潮流の逆転

    9月9日、インタナショナル・ウィーク明けのランチタイム・キックオフで、Liverpoolはマンチェスターシティに5-0と屈辱的大敗を食らった。37分に10人に減ったLiverpoolは、ディフェンスの脆さを暴露した上に、後半早々に白旗を上げた。昨季はトップ6との対戦で無敗(10戦5勝5分)、特にシティには最近5戦で4勝1分と優勢に立っていたLiverpoolにとっては、潮流が一気に逆転した結果となった。

    試合後に、シティの地元グレーター・マンチェスター警察のオフィシャルTwitterアカウントが、「警官が数名、イーストランド(※シティのホームスタジアム一帯の地名。地元ではシティのスタジアムの別名でもある)に向かっています。6万人の目撃者の前で、11人のグループが、無抵抗のLiverpool FCを叩きのめしたという暴力事件を起こしたためです」と、ジョークのポストで笑いを買った。

    これに対しては、「不謹慎だ」と目を吊り上げる人はなく、ユナイテッド・ファンも大喜びで、「Liverpool FCから、『リーグ優勝の望みを失った』という捜索願いは出てませんか?」などと、ジョークのコメントをポストした。これを受けて、「笑っていなければ泣けてしまう」とばかりに、Liverpoolファンは、「ジョナサン・モスはこの試合で笛を吹いたりして、レフリーになりすましていました。逮捕してください」と、ジョークに参加した。

    Liverpoolネタのジョークは全国メディアにも波及した。真面目なハイライト番組で、アナリストたちが「センターバックを補強しなかったために墓穴を掘った。第一希望のフィルジル・ファン・ダイクが得られなかったことは仕方ないにせよ、代わりの選手を取らなかったユルゲン・クロップの賭けは大失敗を見た」とまくしたてる中で、「サウサンプトンからファン・ダイクを拒否された分、元サウサンプトンの選手を取って帳尻を合わせた」と、期限日に正式発表となったアレックス・オクスレイド・チェンバレンの移籍を、ジョークに混ぜる声も出た。

    「チェンバレンは、オールド・トラッフォードでマンチェスターユナイテッドに8-2と大負けした試合がアーセナルでのデビューだった(2011年8月)。そして、アーセナルでの最後の試合ではアンフィールドでLiverpoolに4-0とぼろ負けし、Liverpoolでのデビューでシティに5-0と大敗した」とは、通常は親Liverpoolのインディペンデント紙の記事だった。

    世間一般の冷ややかな反応の中で、£35m(条件付きで最大£40m)という多額の移籍金でLiverpool入りが決まったチェンバレンに対して、ライバルチームのファンの意見は完全に二分していた。負傷欠場や調子の波で、ここ数年ぱっとしなかったという指摘と並行して、「今年の移籍市場では、£40mというのは多額でも何でもない。金額を無視すれば、戦力としてはプラスであることは確かだし、チェンバレンはアーセナルでは成長の余地がなかったように見える。クロップの下で一躍ステップアップする可能性は否定できない」という声も少なくなかった。

    それを裏付けるかのように、クロップがチェンバレンに対する期待を語った。「私がチェンバレンを始めて見たのは、ドルトムントが2014年にCLでアーセナルと対戦した時のことだった(試合結果は2-0でドルトムントの勝利)。サブで出てきて素晴らしい活躍をしたチェンバレンは、次のエミレーツでの試合ではスタートした(試合結果は2-0でアーセナルの勝利)。それ以来、私はチェンバレンを秘かに追うようになった。まだ24歳の若さながらプレミアリーグとCL、そしてイングランド代表チームでも経験豊富な選手」。

    クロップの言葉は、Liverpoolファンに期待をもたらした。「チェンバレン獲得をワクワクしながら待っていた、と言えば嘘になるが、しかしクロップが高く評価していると聞いて、勇気が湧いてきた」。

    地元紙リバプール・エコーは、チェンバレンの移籍を「潮流の逆転」と唱えた。「ウィリアン、モハメド・サラー、ディエゴ・コスタなどなど、近年の移籍市場で、Liverpoolはチェルシーに『狙っている選手』を取られ続けてきた。しかし今回は、アーセナルがチェルシーと移籍金で合意しながら、チェンバレンがLiverpool入りを希望してチェルシーを蹴った。アーセナルが週給£180,000を提示し、チェルシーはもっと高い話だったが、ロンドンの両クラブよりも低い給料という条件をのんで、Liverpoolに来た。それは、ユルゲン・クロップがロンドンの富よりも吸引力を持っているから」。

    インタナショナル・ウィーク明けにメルウッドに初出勤したチェンバレンが、エコー紙の説を裏付けた。「ユルゲン・クロップは、第三者として見ていた時から羨ましいと思っていた監督。ドルトムント時代からの実績と、そのフットボールが超一流だということだけでなく、選手と非常に緊密な関係にあること。この人なら、僕をより成長させてくれるだろうと思った」。

    そして、アンフィールドについての感想を問われてチェンバレンは、笑顔で答えた。「もちろんアーセナル時代に何度も来ているから、アンフィールドの素晴らしさは体験している。ホームの選手としてピッチに立ったら、どんな気持ちだろうと思う」。

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    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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