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    ガソリンが切れたフェラーリはいただけない

    11月2日のビラ・パークで、Liverpoolは前半に先制されながら94分のゴールで2-1と逆転勝ちを収めた。2019-18季から通算で、Liverpoolが90分以降に決勝ゴールを決めたのはこれが6回目、しかも僅か3日前にリーグ・カップ4回戦で94分の同点ゴールでアーセナルに5-5、PK戦5-4で勝ち抜いていたばかりのことだった。全国メディアは一斉に、「絶対に負けを受け入れない、メンタリティ・モンスター」と、昨季のユルゲン・クロップの表現を引用して、Liverpoolの精神力を絶賛した。

    いっぽうで、不本意な失点を与えてしまった前半には、「Liverpoolの選手たちの間で口論が飛び交った」という証言がビラのジョン・マッギンから出たのと並行して、クロップも、「前半のわが選手たちのボディ・ランゲージは良くなかった」と、反省点を指摘した。

    「しかし、トレント(アレクサンダー・アーノルド)は勝ちを目指して走り続け、チャンスを作り続けた。それが試合を変えた」と、クロップは、マン・オブ・ザ・マッチの活躍を見せたトレントを誉めた。

    折しも、これはトレントのLiverpoolでの通算100試合目だった。2016年10月にリーグ・カップのトットナム戦(試合結果は2-1でトットナムの勝利)でファーストチーム・デビューを飾り、3か月後にオールド・トラッフォードでプレミアリーグ・デビュー(試合結果は1-1)を記録したトレントは、21歳と4週間という若さでマイルストーンに到達したのだった。

    それは、短期間で多くの業績を積み上げたトレントにとって、新たなステップだった。

    つい先日、10月16日には昨季のプレミアリーグ記録(ディフェンダーとしての最多アシスト12)がギネス・ブック入りし、その5日後にはバロンドールの候補者リスト30人の一人となった。

    元はミッドフィールダーで、Liverpoolのユースチームでフルバックに転向した経歴も手伝って、トレントを「マンチェスターシティのケビン・デ・ブルイネのようなミッドフィールダーに」という説が、元Liverpoolのアナリストやファンの間で、頻繁に飛び交っていた。

    「ファーストチームで出場できるチャンスを得るために、フルバックに進んだ。守りの面では慣れないことが多くて苦戦したが、試合に出たいという意欲が強かったので頑張れた」と、トレントは振り返った。少年時代には、憧れのスティーブン・ジェラードを真似てパスの練習に励んだトレントは、その頃からの積み重ねが実って、今や「フルバックのチャンス・メイカー」として正式に評価を得るに至った。

    次々に到来する報酬に直面し、トレントは、「これをきっかけに、フルバックを目指す少年たちが増えてくれることを願っている」と語った。

    そのトレントを、Liverpoolのアンダー16チーム主将に抜擢し、ファーストチームへと導いた当時アンダー16監督(現ファーストチームのアシスタント)のペップ・リンデルスは、「ガソリンが切れたフェラーリはいただけない。そして、トレントは常に満タンの燃料を積んで突き進んでいる」と、トレントの100出場の誇りを語った。

    「私は15歳の頃のトレントを見て、凄い選手になる潜在能力を感じた。トレーニング中の目は、近い将来にトレントが『新たな攻撃的フルバック』のベンチマークになる、と確信させるものがあった」。

    かくして、リンデルスに見込まれてユース・チームの主将から育ってきたトレントは、ファーストチームでの100試合に際して、自らの将来の目標を改めて表明した。「Liverpoolの主将となること。それは今も変わっていない」。

    メルウッドは目と鼻の先という自宅で育ったトレントは、熱烈なファンであり、唯一のクラブであるLiverpoolの選手としての責任を、深く自覚するに至ったエピソードを明かした。それは、トレントが2年連続CL決勝でスタートした最年少記録を作り、同時にCL優勝選手となった夏のことだった。

    「夏休みのある日、街中に行った時にふとLiverpoolのシャツを着た10歳くらいの少年を見かけた。ちょっと距離があったので、特に何もせずにぼんやり見ていたら、その少年が後ろを振り向いた。なんと、背番号66のシャツだった。アレクサンダー・アーノルド、という名入りの」

    「あの時のことは永遠に忘れないと思う」と、トレントは目を潤ませた。「僕はそれまでに、夢のようなことをたくさん実現していた。アンフィールドで試合に出られたし、本物のスティーブン・ジェラードと会ったし、と。でも、あの66番のシャツを着た少年の姿は僕にとっては最も感動的な出来事だった」。

    「言葉では表現できない。でも、66番のシャツを着ている全ての人々、Liverpoolのシャツを着ている全ての人々に対して、僕は恩返しする責任を背負っているのだと、改めて認識した」。


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    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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