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    翌朝クビになる

    11月20日、WBAが監督トニー・ピュリスの解任を発表した。2017-18季が12試合消化という時点で、プレミアリーグでは5人目となった。ホームでチェルシーに0-4と大敗を喫し、連敗を4と伸ばした試合中に、ホーム・サポーター・スタンドから「翌朝クビになる」チャントが飛んだ様子は、WBAの地元紙バーミンガム・メールが「このところスタンドの風物詩になっていた」と称した通り、誰も驚かなくなっていた。その通り、その翌日に決断が下ったのだった。

    降格と昇格を繰り返す、いわゆる「ヨーヨー・クラブ」として分類されるWBAは、ピュリスが2015年1月に監督に就任して以来、そのシーズンに14位、翌季は10位とプレミアリーグの常連としての地位を固めつつあった傍ら、魅力的なフットボールとは対極にある戦術を貫くピュリスは、「ファンの支持を一度も得られずに終わった」とは、バーミンガム・メール紙の見解だった。

    「近年のプレミアリーグでは、10、11月に監督がクビになる傾向が顕著となっている。最下位でクリスマスを通過したチームが残留を達成するのは異例と言える程に困難な上に、新監督が1月の移籍ウィンドウに戦力補強計画を立てるための時間が取れる最終タイミングでもあるため」と、全国メディアはピュリス解任を冷静に分析した。

    「それにしても、ピュリスのクビを求めるWBAファンの声は、あまりにも大きくなり過ぎてオーナーは最終決断を下さざるを得なくなった」。

    バーミンガム・メール紙は、「ファンの判定」を更に裏付けた。「アシスタントのガリー・メグソンが暫定監督としてトットナム戦に臨んだ、そのアウェイ・スタンドでは、明るい笑顔に戻った2,400人のWBAファンが、試合開始4分の先制ゴールに飛び上がって歓声を上げた。『翌朝クビになる』チャントはすっかり影を潜め、74分に同点ゴールを食らった後も、最後まで元気に飛び跳ね続けた(試合結果は1-1)」。

    バーミンガム市内のアストンビラとバーミンガムシティに加えて、近郊都市でありWBAにとっての「隣人」に当たるウルブス(ウルバーハンプトン)が揃って2部に低迷しているため、WBAは地元で唯一のプレミアリーグのチームとなっていた。そして、今季はウルブスが好調に首位を走っていた。

    「ウルブスがリーズに4-1と快勝した試合中に、ウルブス・ファンが『WBAよ、来季はダービーができるね!』とチャンとして話題になった。そしてWBAファンは、ウェンブリーのアウェイ・スタンドから『ウルブスへ。待ってるからね!』チャントで返した」と、バーミンガム・メール紙は明るい文面で締めくくった。

    いっぽうマージーサイドでは、10月24日にロナルド・クーマンを解任して以来、監督なし状況が5週間となったエバトンの深刻な状況が、Liverpoolファンの間でも話題になっていた。WBAのピュリス同様に、クーマンがファンからそっぽを向かれた末に解任となった後で、クラブの歴代スター選手であるデビッド・アンズワースの代理監督効果は殆どないまま、7戦1勝2分5敗で16位と低迷を続けていた。

    「本来は最悪でも10位以内には入るチーム力のエバトンは、今は自信喪失で低迷しているが、経験豊富な監督が正式に就任が決まって安定すれば、成績は伴うだろう。ただ、若くて能力はあるが不明要素が大きい監督を選べば、一歩間違えばどん底に行く危険性も秘めている」とは、元エバトンのアナリストの多数派の意見だった。その言葉の横で、監督が決まらない時期が長引くにつれて、落ち着かない空気が濃厚になっていた。

    後任監督候補として、最近ではワトフォードのマルコ・シルバが最有力と言われている傍らで、その決定権を握るオーナーとチェアマンの意見の対立が原因で、監督決定が遅れている、という説が流れていた。「ファンの声を受けてクーマン解任を決定した」オーナーは、シルバを支持しており、ビル・ケンライトはショーン・ダイシュを推しているが、結局はオーナーが強行するだろうということだった。

    Liverpoolファンの間では、「果たして来季はダービーがあるのか?」という議題が、次第に「来年の今頃は、翌季はダービーが復活するだろうか?という議論で沸いているような気がしてきた」と、苦笑を浮かべるようになった。「同僚のエバトン・ファンが、最近はフットボール談話になると泣きそうな顔になる」と、隣人の苦境を複雑な心境で見守るLiverpoolファンは、自分たちも決して手放しの状況ではないことは認識していた。

    11月21日のセビーリャ戦で3-0のリードを放棄して3-3と引き分けて、CL最終戦を必勝のプレッシャーで迎えることになった直後のチェルシー戦で、先制しながら85分の同点ゴールで1-1と引き分けた。

    そんな中でも、Liverpoolファンは、幸い「翌朝クビになる」チャントとは縁がないことを認識し、全力で監督とチームを応援し続ける決意を再確認していた。

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    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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