選手がファンに謝る時

    イングランドの各リーグは終幕を迎えており、実質的な昇格・降格チームが見えてきた。そして、2部では首位ブライトンが、4月17日に来季のプレミアリーグ昇格を正式に決定した。イングランド南端に位置するブライトンは、ボーンマスよりも10キロ南にあり、アウェイの試合で訪れる、特に北部のチームにとって最も遠いスタジアムとなる。

    折しも、4月22日には、まだ今季は「最も南に遠い」ボーンマスが、「最も北に遠い」方ではサンダーランドと並ぶミドルスバラを4-0と破って、実質的にプレミアリーグ残留を固めた。

    さてこの試合では、直前の4月21日に44歳の若さで心臓発作で亡くなったウーゴ・エヒオグの追悼が行われたピッチ内外で誰からも尊敬されていたエヒオグの訃報は、イングランド中を深い悲しみに包んだ。。元イングランド代表、2014年からトットナムのコーチを勤めていたエヒオグは、現役時代にはミドルスバラで7年間(2000–2007)在籍し、2004年のリーグカップ優勝という偉業を成し遂げた、ファンにとっては永遠のヒーローだった。

    試合前の1分間の追悼で、アウェイ・スタンドのミドルスバラ・ファンが、天国に向かって声を張り上げてエヒオグの名をチャントした姿は、大切なヒーローであるエヒオグに対するファンの真意の証明だった。

    その試合で、開始早々の先制ゴールを食らった上に、2-0となり10人に減ったミドルスバラの現役選手たちの情けないプレイを目の前にしたミドルスバラ・ファンが、44分に(44歳という理由で)エヒオグの名を、大音量でチャントした、そのトーンは、今の選手たちに、エヒオグと同じシャツを着る資格があるのかと問いかけていたように響いた。

    「残り5試合で4勝しなければ降格するという背水の陣にありながら、なんとか残留しようという気力が全く見られないミドルスバラの選手たちとは対照的に、ファンは素晴らしい」と、コメンテイターは断言した。

    試合後に、その「情けない選手たち」を代表して、スチュワート・ダウニングがファンに謝罪した。「こんな遠くまで来てくれたファンに申し訳ない。ファンはシーズンを通してずっと、ファーストクラスのパフォーマンスをしてくれているのに、それに応えられてないのは我々の責任」。

    今季の降格は、最下位のサンダーランドと19位のミドルスバラがほぼ確定で、残り1枠をスウォンジーとハル・シティが争っている、というのが多くのアナリストが一致する見解だった。そのスウォンジーとハルはこの日、安全圏に入っているワトフォードとストークにそれぞれ2-0と勝って、残留争いに賭ける気力を見せた。

    そして翌23日には、クリスタルパレスが勝って安全圏に王手をかけた。

    いっぽう、パレスに敗れたLiverpoolは、トップ4争いの主導権を明け渡した(試合結果は1-2)。その2得点は、アストンビラ時代からの通算で対Liverpool7ゴールのクリスティアン・ベンテケが、ディフェンスのミスを付いて決めたもので、試合後にサム・アラダイスが「Liverpoolがコーナーに弱いことは誰もが知るところ。そこを付けばチャンスはある、と信じて臨んだ」と語ったように、Liverpoolにとっては、悪夢が実現したような負け方となった。

    「パレスは、アンフィールドで3連勝を記録した12クラブ目となった。2015年のスティーブン・ジェラードの最後の試合(試合結果は1-3)は感情的な打撃が大きかったし、昨季はユルゲン・クロップの初敗戦(試合結果は1-2)、そして今回は、Liverpoolのトップ4争いに致命的な影を落とした」と、地元紙リバプール・エコーは失意を隠せなかった。

    「分り切っている弱点を突かれたディフェンスは、言い訳の余地がない。ジム・ベグリンが『ユルゲン・クロップの幼稚園』とジョークを言った、ティーンエージャーだらけのベンチは、プレミアリーグでトップ4を狙える選手層にするには、相当な補強が必要という真相を露呈した」。

    昨季のパレス戦の後で、1-2となった時にスタンドの多くのファンが出口へと向かったことについて、「孤独を感じた」と悲しそうに言ったクロップは、今回は、チームの情けないプレイに対する責任を語った。「クリスティアン(ベンテケ)は一流のストライカー。でも、今日のわがチームのように、あんなに広いスペースを提供すれば、クリスティアンの能力の何分の1でも得点できただろう。今日の試合では、我々は良いプレイが出来なかったし、数人の頭の中では『今日はダメかもしれない』と弱気になっただろうと、見て取れた場面があった」。

    ただ、クロップは諦めてはいない、と宣言した。「選手と話をして、ミスを犯したことは確認し合った。今日はがっかりして落ち込んでいる。しかし、目標を断念するのは間違い。1-2日で回復して、気持ちを入れ替えて突き進む」。

    「私はこれまでの人生の中で、何度も打撃を受けてきたので、それに打ち負かされない気力は身につけている。敗戦はショックだが、そこからどうやって立ち直るかが勝負の分かれ目となる」。

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    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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