RIP 'バグシー'・モーラン

    3月25日、アンフィールドで、Liverpoolレジェンド対レアルマドリード・レジェンドのチャリティ・マッチが行われた。これは、両クラブが各々主催のチャリティをプロモーションする目的で計画されたシリーズで、2015年6月のサンティアゴ・ベルナベルでの1戦目は4-2でマドリード・レジェンドが勝ち、今回の方はLiverpoolレジェンドが4-3と雪辱を果たした。

    この試合でマン・オブ・ザ・マッチに輝いたスティーブン・ジェラードが、「この勝利を、真のレジェンドだったロニー・モーランに捧げる」と宣言し、53,000人のファンから盛大な拍手を受けた。その3日前の3月22日に、短い病棟生活の末に亡くなったモーランは、ジェラードを始め、この試合に参加していた、Liverpoolレジェンド殆ど全員のキャリアを支えた人だった。

    Liverpoolのベテラン・中堅ファンや、古株選手の間では'バグシー'というニックネームで知られていたモーランは、ビル・シャンクリー、ボブ・ペイズリー、ジョー・フェーガンらと共にブート・ルームを創立し、Liverpoolの元主将として、コーチとして、1998年に引退するまで、通算49年間をLiverpoolFCに捧げた。地元マージーサイド出身のモーランは、引退後も、毎日のようにメルウッドに通い、軽いトレーニングで自らの健康維持に励むと同時に、後輩選手・コーチたちに、その深い知識と経験を伝えることで、クラブに貢献するのが日課だった。

    そのような次第で、多くの現役選手たちとも面識があったモーランの訃報は、文字通り、LiverpoolFC全体を悲しみで覆った。その時には既に合宿トレーニングのためにテネリフェ入りしていた現チーム一行は、モーランを偲ぶ1分間の黙とうをささげた。

    そして、ユースチーム時代からモーランを見て来たジェイミー・キャラガーの言葉は、多くの人々の気持ちを代弁していた。「LiverpoolFCには、レジェンドと言われている人物がたくさんいる。その中で、このクラブの代名詞でもある成功と歴史という観点で、ロニー・モーランほど『レジェンド』という言葉がマッチしている人はいない」。

    現役時代、特にコーチとしてのモーランは、とにかく勝つことに固執し、そのために厳しくなれる人として、様々な伝説があった。リーグ優勝したシーズンの終わりに、メダルを選手たちに手渡しながら、モーランがにっこり笑って、「夏休みはゆっくり楽しみなさい」と言った話は、その一つだった。「来季はもっと厳しいトレーニングが待っているから」。

    マイクル・オーウェンが、「キャラは筋金入りのエバトン・ファンだった」エピソードを披露した時にも、モーランが登場してきた。「ファーストチームでデビューしてからも、暫くはエバトン・ファンを続けただけでなく、Liverpoolのチームの中でも隠すことすらしなかった。ある日、アウェイの試合から帰るチーム・バスの中で、エバトンが勝ったという試合結果がラジオから流れた時に、キャラは大声で歓声を上げた。即座にロニー・モーランから叱られたが」。

    キャラは、かくして若手時代によく叱られて、頭が上がらなかったモーランを、「僕のキャリアを開いてくれた人だった」と、感謝を込めて振り返った。

    それは、キャラがミッドフィールダーとしてプレイしていた、ユース・チーム時代のことだった。ユース・カップの試合で、ベンチにはディフェンダーが一人もいなかった時に、センターバックが退場となった。誰を投入するかと監督・コーチ陣が頭を悩ませていた時に、モーランが、「彼は将来、Liverpoolのセンターバックとして名を上げる選手だ」と、キャラを指さしたという。

    「モーランの言葉だから間違いない、と、誰もが素直に信じた。そのような偉大な存在だった」と、キャラは断言した。「そして、僕のキャリアに関しても、モーランの見解は常に正しいということが証明された。僕は、ファーストチームに昇格できたばかりの頃に、モーランの言葉を聞くのが楽しみだった。選手に対して話しかけるやり方や、話の内容、全てがとても勉強になった」。

    引退してからの「メルウッド通い」について、キャラの証言は続いた。「Liverpoolのレジェンドとして、メルウッドに入って来て、大きい顔をして好きなように振る舞うのが当たり前と言える程の人物なのに、全く違った。モーランは、メルウッドに来ると必ず、まずは監督にOKを取り付けた。ジェラル・ウリエ、ラファ・ベニテス、そしてブレンダン・ロジャーズの時代まで。それは、LiverpoolFCとブート・ルームを支えた精神の象徴」。

    シャンクリーがTVのキャラクター(バグシー・モーラン)から付けたニックネームについて、「もっと悪いニックネームで呼ばれたこともあるから、全く気にしていない」と笑ったモーランは、黄金時代のLiverpoolの強さの秘訣について問われて、ブート・ルーム創立時の写真を指差した。「この人たちは、勝利にこだわった。それがフットボールでは最も大切なこと」。

    「良い選手を揃えること。絶対に勝ちたいと思っている選手を。そうすれば、勝てるチームになる」。

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    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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