北のサウサンプトン?

    7月1日に、サウサンプトンからナサニエル・クラインのLiverpool入りが正式に発表になった。この夏6人目の新戦力となったクラインの移籍金は£12.5Mと見られており、自国選手枠ルールができて以来ますます高騰するイングランド代表の、しかも24歳の選手にしては超安値とも言える価格だった。

    しかし、このニュースと同時に、さっそくライバル・チームのファンからジョークが上がった。「e-Bayに出していた椅子がなかなか売れなくて困っていたのだが、サウサンプトンのシールを張ってみたら、とたんにブレンダン・ロジャーズから良い値で引き合いが来た」。

    これは、昨年夏にサウサンプトンから3選手(リッキーランバート、アダム・ララーナ、デヤン・ロブレン)を立て続けに獲得したことから、イングランドのファンの間で「Liverpoolは北のサウサンプトン」という陰口が定着したものだった。たまたま2014-15季の開幕戦がアンフィールドでのサウサンプトン戦(試合結果は2-1でLiverpoolの勝利)で、2部のチームのファンが「サウサンプトン対サウサンプトン」と笑っていた事実からも、このジョークの普及度は明らかだった。

    サウサンプトンから合計£50M弱の移籍金で入った3人が、期待外れというシーズンで終わったことで、ジョークに嘲笑が込められるようになっていた中でのクライン獲得は、「Liverpoolは北のサウサンプトン」説に更に拍車をかけた。

    そんな中で、宿敵マンチェスターユナイテッドのファンは、笑っていなかった。「昨年のルーク・ショウの£27Mに続いて、今年も懲りずにサウサンプトンから£20M超でモルガン・シュネデルランを獲得するわがチームは、Liverpoolのことを言える立場にはない。しかも、ユナイテッドがクラインを狙っていたことも事実だし、噂によるとLiverpoolよりも高い給料を提示したらしい。Liverpool同様に、ユナイテッドでもライトバックは急務で、レギュラーの座は確保されていた筈。更にCLという利点もあったのに、クラインに蹴られた」。

    Liverpoolが、この夏に契約満了で去るグレン・ジョンソンの後任として、クライン獲得に動いたという噂は、昨季中にすでに上がっていた。

    「現在プレミアリーグのフルバックの中でトップ・クラスにいるクラインは、Liverpoolにとっては、30歳のグレン・ジョンソンから実力面でアップグレードというだけでなく、給料もジョンソンより遥かに少ないという財政面での利点もある。移籍金もバーゲンだし、Liverpoolはクラインに関しては一方的な勝者。世の中はジョークを言って笑っているが、来年の今頃は笑うのはLiverpoolかもしれない」。

    ユナイテッド・ファンの警戒と同期を取るように、サウサンプトンの地元紙であるデイリー・エコーが、「サウサンプトンからの戦力補強と聞いて、『昨年の二の舞?』と懸念する人がいるとしたら、それは違う。Liverpoolファンは、期待で楽観的になるべき」と、肯定的な記事を掲載した。

    「クラインのサウサンプトンでの契約は2016年6月までだった。クラインがイングランド代表デビューを記録した2014年10月に、サウサンプトンは契約更新の話を開始した。2014-15季が終わり、契約は残り1年となった時点で、本人が契約更新にサインしない意向を明らかにしたことで、サウサンプトン・ファンは、クラインがこの夏に出てゆく運命にあると覚悟した。そして、クラインが選んだのがLiverpoolだと判った時には、納得せざるを得なかった。2015-16季にはCLはないものの、クラブの規模や伝統という面では比べ物にならないことは、ファンは理解している」。

    「そして、サウサンプトン陣営からのLiverpoolファンへのメッセージは、『Liverpoolは非常に良い買い物をした』ということ。クラインはスピードあり、攻撃力がある。そして守りも固い。Liverpoolのようなビッグ・クラブでも、必ず成功する能力を持った選手。昨年とは切り離して、クラインを応援してあげて欲しい」。

    実際には、世間のジョークにも関わらず、Liverpoolファンの間では、クラインに対する期待と評価は根強かった。クライン獲得の噂が最も高まった6月初旬に、地元紙リバプール・エコーがファンに対して行った「この夏に欲しい選手」アンケートで、クラインはアレクサンドル・ラカゼット、 マルコ・ロイスと並んでトップ3に入っていた。

    「Liverpoolが興味を示していると聞いた瞬間に、決意が出来ていた。Liverpoolのような歴史と伝統のあるクラブで、アンフィールドの素晴らしいファンの前でプレイできるとは、僕にとっては夢の実現。ビッグ・クラブでも通用するという自信はあるが、Liverpoolでは、全力でそれを証明したい」と抱負を語ったクラインに、Liverpoolファンから暖かい歓迎の拍手が飛んだ。

    さて、7月6日には新戦力のクラインを始め、多くの選手が夏休み明けでトレーニングに復帰する。戦力補強が続く中、来季に向けてのプリシーズンが開始した。

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    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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