ユルゲン・クロップの監督就任1周年

    今季2度目のインターナショナル・ウィークを控えた9月27日に、イングランド代表監督が収賄事件で辞任するというショッキングな事件が起こった。これは、テレグラフ紙の独自捜査で発覚したもので、東南アジアのビジネスマンを装った人物が、プレミアリーグで禁止されているサードパーティー・オーナーシップ(※第三者が選手の所有権を持つ契約形態)について相談を持ちかけ、サム・アラダイスが「法を迂回して実現するのは簡単」と豪語し、£400,000のコンサルタント料を約束をする一連の会話を、隠しカメラで撮影したものだった。

    7月22日に年収£3m+ボーナスの高給でイングランド代表監督に就任したアラダイスが、£400,000に目がくらんで、8月にこの「おとり捜査」に引っ掛かり、代表監督職を追われる結果となった。

    このテレグラフ紙の独自捜査は10か月前から続いているもので、その中で「£5,000を受け取った、有名クラブのアシスタント(※9月29日、サウサンプトンのアシスタント、エリック・ブラックがこの件で辞任)」、「元・現プレミアリーグの監督10人が、選手の移籍に際して『裏金』を受け取ったことを、エージェントが証言した」、「2人の有名監督が、アラダイスと同じ『役職』を受諾した」という事実を公開した。

    喧騒の中で、辞任後初めて沈黙を破ったアラダイスが、「一メディアが『おとり捜査』を仕掛けた」と、あたかも「自分は罠にかけられた」とも解釈できる発言に、ファンの怒りに油を注いだ。

    「テレグラフ紙は警察に証拠を提出したし、何ら問題はない。しかも、ビデオでの言動を見ると、アラダイスの収賄はこれが初めてとは思えない。おとり捜査をしたからこそ、長年の腐敗が暴露されたというもの」。

    メディアの批判も痛烈だった。「ペップ・グアルディオーラやユルゲン・クロップのような、超一流監督がプレミアリーグに来てくれて、品位とレベルを底上げしてくれている傍らで、英国人監督・コーチの堕落がこの国の名誉を汚している」。

    ちょうどその頃、クロップが9月26日のマンデーナイト・フットボールに出演して、レギュラー・アナリストであるジェイミー・キャラガーとの対話の中で、戦術やテクックに関する深遠な見解を披露して、イングランド中のファンの賞賛を更に高めたところだった。

    これまでにもロナロド・クーマン、ロベルト・マルティネスら監督をゲストに迎えた経験を持つキャラが、番組の後で、「番組史上に残る大ヒット。Liverpoolファンだけでなく、あらゆるチームのファンが何らかの形で話題にした。」と、喜びを語った。

    「ここ1年間というもの、ずっと、クロップのOKを取り付けるために努力し続けた。僕自身はクロップとメルウッドで一緒にトレーニングしたことがあるわけではないので、元監督と選手の打ち解けた関係がなく、出演依頼をするのも物凄く気を使った。でも、その甲斐があった」。

    その大反響の余韻の中で行われた10月1日のスウォンジー戦で、世間の期待を裏切るかのように、Liverpoolは情けないスタートを切り、スウォンジーに先制ゴールを与えた。

    トラベリング・コップが大音量の声援を激化し、Liverpoolは後半に、目覚めたかのように本来の攻撃力を発揮し、2-1と逆転勝利を収めた。

    試合後のインタビューで、決勝PKを決めたジェームズ・ミルナーが、「ユルゲン・クロップは、僕がこれまで共に働いた監督の中で、トップクラスだというだけでなく、比べる人がいない程にユニークな監督」と、目を輝かせた。

    「監督の理念はものすごく分かりやすく、選手全員が確実に理解できている。今日の試合では、監督は、ハーフタイムのチームトークでは感情を抑えて冷静に話をしてくれた。お蔭で我々は委縮することなく、後半に本来のプレイができた。でも、監督が激怒していたことは誰もが分かった。試合前に監督から言われたことはまさにその通りだったし、それが出来なかった我々が悪い。なんとしても勝たねば、と奮起した」。

    地元紙リバプール・エコーのインタビューで、クロップがミルナーの証言を裏付けた。「スタンドのファンのパフォーマンスは最高だった。楽しませてもらった。でも、前半のピッチの上のパフォーマンスは最低だった。私は内心、激怒していた」。

    「この1週間は、楽しいインタビューあり、非常にいい感じの出来事が続いた。でも、週末には、スウォンジーが待っている。我々の楽観ムードをぶち壊して、撃墜させようと目論んでいるのだ。絶対に気を抜いてはいけない。毎試合に勝つ緊張を維持できなければ、どんなに良い日々を過ごしても何もならないのだ、と選手に言った。で、あのプレイだったので」と、クロップは苦笑した。

    エコーの記者が、10月8日でクロップはLiverpool監督に就任してから丸1年になる旨を話題にした時に、クロップはきっぱりと言った。「1周年を祝うつもりは全くない。何故なら、私のLiverpoolでのプロジェクトは始まったばかりなのだから」。

    「本当に祝えることを成し遂げるために、これから皆で力を合わせて進む」。

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    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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