クリスタルボールの2015-16季予測

    1年前の夏に、2014-15季の予測を正確に唱えて「クリスタルボール」と異名を取るに至ったファンの、2015-16季予測が、8月20日に出た(リトル・マジシャンの怒りの炎)。折しも、Liverpoolが開幕2試合でクリーンシートを守って、「守りが安定に向かっている」と明るい面が見えてきた中での、「6-8位」という予測に、Liverpoolファンは沈黙した。

    しかし、その後3試合で僅か1ポイント、アーセナル戦(0-0)に続いて、アンフィールドでウエストハムに52年ぶりの敗戦を喫し(0-3)、宿敵マンチェスターユナイテッドに0-0狙いの戦略で臨んだ末に3-1と玉砕した後で、8月20日の予測は早くも「やはりクリスタルボール」の様相となった。

    そのクリスタルボールの「6-8位」予測は、多くのLiverpoolファンや、元Liverpoolのアナリスト、地元紙リバプール・エコーらLiverpool陣営に加えて、ライバル・ファンや中立のメディアから続々と出てきている批判や問題提議の主要なポイントを、ことごとく包含していた。

    1.最近23年間で最低のチーム力

    選手獲得資金の統計結果で、Liverpoolは世界で7番目に高い選手を持つチームと判明した(1.レアルマドリード、2.マンチェスターシティ、3.マンチェスターユナイテッド、4.PSG、5.チェルシー、6.バルセロナ)。上にいる6チーム中3がイングランドであることを考えると、プレミアリーグでトップ4に入ることの困難さは明らかだった。

    しかし、世界で7番目のLiverpoolは、過去23年間チームに必ず1人はいた「単独で勝ちをもたらすワールド・クラスのスーパースター」が一人もいない。殆どのLiverpoolファンが「近年最悪」と評価するロイ・ホジソン(2010-2011)の時代ですら、スティーブン・ジェラードとフェルナンド・トーレスがいた。

    それだけでなく、「ここが強み」と自信が持てるポジションが一つもない。ジェラル・ウリエ(1998–2004)とラファエル・ベニテス(2004–2010)の時には、「つまらない」と言われたほどに固い守りを誇っていたし、ロイ・エバンス(1994–1998)時代には、「守りさえ締めれば優勝」と言われ続けた攻撃力を持っていた。今のチームは、「ここだけは」と言うポジションが何もない。

    9月3日に、ハリー・レッドナップが「今のLiverpoolは私の記憶の中で最悪の並のチーム」と酷評して、話題になった。

    2.現監督(2012-)の7回の移籍ウィンドウで、£300Mの資金を投じた結果がこれ。その移籍失敗の責任は誰も問われていない

    今のLiverpoolの選手の中で「素晴らしい」と分類できるのはフィリペ・コウチーニョと、負傷してない時のダニエル・スタリッジの2人だけ。「良い選手」と言えるのはナサニエル・クライン、ジェームズ・ミルナー、ジョーダン・ヘンダーソン、クリスティアン・ベンテケがせいぜい。

    ミルナーとヘンダーソンは、試合を通して全力で走る「働き者」だが、クリエイティブなタイプではない。コウチーニョが負傷でもしようものなら、Liverpoolは大ピンチに陥る。

    9月12日のユナイテッド戦の後で、リバプール・エコー紙は「希望なし、将来の展望なし、熱意なし」と評した。

    ユナイテッド・ファンは、「今日のLiverpoolの選手の中で、トップ4のチームでレギュラー入りできる選手は誰もいない。クラインは、たぶんベンチには入るだろう。他は、クリスタルパレスやスウォンジー程度のチームでプレイすべきレベル」と、冷静に語り合った。

    3.「攻撃的プレイスタイルの理念」を放棄して、またゼロからスタート

    ブレンダン・ロジャーズが、「才能はあるが実績がない若い監督」という立場で、Liverpool監督という大きなステップ・アップに臨んだ時には、唯一にして最大の長所が「ポゼッションをキープする、攻撃的プレイスタイルの理念」だった。それを放棄して「ターゲット・マン頼りのダイレクトなフットボール」に方針転換したということは、選手にとっても、これまで3年間積み上げてきた経験を捨てて、またゼロからスタートするということ。

    それは、ロジャーズがプレッシャーに負けて万策尽きた証拠だった。

    ユナイテッド戦の後で、世の中の「次にクビになるプレミアリーグの監督」オッズで、ロジャーズは、シーズン開幕前から首位を走っていたサンダーランドのディック・アドフォカートに僅差で続く2位に浮上した。

    4.「並のチーム」であることを受け入れるクラブの体質

    世界で7番目に高いチームが、ストークに6-1で負けても何も起こらない。ホームでウエストハムに屈辱的な敗戦を喫しても、監督は平然と「向上が必要」と語って終わり。宿敵ユナイテッドに3連敗を食らっても「主将が負傷欠場、コウチーニョが出場停止」という言い訳が通用する。

    「並のチーム」であることを受け入れる体質は、ここまでクラブに浸透した。

    そして、ファンは、これら異常事態がことごとく軽く流される「並のチーム」体質に、クラブに対して希望を抱くことが出来なくなった。

    8月29日のウエストハム戦で、試合終了を待たずにスタンドを去るファンの姿に、Liverpoolの黄金時代の選手の一人マーク・ローレンソン(1981–1988)は、「アンフィールドでこんな空席を見たのは初めて。でも、途中で帰って行ったファンを非難できない。ピッチ上の熱意のなさに、ファンは、これ以上見ていられなくなったのだろう」と嘆いた。

    オールド・トラッフォードでは、ファイナル・ホイッスルの時には、3000人のトラベリング・コップが300人に減っていた。

    クリスタルボールの予測は、「スタリッジがこれ以上の負傷なしで済めば、6位。そのような運に恵まれなければ、8位」に加えて、Liverpoolファンが恐れている結論で締めくくっていた。

    ロジャーズはシーズン中に去るだろう。ただ、代わって監督に就任するのは、大多数のLiverpoolファンが望んでいる人物ではないだろう。「並のチーム」体質に染まったクラブは、ユルゲン・クロップではなく、ガリー・モンクを選ぶと考える方が自然。

    コメント

    非公開コメント

    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

    最新記事
    最新コメント
    リンク
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    QRコード
    QR