ミラクルを起こしたのは誰?

    4月14日のアンフィールドでのEL準々決勝で、前半終わって0-2、通算1-3とドルトムントが優位に立っていた時に、テレグラフのオンライン紙が、20:42のタイムスタンプで「アダム・ララーナの『空振り』は、前半のLiverpoolを象徴していたコメディ」というgif付きの記事を掲げ、イングランド中の笑いをそそった。それに続いて、この類のジョークで定評があるメディアが、ララーナが出演しているLiverpoolのオフィシャル・スポンサーであるニベアのCMをパロって、「ニベアを膝に塗ったらこうなる」と畳みかけた。

    この時点では、イングランド中がドルトムントの楽勝を予測していた。翌朝のメディアは「イングランドの恥」というヘッドラインで埋め尽くされることは不可避で、テレグラフ紙は、試合終了まで待つ必要性を感じなかったように見えた。

    しかし、試合後に「コメディ」と笑いものになったのはテレグラフ紙の方だった。後半に4点取って4-3、通算5-4の大逆転勝ち抜きを決めたLiverpoolに、イングランド中のニュートラルなファンが一斉に拍手を送った。

    そんな中で、マンチェスターユナイテッド・ファンが、Liverpoolに対するライバル意識をむき出しにしつつ、「嫉妬で目がくらむ」と、正直な感想を表現した。

    「ユルゲン・クロップがLiverpoolにもたらした数々の要素は、全て、我々ファンがユナイテッドに求めて悲痛な叫びを続けているものばかり。熱情、エネルギー、信念、テンポ、ゴール、そして野望。クロップは、前監督から引き継いだ選手たちに大改革をもたらした。世間一般の評価では『並の選手だらけ』のLiverpoolの選手たちが、プロとして立派な仕事をやっているだけでなく、闘志をむき出しにして戦っている。クロップは、クラブを団結させ、ファンに誇りを与えている。ああ、クロップが我がチームに来てくれていたら、今頃我がチームは、リーグと全カップ戦で優勝を狙う位置にいただろうに。そのクロップが、宿敵Liverpoolに行ってしまって、Liverpoolを、何があっても最後まで諦めない、面白い試合をするチームにしてしまった」。

    このユナイテッド・ファンの嘆きの声を聞いて、Liverpoolファンは深く頷いた。「今季始めには、クロップをユナイテッドに取られるのではないかと覚悟したこともあった。そのクロップが、我がチームに来てくれたとは、今でも信じられないくらいの幸運」。

    クロップがドルトムント戦のハーフタイムに、選手に闘志を注いだ言葉を、ディボック・オリジが証言した。イスタンブール(2005年、CL決初戦で前半3-0とACミランにリードされながら延長を終えて3-3、PK戦で優勝)を引き合いに出して、「君たちの孫の代まで語り継がれるようなものを見せなさい」と言ったという。

    試合後の記者会見で、それについて質問されて、クロップは「確かに、そう言った」と微笑んだ。「しかし、言うのは簡単で、実行に移すことは非常に大変なこと。その大変なことをやり遂げた選手たちを誇りに思う」。

    続いて、試合後にLiverpoolの選手全員がコップの前に立って、手を繋いでファンに挨拶をしたことについて、「WBA戦(12月13日、Liverpoolは96分の同点ゴールで2-2と引き分けた試合)と同じ指令を出したのか?」と質問されて、クロップは首を横に振った。「いや、私はあれについては何もしていない。選手が自主的にやったこと」。

    「ファンは試合前からチーム・バスを大声援で迎えてくれた。試合中もずっと声援を絶やさず、チームを助けてくれた。今日の勝利は、選手とファンが共同で達成したもの。だから、選手たちがファンと一緒に祝ったのは、まさに的確な行動だったと思う」。

    ママドゥ・サコーが、試合後のインタビューでクロップの言葉を裏付けた。「我々は全員が、最後までハートを持って戦った。それは、スタンドのファンが最後まで我々を見放さなかったからこそ、できたこと。今日の試合は、『リバプール国』の勝利」。

    敗れたドルトムント監督トーマス・トゥヘルは、記者会見で「敗因は?」との質問に、「原因を言えるのは、ロジックがあることについてだけ。今日の試合について、私は事実を答えることはできるが、理由を説明することはできない。何故なら、この試合はロジックではなかったから」と答えた。

    「このクラブは、ACミランに前半3-0と負けていた試合をひっくり返した経験を持つクラブ。後半、激しい反撃から1点取られた時には、我がチームは落ち着いて3-1と優位を取り戻した。しかし、このスタジアムには熱意とエネルギーが住み着いていて、ロジックでは説明できない結果を作り出した」。

    「同点ゴールが出た時、このスタジアムの中にいた誰もが、ミラクルが起こる運命を確信したように思う」。

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    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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