけた。少なくない全国紙が、トットナムのハリー・ケインとマンチェスターユナイテッドのマーカス・ラッシュフォードを特記し、「ユーロ2020で、イングランド代表チームはストライカー不足に見舞われる」と危機説を唱えた。

    それを背景に、1月25日の週末のFAカップ戦の記者会見で、マンチェスターシティのペップ・グアルディオーラが、「ケインとラッシュフォードの負傷は気の毒だと思う。二人とも素晴らしい選手で、負傷欠場すればプレミアリーグ全体にとっての損失だから。でも、中2-3日で試合を重ねれば、このような事態は避けられない。成功を収めるプレッシャーは多大だ。選手は毎試合に全力で臨むことが必須で、体は悲鳴を上げていても戦い続ける。その結果、倒れてしまう」と、カップ戦を含めて全体の試合数と日程の見直しを改めて主張した。

    「イングランドのカップ戦は伝統があり、私は敬意を抱いている。その前提で見解を言うと、選手を負傷から守るためにも、試合数を減らして欲しいと願っている」。これは、リーグカップ準決勝を1戦に減らし、FAカップの再試合をなくすという、多くの監督が賛同する意見だった。

    その時点で、プレミアリーグの20チームの中で最も試合数が多かったのは、7月からEL予備戦を開始したウルブスの40で、UEFAスーパーカップとFIFAクラブ・ワールド・カップ、コミュニティシールドがあったLiverpoolは38になっていた。

    ヨーロッパの主要リーグがクリスマス時期に中休みを取り入れている中で、イングランドは逆にクリスマス時期に過密日程になる実態に関しては、プレミアリーグがやっと見直すことになった。改善策として、2月8日の週末から2月15日の週末にかけて、シフト制でまる2週間の中休みを実施する措置が今季から開始することになった。

    「2月の中休みの期間中は、選手が確実に休暇に入ることによる体力回復と精神面でのリフレッシュを目的としているため、クラブはその間に合宿とか公式戦または親善試合を行ってはいけない」と、プレミアリーグは2019年4月の時点で、各クラブに通達した。

    その落とし穴が、FAカップ4回戦の再試合だった。1月25日の週末に行われる4回戦で引き分けた場合は、そのプレミアリーグの中休みの間に再試合が日程されていた。つまり、プレミアリーグが禁止している「公式戦」を、FAは義務付けていたのだった。

    ふたを開けると、その落とし穴にはまったのは、プレミアリーグ同士の対戦だったサウサンプトンとトットナム、3部のオックスフォードと再試合となるニューカッスル、そして、3部のシュルーズベリーに2-2と引き分けたLiverpoolの4チームだった。

    「この制度が理解できないが、でも仕方ないと思っている」と、クリスマス時期に4週間程度の中休みを取るブンデスリーガから来たサウサンプトンのラルフ・ハーゼンヒュットルがため息をついた。

    いっぽう、ユルゲン・クロップは、「プレミアリーグの指示に従って、中休みを取る」と、FAカップの再試合にはファーストチームの選手は出さないと宣言した。「ジョーダン・ヘンダーソンら代表選手たちは、夏休みも返上してネーションズ・リーグに出ていたりと、殆ど休めないまま試合に出続けている。その選手たちが確実に1週間の中休みを取ることは絶対に必要だ」。

    クロップの宣言に、世間の意見は二分した。3部のアクリントン・スタンリーのオーナーであるアンディ・ホルトは「FAはLiverpoolを処分すべき」と紛糾した。「ユルゲン・クロップは、再試合にユース・チームを出場させる、つまり、FAカップをないがしろにしている。プレミアリーグのビッグ・クラブがフットボールを自分たちの都合に合わせる横行は、これ以上放置できない」。

    そして、BBCを始め少なくない全国メディアがクロップに賛意を示した。「FAカップ4回戦の再試合を、プレミアリーグの中休みの最中に設定したFAの措置は論外で、クロップがユース・チームを出場させると決めたのは理解できる。ましてや、Liverpoolがこれから最低でも18試合、おそらくもっと多くの試合を残している状況を考えると、監督として正しい結論を下したと言わざるを得ない」。

    トークスポーツが一言付け加えた。「ただ、再試合が必要になったのはLiverpoolの自業自得だが」。

    「ダビデとゴリアテ(※)の反省」という見出しで、リバプール・エコー紙がマン・オブ・ザ・マッチのアドリアンの言葉を掲げた。
    ※少年ダビデが巨人戦士ゴリアテを倒すという旧約聖書『サムエル記』の逸話

    「試合結果は正当だった。PKはボックス外だったが、しかし前半2-0とリードされながら果敢に反撃したシュルーズベリーには脱帽する」と、アドリアンは語った。「我々は、自分たちのプレイを猛反省する必要がある。2点目のオウンゴールで相手が戦意を失ったと、油断が走ったと思う。後半は集中力を欠いた。プレミアリーグで実践しているように、最後まで全力を尽くすことが必要だ」。

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    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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