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    CL優勝チームの主将

    2017年4月、スタジアム・オブ・ライトでサンダーランド対マンチェスターユナイテッドの試合(試合結果は3-0でマンチェスターユナイテッドの勝利)から帰途に着く途中、メイン・スタンド前で、出てくる選手たちを見ようとサンダーランド・ファンが群れを成していた。5-10歳くらいの多数の少年たちが、お父さんの背中に肩車をして、正門を食い入るように見つめていた。家族連れが目立つファン層で、地元の少年たちは、こうしてお父さんに連れられて、地元のチームの熱心なファンになって行くのだろうと、20年前のジョーダン・ヘンダーソンを見たような気がしたものだった。

    そして2019年6月1日、マドリードで、トットナムを2-0と破ってCL優勝を達成したヘンダーソンは、スタンドの前に立っていたお父さんの胸に顔をうずめ、子供のように泣きじゃくった。

    「息子が12歳の時、CL決勝戦を見にマンチェスターまで連れて行った。イタリアのチーム同士の決勝だった(※2003年、オールド・トラッフォードで、ACミランが延長の末0-0、PK戦3-2でユベントスを破って優勝)。試合前にCL曲が流れた時に、『お父さん、僕はCL決勝に出るからね』と、息子は目を輝かせて言った」と、2013年にがんと診断されながら、病気に勝って、とうとう息子が16年前の「約束」を果たした雄姿を見ることが出来たお父さんは、BTスポーツのマイクの前で目を拭った。「今の私は世界一幸せな人間」。

    この一連の様子を見ていたLiverpoolファンは、「ヘンドはCL優勝チームの主将として、正式にLiverpoolのレジェンドになった」と、目を潤ませながら叫んだ。

    「ヘンドがお父さんの胸の中で涙を流した姿は、ヘンドがこれまでどれほど重たい責任を担いできたか、この優勝がヘンドにとってどれほど重要な意味を持っていたかを物語っていた。長いこと不当な批判を受けながら、歯を食いしばって全力を注いできたヘンドは、文字通り『模範的なプロ』だし、Liverpoolはヘンドがいてくれて本当に良かったと感謝すべき」。

    ヘンダーソンが長年に渡って耐えてきた「不当な批判」とは、例に事欠かなかった。例えば、LiverpoolがプレミアリーグとCLで勝ち続けていた時に、「ヘンダーソンが優勝杯を掲揚する姿を想像すると、プレミアリーグとCLはここまで落ちぶれたかと憂いを感じる」と吐くライバル・ファンは後を絶たなかった。「フィル(コウチーニョ)は、Liverpoolに来た時にはスティーブン・ジェラードとルイス・スアレスがいた。でも今は、ヘンダーソンがチームメートだと思うと、逃げ出したくなる気持ちは理解できる」などと、「Liverpoolファン」と名乗る人物が言うことすらあった。

    それらは氷山の一角だった。

    そのような言いがかりを受けながら、黙々とチームのために働きいてきたヘンダーソンを、ユルゲン・クロップは真っ先に称えた。「不当な批判をしてきた人々に言いたい。ヘンドはCL優勝チームの主将だ」。

    「この選手たちは、燃料が尽きても戦い続けた選手たちだ」。

    そして、CL優勝チームの主将としてインタビューを受けたヘンダーソンは、クロップの影響を語った。「監督がいなかったら絶対に達成できなかった。監督が来て、控室にスペシャルな団結心を植え付けた。優勝は監督のおかげ。僕は、このクラブの一員としてスペシャルな栄誉を実現できたことを光栄に思っている」。

    「僕自身は、辛い時期もあったが常に全力を尽くしてきた。でも、僕個人はどうでも良いこと。僕が主将として優勝杯を掲げたことは重要ではない。重要なのはこのクラブ」。

    この試合の実況放送にアナリストとして出演していたバーンリー監督のショーン・ダイシュは、「ヘンダーソンが縁の下の力持ちとして働いたからこそ、Liverpoolは優勝を達成できた」と断言した。

    「CL決勝戦の試合内容はさておき、素晴らしいシーズンをCL優勝で締めくくったLiverpoolは、その栄誉を取るにふさわしいチームだった。そして、そのLiverpoolの中で最も重要な役割を果たしたのはヘンダーソンだった。クオリティの高いチームメートに囲まれていることをしっかり理解しているヘンダーソンは、そのクオリティを結び付ける接着剤のような働きをした」。

    かくして、Liverpoolのクラブ史上に刻まれている、エムリン・ヒューズ(1977年、1978年)、フィル・トンプソン(1981年)、グレアム・スーネス(1984年)、スティーブン・ジェラード(2005年)に続く5人目のCL優勝主将となったヘンダーソンに対して、Liverpoolファンは、「永遠に語り継がれるべき歴代名主将リスト入りした」と、誰もが真顔で頷いた。

    「このクラブのために、ヘンドが常に意欲と熱意を注いできたことは誰も否定できない。ジェラードの陰から抜け出したヘンドは、CL優勝チームの主将としてふさわしい人物であることは間違いない」。

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    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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