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    意志と決意と態度のたまもの

    3月31日のアンフィールドでのトットナム戦のプレビューとして、ガーディアン紙が「17年前の悪夢」という見出しで、2002年4月のホワイトハート・レーンでの対戦を振り返る記事を掲げた。CLでは準々決勝進出を達成し、プレミアリーグでは12試合中11勝の勢いで、12年ぶりの優勝を目指して盛り上がっていたLiverpoolは、トットナムに1-0と敗れて実質的にタイトル争いから脱落し、続いてレバークーゼンに敗れてCL敗退という、当時物心ついていた年代のLiverpoolファンにとっては胸が痛む記憶だった。

    「最終的に、優勝したアーセナルに7ポイント差の2位で終わったLiverpoolは、当時と酷似した状況で迎えるトットナム戦で、17年前の失意を払拭することが出来るか?」と、同紙は疑問を投げかけた。

    折しも、サディオ・マネがミラー紙の独占インタビューで、ガーディアン紙の「17年前の悪夢」に対して正面から反論するような決意を表明していた。

    「このクラブの歴史を見れば、これまで何度も困難を克服してきた実績は明らか。Liverpoolはチャンピオンの精神力を持っているクラブ」と、マネは宣言した。

    セネガルの小さな村で生まれ育ったマネは、アフリカの多くの少年たち同様に、家族を財政的に支えるためにフットボーラーを目指した。決して高望みはしなかったご両親に代わって、マネにフットボールを奨励したのはおじさんだったという。かくして首都ダカールの少年チームでプロをへの道を歩み始めたマネは、「ダカールからLiverpoolまでの長い道のり」を振り返った。

    「その頃の僕は、ヨーロッパの一流クラブを目指すなど大それたことは考えたこともなく、セネガルのビッグ・クラブの選手になることを目標に抱いていた。ましてや、Liverpoolのような超名門クラブでビッグなタイトルを狙うなんて、夢にも見なかった。でも現実は、僕はここまで到達したのだから、それを実現するために助けてくれた人々のためにも、トロフィーを取らねばならないのだと感じている」。

    「ダカールの街中でボールを蹴っていた少年の一人だった僕が、ここに至るまでの道は長かった。アフリカの少年たちにとって、ヨーロッパでプロとして身を立てられるようになることは、誰にでもかなうことではない。それを思うと、僕は、何があっても諦めずに前に進み続けることが出来る」。

    ふたを開けると、Liverpoolは、先制しながらも後半はトットナムに優位を奪われ、同点にされた末に、90分に相手GKのミスから出たオウン・ゴールで2-1と勝利を収めた。

    12月のマージーサイドダービーで、ジョーダン・ピックフォードが96分にコップ・スタンドの前でディボック・オリジに「決勝ゴールをプレゼントした」こと(試合結果は1-0でLiverpoolの勝利)、その前は10月にマンチェスターシティが85分に得たPKを、リヤド・マフレズが外したこと(試合結果は0-0)、そして今回のウーゴ・ロリスと、Liverpoolにポイントを献上する相手のミスは、スタンドのファンの大声援だけの成果だろうか?と、試合後の記者会見に詰めかけたジャーナリストたちは、誰もが同じ疑問を心に抱いていた。

    「神様はLiverpoolファンかもしれない」と、ジョークを言いながらファンは、チームに対する誇りを語り合った。「内容はひどかったが、17年前の悪夢の繰り返し?と不安を抱く隙もなかった。ピッチの上の選手を見ていて、絶対に諦めないという気迫が感じられたから」。

    「同点にされた後のスタンドの声援は、私がLiverpoolに来て以来のベストと言える程に素晴らしかった」と、ファンを称賛したユルゲン・クロップは、劣勢の試合で得た勝利について語った。「首位になれるチームは、必ずどこかで運に恵まれていると思う。ラッキーな勝利を得ることは、それはある意味不可避なこと」。

    「ただ、シーズン最終戦を終えた時点で首位にいられるとしたら、それは我々全員の意志と決意と態度のたまもの」。

    マネは、その意志と決意と態度を身に付けるに当たって、クロップの影響が大きかったと断言した。「監督は、僕がLiverpool入りした最初の日から始まって、ずっと変わらずに信頼を注いでくれた。監督に恩返しすることが僕の務め」。

    「食べて行くために、生き残るために、ミラクルを起こすために必死に働く道を歩んできた僕にとって、チャンスが来た時には絶対に逃さない。どんなに小さな望みでも食らいついて、目標を実現させる」。

    その態度が、Liverpoolが残り6回のカップ決勝を克服するために必要と言える。

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    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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