クラブの伝統を学ぶ外国人監督

    5月1日、Liverpoolは、エムレ・ジャンの華麗なオーバーヘッド・ゴールでワトフォードに1-0と勝った。試合後にゴールについて質問されて、「ルーカスから絶妙なボールが来た時、最初はヘッドを考えた。でも、ゴールまで距離があったので、とっさに方針転換した。チームの勝利に貢献できて嬉しい」と答えたエムレ・ジャンは、「これまでの自分のベスト・ゴール」と笑った。

    今シーズン前半は負傷と不調に見舞われ、批判に晒されることが少なくなかったエムレ・ジャンは、チームの負傷状況もあり、毎試合に出場する中で、次第に調子を取り戻していたところだった。このゴールは、かつての批判を覆し、「ピッチの上で回答した」ものだった。

    「エムレは今シーズン、ふくらはぎの痛みがある中で、必要性にかられて試合に出る状況が続いた。そんな中で、『痛みはあるが、全力を尽くします』と、チームのために努力し続けた。本来の実力が出せない時もあり、事情を知らない人々が批判を振りまいた。でも、痛みの問題もなくなった今、調子も安定してきた。エムレは体力もあり、意志も強い選手。このゴールは、出るべくして出た」と、ユルゲン・クロップは語った。

    エムレ・ジャンが、ゴールの瞬間にクロップのところに走って行った姿は、不調に苦しんでいた時にも信頼を見せ続けたクロップに対する感謝の表明だった。

    そして、不調時期に先頭を切ってエムレ・ジャン批判を叫んでいたアナリスト連中が、「ゴール・オブ・ザ・シーズン候補」、「いや、プレミアリーグの史上ランキング入りするゴールだ」と、手の平を返したように絶賛した。

    いっぽう、敗れたワトフォードの地元紙ハートフォードシャー・マーキュリーは、「上位のチーム相手に、果敢な守りでさんざん相手を苦しめた。守り固めの戦略は正解だった。ただ、リードされた後のプランBが欠けていたが。Liverpoolのゴールは、両チームのレベルの差を物語っていた」と、試合に関して極めて冷静な見解を掲げた。

    同紙の分析記事の末尾にあった、「監督とファンの絆」という見出しの記事は、Liverpoolファンの間で話題を引き起こした。

    「ファイナル・ホイッスルが鳴ったとたんに、ユルゲン・クロップはピッチに走って行き、ゴール・ヒーローのエムレ・ジャンを固く抱きしめた。その後で、他の選手にも同様のねぎらいを与え、ワトフォードのセバスティアン・プリョードルに温かい言葉をかけてくれた。インジャリータイムのあわや同点ゴール?の惜しいシュートを褒めた様子だった」。

    「そして、クロップは、アウェイ・スタンドのLiverpoolファンに向かって大きなガッツ・ポーズをした。スタンドからの盛大な声を背に、トンネルへと去って行ったクロップは、さわやかな笑顔を浮かべていた。そのクロップの後ろ姿を見守るホーム・スタンドのファンは、『監督とファンの絆』を羨ましく見つめていた。ワトフォード・ファンが、欲しくてたまらないものを、クロップとLiverpoolファンが見せつけたのだった」。

    「ワルテル・マッツァーリが試合後にファンのところに駆けつけたのは、ただ一度だけだった(アウェイのアーセナル戦、試合結果は1-2でワトフォードの勝利)。マッツァーリがフットボールに意欲を注いでいることは間違いなかった。タッチラインでボールを蹴る姿は、その熱意を表明していた。ただ、ワトフォードのファンが切望している『監督とファンの絆』を作る必要性には気付かぬまま、今に至った」。

    「同じく外国人監督ながらクロップは、就任してクラブの伝統を学び、ファンの文化を理解している」。

    ハートフォードシャー・マーキュリー紙の哀愁に満ちた記事に、Liverpoolファンは、「クロップが監督でいてくれる幸運」を再確認した。

    Liverpoolの選手は、「クロップを全面的に信頼し、監督からも信頼され、チーム内は一致団結している」と、誰もが異口同音に語る。主力の負傷で戦力不足に苦しむ中、最後までトップ4争いに全力を尽くすチームに、ファンの熱烈な応援は続く。

    コメント

    非公開コメント

    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

    最新記事
    最新コメント
    リンク
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    QRコード
    QR