新戦力獲得だけがプリシーズンの焦点ではない

    イングランドでは各クラブがプリシーズンの親善試合日程に突入し、2017-18季は公式戦の開幕に向けての準備が本格化した。Liverpoolも例外ではなく、7月12日のトランメアを皮切に、プリシーズン戦を開始した。

    ところが、地元紙リバプール・エコーは、4-0と楽勝したその試合に関して、「出られる選手がほぼ全員、45分をプレイして調整が出来た上に、負傷もなく無事に終わった」という前置きに続いて、不満を込めた文面の記事を掲げた。「ただ、新顔が殆ど見られなかったのは非常に残念」。

    後半45分に、1アシストを含め相手GKにセーブの嵐を強いたドミニク・ソランケは唯一の「新顔」で、もう一人のモハメド・サラーは労働許可を得て再入国しなければならなかったため、トランメア戦には間に合わなかった。ただ、同紙の不満は「新戦力獲得がなかなか進まない」状況に対するものだった。

    折しも、「この夏の移籍市場は狂気じみている」と、ラファエル・ベニテスが漏らした言葉がヘッドラインを飾った。それは、ロメル・ルカクが£75mでエバトンからマンチェスターユナイテッドに移籍が決まった直後に、エバトンが狙っていると噂に上っていたギルフィ・シグルズソンについて、スウォンジーが£50mの売値を宣言したことで、第三者のチームのファンやアナリストが、「ルカクは得点力のあるストライカーであることは確か。でも、£75mは行き過ぎ。シグルズソンは非常に良い選手だが、£50mのミッドフィールダー?」と、一斉に驚愕した。

    そんな中で、アーセナルの£54mでアレクサンドル・ラカゼット獲得に続き、マンチェスターシティがカイル・ウォーカーに£45mを支払い、「狂気じみている」価格高騰に拍車をかけた。

    必然的に、各クラブのおひざ元では、プレミアリーグの移籍金額がひたすら膨れ上がる状況を憂うと同時に、自分のクラブが戦力補強でライバルに遅れを取っている事実に不満を抱くようになった。

    しかし、リバプール・エコー紙の誘導尋問に対して、ユルゲン・クロップは落ち着いて答えた。「(戦力補強が暫くストップしている状況について)私は全く焦りは感じていない。何故なら、新戦力獲得だけがプリシーズンの焦点ではないのだから」。

    「手放したくない選手に出て行かれずに済むことは重要だし、負傷から復帰して順調に調整を重ねる選手も貴重。その意味で、私は今の戦力には心から満足している」と、クロップは満面に笑顔で語った。

    負傷から復帰する選手として、クロップは、ジョーダン・ヘンダーソンとダニエル・スタリッジの2人を特記した。

    トランメア戦で5か月ぶりの復帰を遂げたヘンダーソンは、昨季の悪夢を振り返った。「自分でも絶好調だと思っていた時に、トレーニングでうかつにも足を痛めてしまった。最初は単なる打撲だと思ったら、日に日に悪化した」。昨季末にはほぼ完治し、夏休み中はプリシーズンでの完全復帰を目指してメルウッドに通い、一人で黙々と調整に励んだヘンダーソンの姿には、ファンの間でも期待の声が飛んでいた。

    「ヘンドの組織力、態度、そしてリーダーシップは最高に頼りになる。それほどの選手を、昨季は長いこと失っていたのだから、復帰は大きなプラス」と、クロップは目を細めた。

    そして、クロップはスタリッジについて、「私が監督になった2015年10月からの間で、今のダニエルは、ベストの体調という状態にある」と、笑顔で語った。

    クロップとスタリッジの「関係」について、ネガティブな記事が途絶えたことはなかった。負傷のため試合に出られない状態でなかった時にも、ベンチに置かれたことについて、「スタリッジはクロップのタイプの選手ではない」という説がささやかれ続けた。ウエストハムがスタリッジを狙っている、という噂が流れた時には、ジェイミー・キャラガーも「2017-18季には、スタリッジがLiverpoolにいる可能性は低い」陣営に加わった。

    これについて、キャラガー本人が6月に披露した裏話が、Liverpoolファンの間で大きな話題になった。キャラがシーズン末のオーストリア・ツアーで、Liverpoolのチーム一行に合流した時のことだった。「スタリッジから『2人だけで話をしたい』と呼ばれて、『何故、あんなことを言ったのですか?』と問い詰められた」。

    スタリッジは、半年間チームメイトとして共に働いた大先輩であるキャラに対して、常に敬意を示して来たことは有名だった。しかし、そのオーストリア・ツアーで会った時のスタリッジは「別人のようにとげとげしかった。明らかに、僕に対して怒っていた」と、キャラは語った。「僕としては、スタリッジ程の能力がLiverpoolのベンチにいるのはもったいないという意図で、スタリッジに対する高い評価を表現したつもりだったが、本人はものすごく気を悪くしたようだ」と、キャラは苦笑した。

    「逆に、スタリッジがそれほど真剣に、Liverpoolでレギュラーの座を奪回しようと強い決意を抱いているのだ、ということが良く分かった」。


    コメント

    非公開コメント

    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

    最新記事
    最新コメント
    リンク
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    QRコード
    QR