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    エドワーズ&クロップの移籍方針

    7月1日に、サウサンプトンがこの夏2人目の新戦力としてバーミンガム・シティからチェ・アダムズを£15mで獲得した時のオフィシャル・ビデオが、イングランド中の笑いを独占した。その動画は、監督ラルフ・ハーゼンヒュットルにちなんだ「特急ラルフ号」に乗ったサウサンプトンのチーム一行が、バーミンガム駅でアダムズと合流し、みんなで歓声を上げながらサウサンプトン駅まで南下するという微笑ましい内容で、なんとその道中に、飛行機から双眼鏡で監視しているユルゲン・クロップが特別出演していたのだった。

    現在の選手だけでも、フィルジル・ファン・ダイク、サディオ・マネ、ナサニエル・クライン、デヤン・ロブレン、アダム・ララーナと、Liverpoolが、2004年から通算で総額£173mを費やしてサウサンプトンから戦力補強をしている真相は誰もが知るところだった。必然的に、サウサンプトンで頭角を現す選手は「いつLiverpoolに引っ張られるか?」というジョークが出るようになったが、今回はオフィシャル・ビデオがネタにしたことで、大きな話題となった。

    ジョーク好きのイングランドのフットボール・ファンには大ウケで、やられた側のLiverpoolのファンやメディアも「うまく出来ている」と爆笑した。

    「サウサンプトンからの戦力補強の推移は、Liverpoolの移籍方針の転換を象徴している」と、地元紙リバプール・エコーは指摘した。「2016年夏に、ユルゲン・クロップがLiverpool監督として実質的に初めての戦力補強を行った時に、マネの移籍金£35mに対して眉をひそめた人は少なくなかった。その背景には、しばし嘲笑を込めた話題に上り続けていた、Liverpoolのトランスファー・コミッティがあった」。

    2016年夏は、トランスファー・コミッティが解散し、その一員だったマイクル・エドワーズがディレクターとしてクロップと緊密な協調体制を敷き、その下で動く有能なスカウト陣が各国に偵察に行き、エドワーズ&クロップ体制に情報を注ぐという、ち密で計画性に富んだ組織がスタートした。新体制では、常に2ウィンドウ先を視野に据えて動くことで、クロップが本当に必要としている選手を正確に特定できるようになった。

    「決してひのき舞台に上がらない、常に陰に身を置いているエドワーズは、クロップが望む人材は何があっても獲得するだけでなく、クロップが承認して出て行くことになった選手の契約関係を一手に引き受け、確実に仕事を成し遂げる」と、エコー紙はエドワーズの重要性を強調した。

    エドワーズ&クロップ体制下で、新天地を求めて去っていったジョーダン・アイブ(ボーンマス、£18m)、ママドゥ・サコー(クリスタルパレス、£26m)、ドミニク・ソランケ(ボーンマス、£19m)、ダニー・イングス(サウサンプトン、£20m)という事例は、エドワーズの有能さの証明でもあった。ライバル・ファンは、「Liverpoolの選手放出のうまさは、嫉妬で目がくらむ程だ」と唸った。

    そして、Liverpoolファンは、エドワーズ&クロップ体制の移籍方針に関しては全面的な信頼を寄せるようになっていた。

    「昨年、CL決勝で負けて大きな失意を味わっていた、その2日後にファビーニョ獲得が発表された時の、あのタイミングの良さには感涙が込み上げた。エドワーズに対する感謝が一気に膨れ上がった」と、あるファンは呟いた。決勝まで上り詰めたチームを称える気持ちの裏で、ファンの心の中は大雨だった。そんな時に、待ちに待った戦力獲得の朗報は、ファンの気持ちを大きく盛り上げた。

    一変して今年の夏は、Liverpoolはシニア選手の補強はないままシーズン開幕3週間を切った。

    この時期は移籍のニュースがイングランドのフットボール界の最大の目玉であり、自分のチームに新戦力が加わることがファンの最大の喜びだ。そしてメディアは、動きが鈍いチームを危機扱いし、ファンの不安をそそる。

    そんな夏の定例行事の中で、プリシーズン戦でドルトムント(試合結果は3-2)、セビーリャ(試合結果は2-1)と2連敗を喫したLiverpoolを、「フロント3に頼り過ぎているLiverpoolの弱みが暴露された」と、全国メディアがこぞってネガティブな記事を掲げた。「7月19日まで代表チームの試合に出ていたマネは、開幕戦に間に合わない可能性が濃厚。つまり、Liverpoolはフロント3の控えとしてビッグ・ネームの新戦力が必要」。

    ただ、メディアの目論見は空転するだけで、Liverpoolファンのエドワーズ&クロップ体制に対する信頼は揺らがなかった。

    「サラーやマネは、取った時には『払い過ぎた』という声が出た。ジニ・ワイナルドゥムやアンディ・ロバートソンは、『降格したチームから選手を取った』と嘲笑された。ファン・ダイクやアリソンは、一時は破断になって、代わりの選手を検討すべきだという批判が上がった。クロップの判断は必ず成功するのだと、ここまで実例を見てきただけに、世間がどんな雑音を流そうとも安心していられる」。

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    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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