長期計画

    2月27日、レスターに7試合ぶりの勝利を与えた(3-1)試合の後で、Liverpool陣営は一斉に沈んだ。トットナム戦の快勝で(試合結果は2-0)、やっと立ち直りに向かったかと思ったところで、またしても、残留争いのチームに惨敗という、お馴染みの落とし穴にはまったのだった。

    Liverpoolが今季これまで「トップ6」との対戦で無敗を保っていたことは周知のことで、次の対戦相手はアーセナルと、記録上は強みがあったものの、レスター戦の後でへこんでいたファンの間では、「対トップ6無敗?記録は破られるためにある」と、悲観的な言葉すら出た。

    地元紙リバプール・エコーも、ファンの失意を上塗りするかのように、3年前の痛い出来事を蒸し返した。「Liverpoolは、トップ6の中で唯一、絶対的な得点源というストライカーがいない。そんな時に、アーセナルの看板を背負うアレクシス・サンチェスがアンフィールドを訪れて、Liverpoolに『逃した魚の大きさ』を見せつける、という構図は気が重い」。

    2014年の夏には、バルセロナに行ってしまったルイス・スアレスの代わりの戦力として、Liverpoolが大金を積んでサンチェス獲得に出たことは、あまりにも有名な話だった。移籍金も給料も、Liverpoolの方がアーセナルよりも条件が良く、バルセロナは乗り気だった。「奥さんがロンドンを希望しているから」という、でっち上げがLiverpool陣営から(?)出たものの、説得力はなく、「ワールドクラスのストライカーは、Liverpoolには来てくれないのでは?」という、悲観的な見解が飛ぶに至った。

    そんな中で迎えたアーセナル戦は、そのサンチェスがベンチで試合開始という、意外な事態となった。翌朝のメディアによると、「トレーニング中に、チームメートといさかいを起こしたことが原因」とのことだった。ただ、試合前はそのような事情は知らなかったため、暫く前からクラブとの昇給交渉が難航していることが原因?という憶測が飛び、アウェイ・スタンドのアーセナル・ファンは絶句した。

    結局、試合はLiverpoolが早々に優位に立ち、3-1と快勝した。Liverpoolにとっては、1999/2000季以来の対アーセナルのリーグ・ダブル、トップ6無敗を9(5勝4分)と伸ばした。

    リバプール・エコーは180度転向して、アーセン・ベンゲルへの同情を掲げた。「21年間の在任中、一貫して、Liverpoolのファンとクラブの伝統に敬意を表明してきたベンゲルは、つい先日も『最も好きなスタジアム』と賞賛した、アンフィールドでの試合は、これが最後となるかもしれない」。

    戦績面や戦力補強に関して、不満を蓄積させているアーセナル・ファンが、Liverpool戦を皮切に、ベンゲルの退陣を求めるデモを計画していたことを引用して、「1888/89季のリーグ創立年に、プレストンが達成して以来の、無敗の優勝(2003-04季)という偉業を成し遂げた監督が、このようなプレッシャーに晒されるのは遺憾」と、同紙は締めくくった。

    Liverpoolファンの間でも、ベンゲルに対する評価は高かった。「スタジアム移転費用捻出のため、移籍資金を大幅に制限されながら、1度の例外もなくCL出場をもたらしているベンゲルは、アーセナルのオーナーにとっては神様のような監督。クビはあり得ない。ただ、ここまでネガティブな空気が定着してしまった以上、ベンゲルが自ら去る決意をする可能性は否定できない」。

    「アンチのデモをやっているファンは、ベンゲルを失ってから初めて、その穴の大きさを痛感するだろう」と、Liverpoolファンは複雑な表情だった。

    終幕を迎えているベンゲルとは対照的に、ユルゲン・クロップは、Liverpoolでの長期計画を開始したばかりの段階にあった。初のフル・シーズンである今季は、後半に差し掛かったと同時に、負傷などで戦力の薄さが露呈し、調子の波に苦戦しているが、どんな時にも笑顔を絶やさず、オーナーや選手たちに対する信頼を語り、「長期計画」を強調するクロップは、Liverpoolファンに希望を与えていた。

    「勝ったから万歳、負けたら夏には選手総入替、というのは極端。実質的には、常にその中間にある。選手たちは、能力はあるが、毎試合でフルに発揮できているとは言えないのは真相。マンチェスターシティに良い内容で1-0と勝った。次のサンダーランドに2-2と引き分けた。実際は、サンダーランドのような試合の方が圧倒的に多い。それは改善しなければならない」と、アーセナル戦の後で、クロップは語った。

    「今週は、始まりがレスターで、誰もが怒りと失望で沈んでいた。そして、アーセナル戦では良いプレイが出来てホッと一息...付く間もなくすぐに、次はバーンリーだ、と頭を抱える。明るい気持ちになる余裕がなく、トップ6以外には勝てないという、重たい空気がよどんでいる」。

    「私の仕事は、みんなが期待に胸をときめくような環境を作ること。勝てなかった試合の後では、痛烈に責任を感じる。勝って、みんながハッピーになれるよう、頑張らねばならない」。


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    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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