メディアの注目を独占するチェルシーのお家騒動

    10月31日のビッグ・マッチ、スタンフォードブリッジでのチェルシー対Liverpoolは、試合前からメディアの注目が、全く異なる理由で両監督に集中した。

    大陸から実績のある監督が来た時の定例でもあり、元々イングランドのメディアから好かれていたユルゲン・クロップは、直前10月28日のリーグカップ4回戦で、ボーンマスに1-0と勝ち、Liverpool監督としての4試合目でやっと初勝利を飾ったところだった。リーグ初勝利を目指す意気込みや、ドルトムント時代にレアルマドリードのジョゼ・モウリーニョと対戦したなど様々な質問に、ジョークを交えて明るく対応したクロップは、「メディアの人気者」状態を維持した。

    いっぽう、Liverpoolに負けたらクビが決定という情報が出回っていたモウリーニョは、1-3と敗れたLiverpool戦の試合後の記者会見で、「何も言うことはない」を連呼し、回答を拒否したことで、イングランド中のメディアの批判やクビの憶測をさらに悪化させた。

    11月2日には、前週のウエストハム戦(2-1でウエストハムの勝利)で、ハーフタイムにレフリーの控室に「押し入った」行為に対して、4万ポンドの罰金と1試合のスタジアム入り禁止処分が下った。

    ほぼ同時期に、開幕戦(対スウォンジー、試合結果は2-2)の試合中に、倒れたエデン・アザールの手当てをしにピッチに入ったことで、モウリーニョから「フットボールを知らない」と公の場で批判され、チーム・ドクターとして降格させられた末に退職に追い込まれたエバ・カルネイロが、損害賠償を求めてモウリーニョを訴える計画が報道されたところだった。

    ピッチ内外でのプレッシャーは、容赦なくモウリーニョを襲い続けた。同日中に、匿名のチェルシーの選手が「モウリーニョのために勝つくらいならば、負けた方が良い」と言った、という噂が流れ、翌日には具体的な名前(セスク・ファブレガス)がメディアを飾った。

    そんな中で、トーク・スポーツの記者が「モウリーニョのクビは決定した。チェルシーは、発表のタイミングを見ているところ」と、「内部情報」を掲載するに至った。インターナショナル・ウィーク前の11月7日のストーク戦の直後になるだろう、と推測する記事の中で、「モウリーニョが留まる可能性は限りなくゼロに近い」と結論した。

    「負けた試合の後で、メディアの批判から選手を守るために、問題発言をして注目を自分に集めたモウリーニョのやり方は、レフリーや相手監督・選手、FAを非難していた間はそれなりに効果があったが、その矛先が、クラブの内部やファンへと、次第に内部に向かったことが破たんをもたらした」。

    しかし、次の「問題発言」は、11月4日のCLディナモキエフ戦の前の記者会見で、主将のジョン・テリーから出た。

    これは、Liverpool戦のハイライト番組で、リオ・ファーディナンド、ガリー・ネビル、ジェイミー・キャラガーら、テリーにとってはイングランド代表チームでの元同僚に当たるアナリストから「ショッキングなディフェンス」と酷評された後で、BBCのアナリストとして活躍している元ウェールズ代表のロビー・サビッジから、畳み込むように厳しい批判が出たことへの反論だった。

    「選手として敬意を抱いているリオ、ガリー・ネビル、キャラからの批判は、ありがたい叱咤として耳を傾ける。でも、そもそも選手として特に顕著な業績があるわけでもない人からの言葉は、何とも思わない。例えばロビー・サビッジのような」。

    さっそくヘッドラインを独占したこの発言は、多くの人が「テリーは、メディアの注目をモウリーニョから肩代わりする意図でやった」と唱え、チェルシーのお家騒動の深刻さを更に強調した。

    一連のやり取りの中で、「世の中の話題はチェルシーに集中し、Liverpoolが順位表の上半分に上がることが出来た程に低迷している状況などどうでも良いかのようだ。日陰でじっくり自分たちの任務に専念できるとは、ありがたい」と、Liverpoolファンはホッと胸をなでおろした。

    チェルシー戦の試合後の記者会見で、クロップは「あっさり先制ゴールを食らうという悪いスタートを切ったが、その後の反撃という点では、わが選手たちは良くやった。もっと良いプレイができるというのは確かだが、今はまず、ミスを犯したことについて考え過ぎることなく、気持ちを切り替えて勝ちを目指して戦ったことを、誇りに思う」と、選手を激励した。

    結果的に、チェルシーの「ショッキングなディフェンス」のお蔭で、貴重なリーグ初勝利を上げたLiverpoolは、取戻しつつある自信を胸に、更に前進し続ける。

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    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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