ラファの2度目のアンフィールド訪問

    3月11日に、ラファエル・ベニテスが、今季の残り10試合でニューカッスルをプレミアリーグ残留させる指名を背負って監督に就任した時、世論は二分した。賛成派の代表はニューカッスル・ファンで、素直に「やっと一流監督が来てくれた」という歓迎の声が圧倒的多数派を占めた。

    ここ2年間、シーズン終幕に辛うじて降格を免れる憂き目にあるニューカッスルのファンは、2年間で4人の監督交替が、いずれも同じ運命に到達している状況にうんざりし、残留争いに疲れ果てていた。イングランドで4番目の収容人数(52,000)を誇るスタジアムが、ほぼ毎試合満席になるほどにチームに対する忠誠心が強いファンにとって、「勝てるチーム作り」のための投資もそこそこに、収益を上げているオーナーと、外れ続きの監督選出に対する怒りから、荒んだ日々を過ごしてきた。

    そんな中で、CL優勝1回、EL2回、スペインリーグ2回など、ヨーロッパ各地の名門クラブで監督を勤めたベニテスに対して、歓迎したのは自然な流れだった。

    一方で、疑問を投げかけた側の言い分は、「残り10試合で残留を達成することが目的というチームにとって、今、必要なのは、ビッグ・クラブにトロフィーをもたらせた実績を持つ一流監督ではなく、プレミアリーグ残留争いに実績を持つ監督」というものだった。

    隣のサンダーランドが、後者の理論でサム・アラダイスを監督に迎えたことは周知の通りで、ベニテスを選んだニューカッスルとの間で繰り広げる残留争いは、ニュートラルなファンやメディアの注目を引いていた。

    そして、初戦に絶好調のレスターと対戦して黒星(試合結果は1-0)のスタートを切ったベニテスは、サンダーランドに1-1と引き分けて、ダービーの連敗を6で阻止したことで、ファンの支持は着実に固まって行った。

    その新星ニューカッスルに転機をもたらしたのは4月16日のスウォンジー戦だった(3-0でニューカッスルの勝利)。次のマンチェスターシティ戦で、先制されながら1-1と引き分けた後で、カップ戦も含めて4連勝中の好調Liverpoolに前半2-0とリードされて、2-2と貴重なポイントを収めたのだった。

    試合後の記者会見で、「我が選手たちは実力がある。自信を取り戻せば、必ず勝てると思っていた。マンチェスターシティとLiverpoolというトップ・クラブに、先制されながら追いついたこの2戦では、選手たちは戦意を見せた。そして、ファンが選手の意欲を認めてくれて、最後までバックアップしてくれている」と語ったベニテスに、ニューカッスルの地元紙や、元選手のアナリストは一斉に絶賛を掲げた。

    「今のニューカッスルは、やる気満々の選手をファンが全力でバックアップする上昇気流にある。それは、苦しい試合を盛り返すことでは第一人者のベニテスがもたらした効果。ベニテスは、たとえ今季限りで去ったとしても、十分なレガシーを残した」。

    いっぽう、ラファを対戦相手の監督として2度目に迎えたLiverpoolの側では、地元紙リバプール・エコーが、その状況の「2つの共通点」に着目した。

    「2013年4月に、チェルシー監督としてラファを迎えた時、Liverpoolはクラブ史に汚点を残す大事件に見舞われた。試合終盤に、ルイス・スアレスがブラニスラブ・イワノビッチを噛んだ事件だった。そして今回は、試合の前日にママドゥ・サコーのドーピング事件が発覚した。前回は事件がオフィシャルになる前に、スアレスが96分にゴールを決めて2-2と終わったのに対して、今回は、試合前に度胆を抜かれ、後半の巻き返しを食らって勝ち試合を落とした」。

    サコーの陽性反応は、3月17日のELラスト16でのことで(対マンチェスターユナイテッド2戦目、試合結果は1-1)、4月22日の金曜日にUEFAから正式な通達を受けたものだった。発見されたのはダイエット剤として知られているファットバーナーで、現時点では、サコーはUEFAに対してBサンプルのテストを申請するものと見られており、これが陽性と判定されれば、2年間の出場停止が推定されている。

    その暗い事件を除くと、2013年とのもう一つの共通点は、ラファを歓迎するチャントと拍手がスタンドから沸き起こったことだった。

    試合後の記者会見で、「Liverpoolファンが私の名前をチャントしてくれたことは、感激した。そして、その後にニューカッスル・ファンが私の名前をチャントしてくれた」と、ラファは頬を紅潮させて語った。「私はLiverpoolには特別の思い出がある。ELではぜひ、勝って欲しいと祈っている」。

    Liverpoolファンがラファに対して「特別の思い出」を永遠に抱き続けることは当然、と断言したエコーは、2013年と今回との最も大きな違いを掲げた。

    「2013年にラファを迎えた時、Liverpoolファンは、ラファに対して、戻って来て欲しいという哀愁の気持ちを半分抱きながら、ラファの名前をチャントした。それは、就任以来ずっとラファに対してブーイングし続けていたチェルシー・ファンに対するカウンターだけではなかった。ラファが去ってからずっと、並の成績に低迷していたLiverpoolの現状に対する憂いがあった」。

    「しかし、今回は、クロップの下で確実に前進しているチームに対する誇りと期待で、ラファに対しても明るく素直に感謝する余裕が、ファンのチャントに込められていた」。

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    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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