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    ダービーとCL準々決勝、どちらが優先?

    毎年5月の最終週になると、マンチェスター・イブニング・ニュース紙は、赤いページと青いページの両方で「クラブ史上最も重要な大勝利」である1999年5月末を記念する特集記事を掲載する。赤い方のユナイテッド・ページの「大勝利」とは言うまでもなく、バイエルンミュンヘンにリードされながら2-1と勝ってヨーロッパの頂点に立った、CL決勝史上初の大逆転優勝だった。いっぽうシティの方は、3部リーグの昇格プレイオフ決勝で、ポール・ディコフが94分の同点ゴール(2-2)で敗退を食い止めた末に、PK戦でジリンガムを破って達成した2部昇格(復帰)だった。

    「あの時に3部から脱出できなければ、その後の現オーナーの投資もなく、今も2-3部に低迷していただろう」と、シティ・ファンは振り返る。当時まだ物心ついてなかった若いファンが、「クラブ史上最も重要なゴールは?」という議論で、2012年5月13日のセルヒオ・アグエロの決勝ゴール(試合結果は3-2でシティがQPRに勝って、44年ぶりのリーグ優勝)を上げるのに対して、中堅以上のファンは、誰もが1999年のディコフの同点ゴールと即答する。

    そして、ユナイテッド・ファンが、「我々がバルセロナ、ユベントスと戦っている時に、君たちはジリンガム、ヨークと戦っていた」と嘲笑するように、その1999年5月の「クラブ史上最も重要な大勝利」の、大きな差が両クラブの当時の状況を物語っていた。

    その翌シーズンに2部で昇格を勝ち取り、2000-01季にはプレミアリーグに戻って来たシティが、アンフィールドに臨んだ9月に、たまたま試合前のパブでシティ・ファン同士の会話に居合わせたことがあった(試合結果は3-2でLiverpoolの勝利)。するとそのシティ・ファンは、涙ぐみながら「やっとアンフィールドに戻ってこれた」と頷き合い、3部時代に雨のヨークシティで2-1とぼろ負けした帰り道に、泥まみれの靴を引きずりながら「いつまでこのリーグの試合が続くのだろう」と、哀愁に暮れた日々のことを語り合ったのだった。

    2008年に現オーナーの投資により徐々にチーム力を上げてきたシティについて、ユナイテッド・ファンが「雨のヨークシティではどこにいた?」と、グローリー・ハンター呼ばわりのジョークを飛ばすのに対して、3部時代にも忠誠を尽くした35,000人のシティ・ファンは、隣人への反撃を込めて、1999年5月の「クラブ史上最も重要な大勝利」を語り続けてきた。

    マンチェスターの両クラブの立場がすっかり逆転した今季、シティは4月7日のダービーで勝てば、残り6試合でプレミアリーグ優勝が正式に決まるが、そのわずか3日前にはアンフィールドでのCL準々決勝を控えていた。

    必然的に、シティ・ファンの間では「ダービーとCL準々決勝、どちらが優先か?」という議論が起こった。

    「Liverpoolは、最強のイレブンで、しかも最高潮で臨まなければ勝てないような強敵。リーグ優勝は最悪ダービーで決まらなくても延期になるだけなのに対して、CLは負ければその時点で終わる。どちらを優先すべきかは明白」という声も出る中で、雨のヨークシティ世代のファンの決意は強かった。

    「僕は1974年のダービーも(※試合結果は1-0でシティの勝利)、2011年のウェンブリーでのFAカップ・ダービー(※試合結果は1-0でシティの勝利)、2012年4月も(※試合結果は1-0でシティの勝利)、全て居合わせた。今季は彼らの目の前で優勝を決めるという、二度とないチャンス。ユナイテッドを叩くことが最高の幸せだと感じないなんてあり得ない」。

    しかし、ファンの感傷に水を差すかのように、ペップ・グアルディオーラは、「Liverpool戦が最も重要」と、監督としての冷静な方針を語った。「ユナイテッド戦が話題になることは理解できる。しかし、私はLiverpoolに焦点を当てている。ユナイテッド戦の前と後の2戦のことを」。

    これに対して、シティ・ファンの反応は一致していた。「我々の真のライバルはLiverpoolで、ユナイテッドは二の次。こんなことが言える日が来るとは、1999年には想像もできなかった」。

    さてLiverpoolは、同じタイミングでダービーを迎えることよりも、まずは「次の試合」であるシティ戦に話題が集中していた。

    ユルゲン・クロップは、「わがチームも良い時には対等の威力を発揮するが、今季のシティは高いレベルを続けていることはリーグ順位表が証明している」と、相手に対する敬意と同時に、自信を表明した。「もちろん、我々にも勝ち目はある。戦略は重要だし、熱意も炸裂するだろう。そして、アンフィールドの大声援が後押ししてくれる」。

    クロップの言葉にLiverpoolファンは大きく頷いた。「リーグ戦で18ポイントも差を付けられている実態から、今のシティが大変な相手であることは確か。ただ、シティはアンフィールドのヨーロピアン・ナイトを経験していない。それが我々の強み」。

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    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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