期待外れのレッド・マンデー

    10月17日のアンフィールドでのLiverpool対マンチェスターユナイテッドは、試合前の盛り上がり方とは対照的に、見どころの少ない無得点引き分けに終わった。

    事前のメディアは、スカイTVの「マンデーナイト・フットボール(※月曜日の夜に行われるプレミアリーグ戦の呼称)」を、両チームのチーム・カラーで文字って「レッド・マンデー」と命名し、「伝統的なライバル対戦が、今季はプレミアリーグきっての監督同士の対決に加えて、リーグ順位も賭けている、二重三重にビッグ・マッチ」と、注目ポイントを並び立てた。

    勝敗の予測としては、中立のメディアは勿論、ユナイテッド陣営からも「Liverpool優位」という見解が圧倒的だった。ユナイテッドの黄金時代の象徴である「クラス・オブ1992」の一人であるポール・スコールズは、「Liverpoolはユルゲン・クロップ下でアイデンティティを作り上げたのに対して、ユナイテッドは個性を失ったまま復帰できずに苦戦している」と、悲観的とも言える意見を掲げた。

    常にユナイテッドの対戦相手を応援するシティ・ファンは、今季これまでのプレミアリーグの統計を上げて、Liverpool楽勝を予測していた。「今のプレミアリーグで、トッテナムとLiverpoolが、攻撃的で面白いフットボールをする2大勢力。我がチームにとっては、優勝争いのライバルがポイントを落とすのは歓迎だが、しかし、数字上でもプレミアリーグで最もカバー率の高いLiverpoolに対して、最低のユナイテッドが叶うはずがない。Liverpoolにポイントで追いつかれる覚悟はできたから、ユナイテッドが屈辱的な大敗を喫することに期待しよう」。

    結果的に、世間の予測と期待を裏切った試合の後で、全国メディアは「レッド・マンデーがデッド・マンデー(※つまらない、という意味)になった」と酷評し、第三者のファンは「この試合を見るよりも、ペンキが渇くのをじっと見つめていた方が遥かに興奮しただろう」と、ジョークを飛ばした。

    そして、当事者の反応は対照的だった。

    ユルゲン・クロップが「自分たちのプレイが出来なかった」と反省的だったのに対して、モウリーニョは、2003年にプレミアリーグが各試合のポゼッションを集計するようになって以来、チームの最低記録となった35%の数字を逆手に取って、「ポゼッション65%を誇りながら得点できなかったチームは、結局『ワンダー・チーム』ではなかった」と逆襲し、ユナイテッドの地元紙マンチェスター・イブニング・ニュース紙は、「モウリーニョの戦略がクロップの『攻撃的で魅力的なフットボール』に勝った」と「勝利宣言」を掲げた。

    これに対して、シティ・ファンが冷静な反撃を唱えた。「『モウリーニョの戦略』とは、自分たちよりも優れたチームに対して、相手に得点させないために手段を問わない、というもの。その結果、相手チームのレベルも引き下げて試合をつまらなくさせる。勝てなかった自分たちに激怒していたクロップと、アンチ・フットボールを貫いた自分たちを誇って喜びを隠せなかったモウリーニョを見ていると、今後のユナイテッドの衰退は不可避だと思ってしまう」。

    そのシティでユース・チーム時代の一時期(2009–2011)を過ごしたロリス・カリウスが、古巣のファンの見解を裏付けた。「勝てなかったのは悔しいし、反省点は多い。ただ、相手チームが『バスを停める』戦略を取ったということは、我がチームに対してそれだけ脅威を抱いていたからだと、自分たちに自信を感じる」。

    Liverpoolのゴールを守るようになって3試合目のカリウスは、まだプレミアリーグに順応している過程にある中でのビッグ・マッチで、世間の評価は不明瞭なままとなった。対極では、Liverpool戦でのスーパーセーブが習慣になったダビド・デヘアが、この日も2本のセーブを見せた。

    「特に、フィル(コウチーニョ)のシュートは、入ったと思ったので、我々にとっては残念だった。しかし、デヘアに対して素直に賞賛すべきだと思った。デヘアは、ここ数年の成長は目を見張るものがあり、今は世界のトップを争うキーパー。その実力を改めて実感させられた」と、カリウスはライバルを讃えた。

    そのカリウスの言葉に、Liverpoolファンは頷いた。「5年前に、20歳のデヘアがユナイテッドに来た時は、今のカリウスよりももっと不安定だった。それが、失敗から学びながら、ビッグ・クラブで経験を積み、トップクラスの監督が見初めた才能を開花させた。カリウスを見ていると、デヘアと同じ運命を歩むような気がする」。

    世間の期待を見事に外した「レッド・マンデー」の失意の中で、Liverpoolファンは、「カリウスにとってはリーグ初のクリーンシート。これを土台にして着実に進んで欲しい」と、期待に胸を膨らませた。

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    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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