FC2ブログ

    サンデー・リーグの試合

    12月8日、マンチェスターユナイテッドがサウサンプトンに2-1と勝った試合の解説番組で、ガリー・ネビルが、12月14日のオールド・トラッフォードでのビッグ・マッチ、マンチェスターユナイテッド対Liverpoolを「サンデー・リーグの試合」と表現し、翌日のヘッドラインを飾った。スカイTVの人気番組'マンデー・ナイト・フットボール'は、その名の通り月曜日の試合の前後に、土日に行われた全試合を分析するというもので、ガリー・ネビルとジェミー・キャラガーの若手解説者2人が、チームを問わずイングランド中のファンの強い支持を受けていた。

    ちなみにこの「サンデー・リーグの試合」とは、かつては日曜日が定休日だったパブのスタッフや常連客がチームを作って、パブ同士で試合を行った古き良き時代の習慣が語源で、主としてプレミアリーグのクラブがアマチュア・レベルのひどい試合をしたことを指す、イングランド・フットボール界で定着している表現だ。

    ガリー・ネビルの「サンデー・リーグの試合」発言は、その日のユナイテッドの「ラッキーな勝利」批判に端を発した。「内容は完全な負け試合。勝ったのは運が良かったから」と酷評し、「こんなひどいプレイをしながら、アーセナル戦(2-1)、ストーク戦(2-1)、サウサンプトン戦(2-1)と不当な勝利を得た運はいつまでも続かない。次はLiverpool...」と言った途端に言葉を止めて、キャラガーと二人で顔を見合わせて「サンデー・リーグの試合になるだろう」と爆笑したものだった。

    各々ユナイテッドとLiverpoolのワン・クラブ・マンだったガリー・ネビルとキャラガーが、大切な古巣であり自分たちにとって永遠のチームが、情けない状況にあることの苛立ちを隠せない様子は、テレビカメラを通じて両チームのファンに訴えた。

    そのユナイテッド戦を控えて、12月9日のアンフィールドで、バーゼルに1-1と引き分けてEL落ちとなったCL最終戦の後で、元Liverpoolのアナリストや地元紙が「Liverpoolはサンデー・リーグから抜け出せなかった」と痛烈だった中で、テレグラフ紙の記名記事がLiverpoolファンの間で特に話題を呼んだ。

    「ブレンダン・ロジャーズのクビを叫ぶ人々は重大な真相を見落としている。今のLiverpoolは、監督を取り換えたくらいでは解決しない深刻な構造的危機に見舞われている」と、自らLiverpoolファンであり、チームが不調の時にも明るい要素に焦点を当てる記事を書き続けていたクリス・バスコンブは、異例なまでに辛辣だった。

    「Liverpoolのチェアマンとしてクラブ史上に残る名士だったサー・ジョン・スミス(在任1973-1990)の時代には、Liverpoolは『名門ぶりを自慢する言葉を発することなく、黙って勝つ』精神がクラブの隅々に浸透していた。しかし、現チェアマンのイアン・エア(2007-)は、『Liverpoolは本来、CLの常連であるべき名門』と豪語して、結果は無残な敗北に終わった。勝つためには勝てる選手を揃える必要があるという鉄則を知らないのか、Liverpoolの'移籍委員会'という名のスカウト部門は過ちを重ね続けている。ルイス・スアレスを放出した時に、『質を量で補うことはしない』と断言した末に、その通りとなった」。

    「クラブの伝統に反する『有言不実行』はチームにも波及し、ロジャーズの言葉はことごとく詳細に分析され、メディアの嘲笑の的になっている。バーゼル戦でも、勝たなければCL敗退という試合で、ベンチにストライカーがいないチーム編成で臨む自殺行為は、Liverpoolの現状を物語っていた。比較的安価な移籍金で若手を獲得しビッグ・ネームに育てるという方針を固執し続けることはリスクを伴う。現実的に、ロジャーズの在任期間中に£200M超を費やして獲得した選手たちは、2人を除いては軒並み評価額が激減している」。

    「現状が続けば、2015年5月には、今季はトップ4が最低線として課されていたロジャーズはクビになり、後任として安価な若手監督を他から調達することは火を見るよりも明らか」。

    クリス・バスコンブの悲観的な結論に、Liverpoolファンは苦笑を禁じ得なかった。2012年にロジャーズが監督に就任した時に、それまでビッグ・クラブでの監督歴がなく、メジャーなトロフィーもない若手監督を迎えることのリスクは誰もが認識していた。承知の上でファンは、Liverpoolの監督として全力を捧げる以上は支持すべきという決意を固めたのだった。1959年に、ハダースフィールドからLiverpoolの監督に就任した時のビル・シャンクリーも、監督としての栄誉歴はなかった。

    「今季の成績不振の背景には、バーゼル戦のチーム編成など明らかな戦略ミスがあることは事実。選手が自信を失って悪循環に陥っているとしたら、それを解決するのが監督の仕事。しかし、それを理由にロジャーズの監督としての手腕を全面的に否定するのは間違い。昨2013-14季は、開幕前にはトップ4入りが、おそらく届かないだろうと言われていた目標だった。2位という結末が『出来過ぎ』だったとすれば、その『出来過ぎ』をもたらしたのは監督の功績」という声が、Liverpoolファンの間で流れていた。

    「同じくパブ・チームとは言え、ユナイテッドは運を味方につけて5連勝で3位と圧倒的に優位な位置にある。対するLiverpoolは、パブ・チームにふさわしい戦績。それにしても、伝統的にイングランドの二大チームというべく両チームが、名実ともにサンデー・リーグで顔を合わせるとは、前代未聞かもしれない」と、ファンはジョークを言って笑いながら、スタンドの声援でチームの自信を取り戻そうと、決意を新たにした。

    コメント

    非公開コメント

    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

    最新記事
    最新コメント
    リンク
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    QRコード
    QR