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    「4-0で勝つ」自信の根拠

    5月7日、Liverpoolがカンプノウでの3-0の負債を背負ってCL準決勝2戦目を迎えていた試合前に、マンチェスター・イブニング・ニュース紙がイルカイ・ギュンドアンの、「Liverpoolが勝ち抜くチャンスは十分にあると思う」という予測を掲載した。

    「理由はうまく説明できないが、Liverpoolが4-0で勝つ場面が目に浮かぶような気がしている。アンフィールドだし、ユルゲン・クロップがどんな風に選手に意欲を注ぐ監督かを考えると、そして、そのクロップの言葉を忠実に実現できる選手たちだから。僕の感触では、Liverpoolは、バルセロナ程の強豪でも叩き潰せるチームだと思う」。

    そのギュンドアンの予測が的中した試合の後で、Liverpoolの選手たちは異口同音に、「世間は我々の敗退を決め着けていたが、チーム内の全員が4-0で勝つ自信を持っていた」と語った。

    イングランドの全国紙は、いつも通りの一貫性のなさで、非難に聞こえる程に悲観的だった事前予測から一変して、劇的な大逆転勝利を収めたLiverpoolを絶賛した。

    そして、対戦相手が同じくイングランドの、しかもCL決勝初出場のトットナムと決まった後は、再び手のひらを返してLiverpoolに対するプレッシャー攻撃を開始した。「今季プレミアリーグで、Liverpoolはトットナムより26ポイント差を付け、しかも直接対決で2勝と圧倒的に有利」と決めつけた。

    同時に、多くのメディアがLiverpoolの不利な要素をこぞって書き立てた。「対戦相手を良く知っているという点ではイーブン。決勝進出そのものが立派な業績というトットナムの方がプレッシャーが少ない分、有利」という指摘に並行して、クロップの近年の決勝戦績が議題に上った。

    「クロップは、ドルトムント時代から通算で決勝戦で6連敗中(※)。そのネガティブな記録をストップすることが出来るか?」。
    ※2012年のドイツ・カップ優勝の後、2013年CL、2014年ドイツ・カップ、2015年ドイツ・カップ、Liverpoolでは2016年リーグ・カップ、2016年EL、2018年CLと6連続で決勝で敗れていた。

    メディアの雑音がピークに達した6月1日、Liverpoolはトットナムを2-0と敗ってCL優勝を達成した。「決勝戦6連敗」と書き続けたメディアが、90度転換してクロップ絶賛の速報を飛ばす中、Liverpoolのチーム一行は、スタンドの前に立ち、外部の騒音をシャットアウトする大声援を送り続けたファンと一緒にYou'll Never Walk Aloneを合唱した。

    そして、ファンとの祝勝がひとしきりした時に、おもむろに選手たちが走って行き、ピッチの中央に立っていたクロップを捕まえた。あっという間に選手全員が手分けしてクロップを担いでスタンド前に戻り、大歓声のファンの前でクロップを胴上げしたのだった。

    「選手全員が、監督にどれだけ恩を感じているかと思うと、胴上げは当然のことだった」と、控室に戻った後でジョー・ゴメスが語った。「僕は個人的に、辛い時に監督からどれだけ助けてもらったか、言葉に尽くせない。監督のお蔭でここまで来れた、とは過言でも何でもない。そして、そう感じているのは僕だけでなく、全員が同じ気持ちでいると思う」。

    試合後の記者会見で、いつもに増して明るい笑顔を浮かべていたクロップに、あるジャーナリストが、「あなたはいつも、負ければ監督である自分の責任、勝てば選手たちの業績、と言ってきました。今の気持ちはどうですか?」と質問した。それに対して、クロップはやや真剣な表情で語った。

    「これまでの夏休みは、決勝に負けた後だったので、家族にすまない思いをさせた。今年は家族に迷惑をかけることがないと思うと嬉しい」。

    無責任なメディアの「決勝戦6連敗」という非難を背に、身を張って選手を守ってきたクロップの言葉だった。

    ライバル・ファンは、「バルセロナに4-0と勝った瞬間に、LiverpoolはCL優勝杯に王手をかけたと覚悟した」とため息をついた。

    「ひとえに監督のお蔭」と、アンディ・ロバートソンは主張した。「カンプノウでの試合後の控室は暗かった。誰もがうなだれて沈み込んでいた。その時に監督が飛び込んできた。満面に笑みを浮かべて、飛び跳ねながら明るい声で叫んだ。『君たち、凄いぞ!たぶん、バルセロナは世界一。でも君たちはその世界一のチームを倒すことが出来るんだから!』と。その言葉が浸透するまでに一晩かかったが、でも、間違いなくそれが転機だった。マージーサイドに戻った時には、選手全員が『絶対に勝てる』と真剣に自信を抱いていた」。

    いみじくも、クロップに支えられた経験を持つギュンドアンが「4-0で勝つ」と唱えた、その根拠は同じところにあった。

    「クロップが来た時のLiverpoolは、リーグ10位、ELでは初戦2試合に引き分け、リーグカップでは4部のカーライルにPK戦で辛うじて勝つようなチームで、ファンは冷え切っていた。それから4年足らずでCL優勝まで引き上げてくれた。クロップの最大の業績は、クラブを団結させたこと」と、ファンは紅潮した。

    「クロップのお蔭で、今は、チームはもちろん、オーナーからファンまで全員が同じ方向に向いて進んでいると確信できるようになった」。

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    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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