ユルゲン・クロップの心の中

    5月15日のプレミアリーグ最終日に、Liverpoolは、前のチェルシー戦(試合結果は1-1)から11人変更した若手中心のチームで臨み、WBAに1-1と引き分けて、60ポイントの8位で終わった。

    地元紙リバプール・エコーは、「リーグ順位でのEL出場権はなくなった。5月18日のバーゼルは、文字通り『全てかゼロか』の試合となった」という見出しで、ビル・シャンクリーがLiverpoolをイングランド1部に昇格させた1962年からの半世紀余りで、最低線の8位とタイという成績で終わった、失意の2015-16季を振り返った。

    「昨季(62ポイントで6位)よりも若干下回る数字は、誰もが遺憾に感じて当然。しかし、昨季の最終戦では、ストークシティに6-1と屈辱的な大敗を喫しながら、答えを持っていなかったLiverpoolに対して、ファンは希望を失った。しかし、今回のWBA戦では、64分にサブで登場したダニー・イングスに対して、トラベリング・コップは名前をチャントして大歓迎を表明した。長期負傷から復帰しつつある選手や、プレミアリーグの経験を積んでどんどん成長している若手の姿に、ファンは、8位という成績よりも、今後のチームの発展を夢見て、期待に胸を膨らませている」。

    5月12日に発表された、Liverpoolの2015-16季の優秀賞は、最優秀若手選手賞(エムレ・シャン)を除き、最優秀選手賞、選手が選ぶ最優秀選手賞、パフォーマンス・オブ・ザ・シーズン(アウェイのマンチェスターシティ戦、試合結果は4-1でLiverpoolが勝利)、ゴール・オブ・ザ・シーズン(ELアウェイのマンチェスターユナイテッド戦、試合結果は1-1)の4部門をフィリペ・コウチーニョが独占した。

    同じくコウチーニョが独占した昨季は、ファンの反応は「競争相手がいなかったから、当然の選出」という、冷めたものだった。着実に存在感を増しているコウチーニョに対して、嬉しいという気持ちを抱くと同時に、「このままでは、一人でチームを背負い続けた末に、トロフィーが取れないLiverpoolに愛想をつかして、コウチーニョに出て行かれる日が来るだろう。そうなっても非難は出来ない」という危惧が拭えなかった。

    しかし今季は、コウチーニョと並んで、ディボック・オリジ、ダニエル・スタリッジ、クリスティアン・ベンテケ、ロベルト・フィルミーノの5人が、カップ戦との合計で通算得点2桁を達成したという、数字からも明らかなように、ファンの意見は分かれていた。そして、「パフォーマンス・オブ・ザ・シーズンのシティ戦は、どちらかと言えばボブ(ロベルト・フィルミーノ)の方がフィル(コウチーニョ)よりも良かったと思う」という声や、「ドルトムント戦(試合結果は4-3でLiverpoolの勝利)のヒーローでもある、今季は飛躍的に向上したデヤン・ロブレンに取らせてあげたかった」など、熱い議論を交わすファンは、誰もが笑顔を浮かべていた。

    そんな中で、ファンの間で一致した意見は、「今季だけでなく、FSGがオーナーになってからの5年間で、ベスト・サインはユルゲン・クロップ」というものだった。

    そのLiverpoolファンの声を聞いたかのように、5月13日に、NBCで「ユルゲン・クロップの心の中」というタイトルのドキュメンタリーが放映された。

    「あなたが監督に就任してから、デヤン・ロブレン、アダム・ララーナ、ディボック・オリジ、ジョー・アレンを筆頭に、多くの選手が飛躍的な向上を遂げた。その秘密は何ですか?」という質問に、クロップは笑いながら首を横に振った。

    「私は、サウサンプトン時代のララーナとロブレン、スウォンジーのアレン、そして17歳でベルギー代表チームで名を上げたオリジを知っていた。私が彼らを変身させたのではない。彼らはみな、元々実力のある選手たちだった」。

    Liverpool監督の話を受けた2015年10月には、クロップは、本当はもう少しフットボールから離れている予定だったが、「Liverpoolだったから」、あえて計画を覆して、早期復帰を決意した、という話は有名だった。その時の決意について、今振り返って後悔していないか、と問われて、クロップは熱く語った。

    「Liverpoolは、ドイツでは良く話題に上がるチームだし、私もずっと前から知っていた。そして、2014年夏に、プリシーズンでアンフィールドを訪問した時、期待通りだと思った。いつか、チャンスが来ればこのクラブの監督になりたいと思った。そして、ここに来た途端に、地元の人々の熱情に触れて、一気に好きになった」。

    「成功は、皆で力を合わせて頑張ることで達成できる。それには時間が必要。数日なのか数カ月なのか、あるいは2年かかるか。ただ、信じて一緒に戦ってほしい。私がこれまで監督を勤めた2つのクラブであるマインツとドルトムントも、Liverpoolと同じくYou'll Never Walk Aloneをクラブ歌としていた。それは、偶然かもしれないし、運命かもしれない。私は、決して一人で歩くつもりはないから」。

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    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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