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    VARに救われた?

    11月23日のセルハーストパークで、Liverpoolはまたも試合終幕85分の決勝ゴールで2-1と勝った。この2-1という僅差の勝利は、今季6回目だった。そして、世間の話題は、42分のパレスの「ゴール」が、直前のプレイでパレスがデヤン・ロブレンに対してファウルがあったとして無効になったVARの判定に集中した。前週のマンチェスターシティ戦(試合結果は3-1でLiverpoolの勝利)で、先制ゴールの前にハンドボール&PKに見えた怪しい場面が、VARにより却下されたという件があっただけに、全国メディアやライバル・チームのファンの間で大騒ぎになった。

    「LiverpoolはまたもVARに救われた!」という見出しが飛び交った。他チームのファンは、「Liverpoolはメディアのダーリンだが、FAもLiverpoolに30年ぶりのリーグ優勝を達成してもらうために、VARを駆使しているように見える」と、皮肉な声を上げた。

    それら騒音を背に、Liverpoolファンは、「今季、唯一ポイントを落としたマンチェスターユナイテッド戦(試合結果は1-1)は、VARの誤判定による失点だったことなど、我々が犠牲になった事例を世の中は忘れているらしい」と苦笑した。

    それでも止まらない世間の非難に辟易しつつ、「幸いなことに、この週末のプレミアリーグの目玉はジョゼ・モウリーニョに集まっているので、我々に対する嫌味の声もすぐに収まるだろう」と、Liverpoolファンはニヤッと笑った。

    その通り、翌日のヘッドラインを独占したのは、ウエストハムに3-2と勝ってトットナム監督としての初戦を飾ったモウリーニョだった。

    「昨年12月にマンチェスターユナイテッドをクビになって以来、1年足らずぶりでプレミアリーグの監督として復帰したモウリーニョは、『自分が最も望むところに戻ってこれた』と、さわやかな笑顔を浮かべた」と、BBCを始め多くの全国メディアは好意的な記事を掲げた。

    いっぽうで、マンチェスターユナイテッドの地元紙マンチェスター・イブニング・ニュースは辛辣だった。「ユナイテッド監督だった時に、フットボールに対する情熱を失った。その時に感じていたストレスが周囲に悪影響を及ぼしたのだろうと思っている。今は幸いなことに、再びフットボールに対する情熱を抱くようになった」というモウリーニョの言葉を引用し、「ユナイテッドの上位スタッフが激怒している。モウリーニョは、飛ぶ鳥跡を濁さない、という言葉を知らないようだ」と、同紙は畳みかけた。

    それは、モウリーニョがトットナムのアカデミーチームを高く評価するコメントを出した時に、「私はこれまで、若手育成とは逆の方針を貫いてきた?そんなことはない。それは私の方針が変わったのではなく、クラブが変わった。私がマンチェスターユナイテッド監督に就任した時、ユナイテッドのアカデミーチームは降格した。つまり、そのレベルの才能しかなかったということだ」と、ユナイテッドの若手をぼろくそに言ったことを指していた。

    マンチェスターユナイテッドのクラブや地元紙から総すかんを食らったモウリーニョに対して、ユナイテッド・ファンの意見は二分していた。昨年12月に、宿敵Liverpoolに3-1と惨敗を食らった直後にクビになったモウリーニョを、少なくないファンが、特に地元の、いわゆる「試合に行くファン」の多数派は支持し続けたのだった。それらファンの言い分は、「実績のある監督も含めて、様々なバックグラウンドを持つ4人の監督がいずれも失敗している理由は、この低迷の原因は監督や選手を取り換えただけでは解決しない、根の深い問題だから」というものだった。

    オーナーのグレイザー・ファミリーは、2005年に£790mの借金をしてクラブを買収し、その借金返済のために、合計£809mのクラブの収益金を償却した。現在でも、その借金の利息だけで週£450,000をクラブが負担しているという。戦力補強などフットボール面を仕切る、専門のディレクターがいないのはビッグ・クラブの中でマンチェスターユナイテッドだけだった。チェアマンのエド・ウッドワードは、有力スポンサー獲得など財政面のスペシャリストで、フットボールの専門家ではない。

    「収益が上がれば左うちわ、勝てるチームにする野望が全くない経営陣の下では、誰が来ても結末は同じ。クラブの体質を変えない限りはチームの将来はない」と、ユナイテッド・ファンは頭を抱えた。

    折しも、ユルゲン・クロップがマンチェスターユナイテッド監督の話を断ったいきさつが、インターナショナル・ウィーク中に再び話題に上ったところだった。ユナイテッドから話が来た時に、奥さんが「このクラブは、あなたには合わない」と反対したという。そして、2015年10月にLiverpoolから誘われたた時に、「このクラブは、この上ない程にしっくり来る」と、OKを出したのもクロップ夫人だった。

    その賢人の言葉がいかに正解だったが、Liverpoolファンは誰もがかみしめていた。「VARに救われた、とは言いがかり。でも、運に恵まれているという指摘は否定できない。なにしろ我々は、クロップが監督でいてくれているという最高の運に恵まれているのだから」。


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    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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