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    自分のチームのゴールを喜ぶ監督

    10月28日、ユルゲン・クロップが長年の親友であるデビッド・ワグナーとプレミアリーグで初対戦した時に、ワグナーが語った言葉がLiverpoolファンの間で大きな話題を呼んだ(試合結果は3-0でLiverpoolの勝利)。中でも最も大きな反響を集めたのは、「イングランドのメディア(の批判)はドイツに比べて遥かに大きい。特に、声を上げる人の数が多い」というものだった。

    折しも、ハダースフィールドがその時点で9戦3勝3分の12ポイントで11位と、プレミアリーグの「驚きのチーム」となっていたのと対照的に、9戦3勝4分でわずか1ポイント差の9位にに低迷していたLiverpoolが、批判の嵐の渦中にいた時のことだった。

    「フットボールは結果ビジネスだから、勝てなければ批判されるのは仕方ない」と肩をすくめながらも、一部のアンチのアナリストが「ユルゲン・クロップは今季の途中でクビになるだろう」という予測を掲げる姿に、Liverpoolファンは、「イングランドのメディアの過剰さに、クロップが嫌気を抱いて出て行くのではないか」と、心配する声すら出ていた。

    状況は変わり、以来6試合で5勝1分と調子を盛り返し、4位に浮上した12月2日のブライトン戦(試合結果は1-5でLiverpoolが勝利)の後で、戦績にもかかわらずイングランドのメディアのクロップ批判が沸き起こる事態になった。

    それは、試合後にブライトンのクリス・ヒュートンがクロップとの握手を拒んだらしき場面がTVカメラに映ったことから、その夜のマッチ・オブ・ザ・デイでクローズアップされたものだった。レギュラー・アナリストのイアン・ライトが、「4点も5点も取った時に、監督がいちいちタッチラインで飛び上がってガッツポーズを見せれば、負けた側の監督が神経を逆なでされるような気持ちになるのも当然。おそらくヒュートンだけでなく、他の監督も同じように感じ始めているのではないかと思う」と、クロップ批判の口火を切った。

    その音韻が続いていた2日後に、BBCの別の人気ハイライト番組で、レギュラー・アナリストのガレス・クロックスが、毎週選出しているプレミアリーグのチーム・オブ・ザ・ウィークのコメントの中で「クロップ批判」に拍車をかけた。それは、ロベルト・フィルミーノの選出理由の説明の3分の2のスペースを割り当てて、「CL決勝なら話はわかる。でも、これはブライトン戦。勝利は重要だが、ゴールの度にこぶしを振り回して大げさに喜ぶ必要があるのだろうか」と指摘したものだった。

    「不必要なまでに大げさな喜び方のために、試合が終わった時には両監督が握手してお互いをねぎらう伝統が守られなくなってしまった。勝利とお金が至上となってしまい、フットボールの良さが失われつつある。監督として適切な行動ができないような人物は、他の職業を探すべき」。

    これに対して、「『勝利とお金』?勝てない時に批判されるのはさておき、勝つのがダメなの?それも、ボビー(フィルミーノ)を称賛すべき記事ので、えんえんとクロップ非難を並べた末に、クロップに監督をやめろとは何事?」と、Liverpoolファンの間で反論が飛んだ。

    かくして、ライトとクロックスの「クロップ批判」は、しばしイングランド中のフットボール・ファンの話題を独占することになった。

    そして、チームを問わず圧倒的多数のファンが、クロップ擁護の意見を表明した。宿敵であるマンチェスターユナイテッド・ファンも例外ではなく、「自分のチームのゴールに、飛び上がってガッツポーズする監督に対して非難の指をさすようなアナリストこそ、他の職業を探すべき」と、肩をすくめた。

    地元紙リバプール・エコーが、「ユルゲン・クロップは欠点がない完璧な監督だとは言わないが、ゴールを喜ぶことはその一つではない」という記事でファンの意見を代弁した。

    「クロップがタッチラインで感情を素直に表現する監督である真相は、プレミアリーグに来る前から有名だったし、イングランドでのクロップ人気の一因でもあった。それが、CL決勝ならいいがブライトン戦では喜ぶべきではない、と言うのは、ブライトンに対する侮辱。クロップはブライトンに敬意を抱いているからこそ、全身でゴールを喜んだ」。

    「試合後の記者会見で、ヒュートンは『Liverpoolは今季これまで対戦した中で最も強いチーム』と絶賛した。その口調からは、クロップに対して根に持つような感情を抱いている、という印象は全く受けなかった。そもそも、4点も5点も取られて負けることそのものが、やられた監督にとっては神経を逆なでされるはず」。

    「つまり、クロップが他の監督から嫌がられる状況が、今後頻繁に起こることを祈るべき」。

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    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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