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    クラブでの成功と代表チームでの失意

    インターナショナル・ウィーク明けの9月14日、Liverpoolはアンフィールドでニューカッスルに3-1と勝って、開幕5戦で5勝とプレミアリーグ首位をキープした。この試合では、代表チームで出場した選手数人が大事を取ってベンチで開始した中で、2試合にフル出場した直後のアンディ・ロバートソンは90分プレイした。体力的な疲労だけでなく、スコットランド代表チームで2敗の失意に加えて、主将として母国メディアの集中的批判を受けていたことで、精神的な落ち込みが心配されていたロバートソンは、会心のプレイでそれらの杞憂を吹き飛ばした。

    「辛い日々の後だったので、とにかく試合に出たかった」と、ロバートソンは語った。「スコットランド代表チームの失意から立ち直るためにも、絶対に良いプレイをしようと決意に燃えていた。自分でも納得できる試合が出来たと思う」。

    母国メディアのつるし上げの中には、前任の代表主将だったダレン・フレッチャー(2003-2016)を引用し、ロバートソンが「クラブでの成功を代表チームで出せていない」という共通点を上げたものが少なくなかった。マンチェスターユナイテッド(在籍は2003–2015)で主力の一人として活躍したフレッチャーは、母国代表チームの20年の悲願であるW杯およびユーロの本大会出場という目標を、達成できずに終わったのだった。

    「僕が初めて代表チームに選ばれた頃に、ダレン・フレッチャーと交わした会話は今でも覚えている」と、ロバートソンは振り返った。「80キャップを記録した主将で、素晴らしい選手だった。マンチェスターユナイテッドではあらゆる栄誉を勝ち取ったが、母国代表チームの目標を達成しなければ引退できない、と強い意欲に燃えていた」。残念ながら、それはかなえられなかった。

    「僕はその時、思った。自分が引退する時に、自分のキャリアを振り返って後悔を抱きたくない、と」。

    フレッチャーは、ピッチの上での業績だけでなく、人格者としての面でもロバートソンに通じるところがあった。

    2014年8月に、当時マンチェスターユナイテッド監督だったルイ・ファンハールから副主将に抜擢された時に、地元紙マンチェスター・イブニング・ニュースのユナイテッド担当記者が、フレッチャーの人間的な側面を語るエピソードを明かした。

    「インタビューのためにフレッチャーとアポイントを取った。その時間にトレーニング・グラウンドに行くと、本人の姿はなかった。ああ、またか、とため息をついた。ユナイテッドの選手からすっぽかされるのはこれが初めてではなかった。謝罪の一言もなく、日程を改めてインタビューに応じてくれればラッキー、ということが常だった」と、記者は振り返った。

    「ところがフレッチャーは違っていた。すぐに電話をくれて、奥さんの急用のため子供を迎えに行かねばならなくなった。今から戻るので待っていてくれますか、と言う。数十分の遅れの後で現れたフレッチャーは、誤り口調で、何時まででも付き合いますと言ってくれた」。

    いわゆる「プレミアリーグのスター選手」の傲慢さは微塵もなく、ローカル紙のジャーナリストに対して同じ目線に立って、誠意を持って対応するフレッチャーは、人間として、母国代表チームに対する強い決意を後輩であるロバートソンに伝授した。

    Liverpoolがヨーロピアン・チャンピオンとしてプリシーズン戦に臨んだ、スコットランドのマレーフィールドで、満員のスタンドがLiverpoolのチーム一行を歓迎した中で、代表主将のロバートソンに対しては特に、数倍のボリュームで歓声と拍手が送られた(対ナポリ、試合結果は3-0でLiverpoolの敗戦)。

    その試合の後で、憧れの代表主将からプレゼントを貰った少年のお父さんが、地元紙デイリー・レコードに感激を語った。「ロバートソンは、スタンドに来てくれて息子と記念写真に応じてくれた。息子がシャツをお願いしたところ、ロバートソンは、『既に別の人に上げてしまった』と、息子にすまなそうな表情を見せた。そして、代わりにと言って、ニュー・バランスの£100の商品券をくれた」。かくして、この8歳の少年は永遠に忘れられない思い出ができたという。

    「主将として代表チームの試合に出ることは大きな誇り。しかし、負けた時にはその分大きな痛みを感じる」と、スコットランドの2連敗の後で、ロバートソンは語った。

    「ダレン・フレッチャーはこのプレッシャーを10-12年間味わったのだし、僕としては、自分の精神的な打撃をコントロールすべきだと痛感している。どんなときにも自分のプレイが出来るように」。

    「とにかく、試合に出たいと思っている」。

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    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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