FC2ブログ

    予想外のデビュー

    8月8日にプレミアリーグの夏の移籍ウィンドウが正式にクローズした。クラブとユルゲン・クロップの移籍方針を全面的に信頼しているLiverpoolファンは、世間の動きをひと事として見つめながら、翌日の開幕戦に集中していた。昨季はリーグ戦で無敗記録を守ったアンフィールドで、昇格チームのノリッジとの対戦とあり、誰もが勝利を予想して楽観ムードに浸っていた。

    ふたを開けると、試合結果こそは4-1と勝利でスタートを切ったが、前半39分にアリソンが負傷で倒れて交代するという心配な事態となった。翌週明けの8月12日に、アリソンはふくらはぎの負傷で「数週間の欠場」と伝えられた。「アリソンはこれまでのキャリアで殆ど負傷欠場の経歴がないだけに、どの程度で復帰できるかは様子を見る必要がある」と、クロップは説明した。

    開幕1週目の全試合が終わって、マンチェスターシティがウエストハムに5-0と勝ち、マンチェスターユナイテッドがチェルシーに4-0と快勝したため、得失点差で3位になったLiverpoolを、世間のアナリストは一斉にダメ出しした。アリソンの負傷欠場の穴の大きさを指摘し、「戦力補強をしなかったツケが早速見えてきた」と主張したのだった。

    「プレミアリーグは38試合あったはずだったが?」と苦笑しながら、Liverpoolファンは冷静だった。「アリソンは世界のベストGKだから、アリソンが欠場すれば誰が入っても戦力はマイナスになることは必須。ただ、そのマイナスは、『Liverpoolのシーズンは終わった』と言う程に大きいはずはない」。

    折しも、8月5日にシモン・ミニョレが在籍6年の末にLiverpoolを出て、母国ベルギーのブルージュに移籍したばかりのことだった。2013年に£9mの移籍金でサンダーランドからLiverpoolに入ったミニョレは、最後の1年半は控えに回り、31歳という年齢からもレギュラーの座を求めて母国へと去ることになった。ベルギー・リーグの移籍ウィンドウは9月2日までオープンしているため、タイミングを遅らせることも可能だったが、クラブのことを考えてプレミアリーグの移籍ウィンドウに合わせたのだった。

    少なくないファンが、「いなくなったとたんにアリソンが負傷するとは、ミニョレにとっては皮肉な運命としか言いようがない」と首を振った。「ただ、ミニョレは、殆どのチームではNo.1として通用するGK。Liverpoolのベンチにいるよりは、もう少しプレッシャーの少ないクラブで毎試合バリバリ活躍する道を選んだのだから、本人にとっては良かったと思う」。

    そして、ほぼ同時に、ミニョレの後任としてアドリアンの加入が発表された。故郷のセビーリャ市のベティスから2013年にウエストハムに入り、6年間在籍した末に昨季末に契約満了してフリーエージェントとなった、32歳のベテランGKだった。

    ウエストハム在籍中に、2度クラブのプレイヤー・オブ・ザ・シーズンの2位に輝いたアドリアンを、Liverpoolファンは一斉に歓迎した。「途中からウカシュ・ファビアンスキにNo.1の座を明け渡したが、もったいないと思って見ていた。アリソンの控えとして、十分に信頼できるGK」。

    ファンの期待をユルゲン・クロップが裏付けした。「アドリアンはプレミアリーグの経験も豊富で、人間的にも優れている人物。私としては、チーム内にアリソンとアドリアンという二人のNo.1がいると思っている」。

    それを受けて、アドリアンはアリソンとポジション争いをする意気込みを語った。「アンフィールドでゴール前に立つ日を楽しみにしている」。

    それがわずか4日後に実現するとは、その時点では誰も予想していなかった。「たぶん、本人も予想していなかっただろう。それが、不測の事態でいきなりデビューすることになったアドリアンは、2-3日トレーニングで顔を合わせただけのチームメートと十分な連携を身に付ける時間もなかったに違いないのに、それなりに安定したプレイを見せた。さすがベテランだと感銘を受けた」と、ファンは大きな笑顔を浮かべた。

    試合後に、アドリアンは予想外のデビューの感想を語った。アンフィールドのゴール前に立つアドリアンを、総立ちの拍手で迎えたコップ・スタンドの動画に、「これを表現するには言葉は不要」と一言書いたものだった。

    そして、これから数週間の間、アリソンの穴埋めをすることになったアドリアンの、Liverpool入り決定時の言葉がファンの間で改めて話題になった。「ウエストハムに入る時に、親しい友人のペペ・レイナにアドバイスを頼んだ。プレミアリーグは世界一のリーグだから、そこで能力を発揮して、スペイン人GKの評価を高めよう、と激励してくれた」と、アドリアンは頬を染めて語った。

    「ペペは今もLiverpoolに深い愛着を抱いている。僕も彼のように、ファンから応援してもらえるよう頑張りたい」。

    コメント

    非公開コメント

    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

    最新記事
    最新コメント
    リンク
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    QRコード
    QR