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    休みなしで働き続ける陰のヒーロー

    9月28日、シェフィールドユナイテッドのホーム・スタジアムであるブラモール・レーンで、Liverpoolは苦戦の末に、相手GKの顕著なミスに助けられて1-0と勝った。この試合の後で、アウェイ・チーム監督のユルゲン・クロップが記者会見を終えた後で、しばらく間を置いた後で、やっと、ホーム側の監督であるクリス・ワイルダーが記者の前に現れた。待たせたお詫びの後で、ワイルダーは「遅刻」の理由を明かした。

    「私はシャンペーンを飲まないので良くわからないのだが」と微笑みながらワイルダーは、クロップにFIFA最優秀監督賞のお祝いにシャンペーンを贈呈したことを明かした。それをきっかけに、クロップと2人でビールを囲んで会話をしたとのことだった。「試合のことやら、ざっくばらんに話をした。すごくいい感じの会話で、クロップに対して、他のプレミアリーグの監督にはない新鮮な印象を受けた」。

    かくして、クロップの人柄に魅了される監督がまた一人増えた。

    昨季終了後の6月10日に、ジョエル・マティプが、生まれ故郷であるドイツのメディアで明かした「クロッポマニア」という表現は、まさに的を得ていた。

    「Liverpoolのチーム全員が全力を尽くして成し遂げた栄誉であることは間違いない。でも、決定的な要素がクロップ。彼がチームを一致団結させて、ここまで導いた」と、マティプは笑顔で断言した。

    「クロップは人を引き付ける。リバプール市、いやイングランド中の人々がクロップ・ファンになっている。それは、ドイツでもそうだったような『クロッポマニア』現象」。

    2016年夏に、ドイツのシャルケ04からフリーエージェントとして入ってきたマティプは、負傷などで苦戦を強いられながらも、クロップに支えられて努力を重ねた末に、昨季後半からフィルジル・ファン・ダイクのパートナーとしてセンターバックのポジションを固めていた。

    Liverpoolの多くの選手たちが、母国代表チームの試合でプリシーズン合流が遅れたなど、シーズン開幕後も調子に波がある中で、マティプはほぼ全ての試合で高いレベルのパフォーマンスを維持していた。ファンの間では、「今季これまでのプレイヤー・オブ・ザ・シーズン」という声が圧倒的だった。

    シェフィールドユナイテッド戦の前の記者会見で、クロップはマティプを「最もコストパフォーマンスの高い補強戦力の一人」と表現し、ファンの意見を裏付けた。

    そして、シェフィールドユナイテッド戦でもマン・オブ・ザ・マッチの安定した守りを見せたマティプは、その日のBBCのマッチ・オブ・ザ・デイでクローズアップされるに至った。

    「Liverpoolは、看板の攻撃が不発でも3ポイントをねん出するという、優勝候補らしい試合をした。それは、マティプとファン・ダイクがしっかり守ったから。フロント3は『お休み』を取ることができても、ディフェンスは休みなしで働き続けることが必須」と、同番組のレギュラー解説者の一人で、アーセナルのレジェンドであるイアン・ライトは語った。

    「特にマティプは、しっかり守った上で、パスの隙がない時には自分で前に進んで攻撃に繋げた。リスクを認識した上で思い切ったプレイが出来る選手」と、ライトはマティプを絶賛した。「世間は、ファン・ダイク、トレント・アレクサンダー・アーノルド、アンディ・ロバートソンの3人のことは常に高く評価しているが、今日のマティプは最高の働きをした」。

    これに対して、Liverpoolファンは、「マティプが、陰で尽くしてきた重要な仕事はなかなか日の目を見なかったが、マッチ・オブ・ザ・デイが取り上げてくれた」と、一斉に同意の拍手を送った。

    リバプール・エコー紙が、「言葉は少ないが、ピッチの上で語るマティプ」の、静かな決意表明を引用した。

    「Liverpoolに来て、負傷などでスタートは苦戦したが、今ではすっかり定着したと感じている。自分自身、人間としても選手としても成長できたと思っている」。

    4年目のプロジェクト

    9月22日のビッグ・マッチ、アウェイでのチェルシー戦に2-1と勝って、Liverpoolはプレミアリーグ開幕6戦6勝と首位を守った。今季既にUEFAスーパーカップで対戦し、LiverpoolがPK戦で優勝を収めた時と同様に、内容的には僅差だった試合の後で、チェルシー監督のフランク・ランパードは自分の選手たちを誉めた。

    Liverpoolファンは、「同点ゴールがVAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)で無効にされた判定について、オフサイドだったと潔く認めた上で、自分のチームのパフォーマンスを冷静に分析し、勝ったLiverpoolを称賛するという、非常にフェアな言葉だ」と、ランパードに拍手を送った。

    この夏に、チェルシーがランパードの監督就任を発表した時には、誰もが驚いたものだった。ユベントス監督に就任するために前任監督のマウリツィオ・サッリが去ったチェルシーは、FIFAの処分のため2回の移籍ウィンドウで戦力補強が出来ないことが確定していた上に、スター選手だったエデン・アザールがレアルマドリードに行ってしまい、誰の目にも危機的な状況だった。

    「監督のクビを取り換えるのが方針というクラブのトップが、誰が監督になっても不利な状況が見えているから、勝てなくてもファンから不満が出ないようにと、レジェンドであるランパードを連れてきたとしか思えない」と、多くの人が皮肉な見解を表明した。

    Liverpoolファンの間でも、当初は懸念の声が強かった。しかし、2度の直接対戦を含め、試合が進むに連れて肯定的な意見が出始めた。「チェルシーは、FIFAの処分とロマン・アブラモビッチのビザ問題などが相まって、クラブの方針転換の必要性を認識したのでは?これまでは、『チェックブック・マネジャー』がスター選手を買い集めて成功を収めて来たが、それが出来なくなった今、クラブのアイデンティティを再建するために、レジェンドであり新人監督のランパードに託したように見える」。

    ビッグ・クラブの監督は、既に実績のあるスター選手を多額の移籍金で獲得して戦力を増強する、いわゆる「チェックブック・マネジャー」と、アカデミーチームの若手や、比較的下位のクラブから潜在能力を持つ選手を獲得し、育てる「トレーニング・マネジャー」と、大きく2つのタイプに分かれる。

    「自分のクラブのアカデミー出身の若手40人をローンに出していたチェルシーが、それら若手を連れ戻して試合に出す中で、エンゴロ・カンテら実力と実績を持つ先輩選手の影響を受けてどんどん成長している。しかも、勝てない試合でも、ランパードが目指すフットボールを実現しているように見える」。

    チェルシーの地元紙ロンドン・イブニング・スタンダードのジャーナリストが、Liverpoolファンの意見を裏付けた。「監督が長期的視野を持ってチームを再建している時は、たとえ『今の成績』が振るわなくても、長い目で支持することが出来る。ユルゲン・クロップがまさにそうだった。最初のシーズンでは8位だったが、チームの方向性は明らかだった。そして、最初のフル・シーズンとなった2016-17季にはCL出場権を確保した」。

    「ランパードは、ユルゲン・クロップのビジョンをお手本としている」。

    折しも、クロップが地元紙リバプール・エコーの独占インタビューで、4年目のプロジェクトを振り返ったところだった。

    「このプロジェクトというのは、Liverpoolを本来の位置に戻すこと」と、クロップは語った。「私が最初に見た時のLiverpoolは、チームもファンも冷え切っていた。選手たちが本当は素晴らしい能力を持っているのだと、自覚するところから開始した。最初のシーズンに2つの決勝戦(リーグカップとEL)に到達し、自信を取り戻すことに成功した」。

    そして、CL復帰の2017-18季に、決勝戦でレアルマドリードに3-1と敗れた試合について、クロップは冷静に説明した。「あの試合では、奇妙な不運が重なったために負けた。実力が足りなくて圧倒されたわけではなかったのだから、次は勝てるという自信に繋がった。1年後にそれを証明した。選手たちは全員が一丸となって、一つ上を目指して力を合わせて向上している」。

    「時間はかかったが、やっとトロフィーを取るところまで来た。これから本格的に進む」。

    ロンドン・イブニング・スタンダードのジャーナリストが締めくくった。「今のLiverpoolの選手を見ると、クロップの業績は明らか。これほどCLでも経験豊富な主力選手たちが、全員まだ20代という年齢層なのだから。クロップのプロジェクトは始まったばかり」。

    クラブでの成功と代表チームでの失意

    インターナショナル・ウィーク明けの9月14日、Liverpoolはアンフィールドでニューカッスルに3-1と勝って、開幕5戦で5勝とプレミアリーグ首位をキープした。この試合では、代表チームで出場した選手数人が大事を取ってベンチで開始した中で、2試合にフル出場した直後のアンディ・ロバートソンは90分プレイした。体力的な疲労だけでなく、スコットランド代表チームで2敗の失意に加えて、主将として母国メディアの集中的批判を受けていたことで、精神的な落ち込みが心配されていたロバートソンは、会心のプレイでそれらの杞憂を吹き飛ばした。

    「辛い日々の後だったので、とにかく試合に出たかった」と、ロバートソンは語った。「スコットランド代表チームの失意から立ち直るためにも、絶対に良いプレイをしようと決意に燃えていた。自分でも納得できる試合が出来たと思う」。

    母国メディアのつるし上げの中には、前任の代表主将だったダレン・フレッチャー(2003-2016)を引用し、ロバートソンが「クラブでの成功を代表チームで出せていない」という共通点を上げたものが少なくなかった。マンチェスターユナイテッド(在籍は2003–2015)で主力の一人として活躍したフレッチャーは、母国代表チームの20年の悲願であるW杯およびユーロの本大会出場という目標を、達成できずに終わったのだった。

    「僕が初めて代表チームに選ばれた頃に、ダレン・フレッチャーと交わした会話は今でも覚えている」と、ロバートソンは振り返った。「80キャップを記録した主将で、素晴らしい選手だった。マンチェスターユナイテッドではあらゆる栄誉を勝ち取ったが、母国代表チームの目標を達成しなければ引退できない、と強い意欲に燃えていた」。残念ながら、それはかなえられなかった。

    「僕はその時、思った。自分が引退する時に、自分のキャリアを振り返って後悔を抱きたくない、と」。

    フレッチャーは、ピッチの上での業績だけでなく、人格者としての面でもロバートソンに通じるところがあった。

    2014年8月に、当時マンチェスターユナイテッド監督だったルイ・ファンハールから副主将に抜擢された時に、地元紙マンチェスター・イブニング・ニュースのユナイテッド担当記者が、フレッチャーの人間的な側面を語るエピソードを明かした。

    「インタビューのためにフレッチャーとアポイントを取った。その時間にトレーニング・グラウンドに行くと、本人の姿はなかった。ああ、またか、とため息をついた。ユナイテッドの選手からすっぽかされるのはこれが初めてではなかった。謝罪の一言もなく、日程を改めてインタビューに応じてくれればラッキー、ということが常だった」と、記者は振り返った。

    「ところがフレッチャーは違っていた。すぐに電話をくれて、奥さんの急用のため子供を迎えに行かねばならなくなった。今から戻るので待っていてくれますか、と言う。数十分の遅れの後で現れたフレッチャーは、誤り口調で、何時まででも付き合いますと言ってくれた」。

    いわゆる「プレミアリーグのスター選手」の傲慢さは微塵もなく、ローカル紙のジャーナリストに対して同じ目線に立って、誠意を持って対応するフレッチャーは、人間として、母国代表チームに対する強い決意を後輩であるロバートソンに伝授した。

    Liverpoolがヨーロピアン・チャンピオンとしてプリシーズン戦に臨んだ、スコットランドのマレーフィールドで、満員のスタンドがLiverpoolのチーム一行を歓迎した中で、代表主将のロバートソンに対しては特に、数倍のボリュームで歓声と拍手が送られた(対ナポリ、試合結果は3-0でLiverpoolの敗戦)。

    その試合の後で、憧れの代表主将からプレゼントを貰った少年のお父さんが、地元紙デイリー・レコードに感激を語った。「ロバートソンは、スタンドに来てくれて息子と記念写真に応じてくれた。息子がシャツをお願いしたところ、ロバートソンは、『既に別の人に上げてしまった』と、息子にすまなそうな表情を見せた。そして、代わりにと言って、ニュー・バランスの£100の商品券をくれた」。かくして、この8歳の少年は永遠に忘れられない思い出ができたという。

    「主将として代表チームの試合に出ることは大きな誇り。しかし、負けた時にはその分大きな痛みを感じる」と、スコットランドの2連敗の後で、ロバートソンは語った。

    「ダレン・フレッチャーはこのプレッシャーを10-12年間味わったのだし、僕としては、自分の精神的な打撃をコントロールすべきだと痛感している。どんなときにも自分のプレイが出来るように」。

    「とにかく、試合に出たいと思っている」。

    ファンがいない試合は面白い?

    2年前、2016-17季の各クラブのTV収入の金額が公表されたのを受けて、「プレミアリーグの20中11のクラブが入場料収入ゼロでも黒字になる」実態を元に、BBCが特別番組を放映した。これは、多額のTV収入のため、スタジアムの収容人数が少ないクラブは、シーズン通算全試合の入場料収入が占める比率が4%そこそこという計算になり、財政的にはクラブにとって、チケット代を払って試合に行くファンのありがたみが減ってきている。極論を言うと、ファンが入らなくてもクラブは困らない、ということだった。

    その統計の2018-19季版が発表となり、ヨーロッパの全クラブのTV収入ランキングで、首位のLiverpoolは£152m、2位がマンチェスターシティで£151m、上位6までがプレミアリーグの「トップ6」が占めた。イタリアのチャンピオンであるユベントスと、ドイツのバイエルンは、昨季プレミアリーグから降格した3クラブ(カーディフ、フラム、ハダースフィールド、合計£301.2m)よりも少なかった。

    「チケット代を払い、自分の時間を捧げて試合に行く忠誠なファンよりも、自宅でソファに座ってTVを見るファンの方が大きな収入源という実態の中で、『試合に行くファン』は不要になった?」と、BBCは疑問を投げかけた。

    「ファンがいない試合は面白いのか?」

    折しも、昇格チームで上記の統計には含まれていないが、11クラブの方に入ることが想定されるノリッジで、ファン・グループがクラブの協力を得て、インターナショナル・ウィーク明けのホームの試合でビッグ・イベントを企画していた。17:30キックオフのマンチェスターシティ戦に際して、スタジアムの一角で「アロング・カム・ノリッジ・ライブ」の第一回目を開催するというものだった。

    「Liverpoolの事例を見て、インスピレーションが沸いた」と、ファン・グループの代表が語った。「Liverpoolファンのミュージシャンであるジェイミー・ウェブスターが発起人となって、CLのアウェイの試合で『ボス・ナイト』というファンのライブを開催するようになった。それが成功して、どんどん多くのファンが集まり、定例化した。同期を取るようにLiverpoolのチームはCLで勝ち続けた。それを見ていて、わがチームでも同じようなことをやりたいと構想を練り始めた」。

    クラブに話を持ち掛けたところ、クラブは大賛成で、スタジアムの一角を提供して貰う話がまとまった。「ファンが試合の日に、街中のパブに集合してからギリギリにスタジアムに来るより、早々にスタジアムに来てくれて、試合前まで現地でファン同士の交流を楽しめる場が出来ればみんなにとって良いこと」と、経営者が語った。

    かくして、「アロング・カム・ノリッジ・ライブ」は、14:00から16:30という時間帯で、カロウ・ロードのラウンジで、地元出身のミュージシャンのライブ演奏を含むファン・イベントとして開催されることになった。スポンサーも乗り気で、無料ビールが提供されるという。

    「何より、ファンが試合前から盛り上がっていい気持になってスタンドに入ってくれれば、応援もさらに強力になり、ピッチの上の選手たちに気合を注入してくれるだろうから」と、経営者は目を輝かせた。

    ノリッジ・ファンのインスピレーションとなったLiverpoolは、CLで勝ち続けて決勝に到達した。その試合の実況放送の解説者として出演していたアーセン・ベンゲルとジョゼ・モウリーニョは、試合前に、スタンドのLiverpoolファンが歌う'You'll Never Walk Alone'を、目を細めて聞き入っていた。

    「言葉では表せない程に美しい」と、モウリーニョがつぶやいたのを受けて、ベンゲルが頷いた。「本当にユニークだ」。

    トットナムを2-0と破ってCL優勝を達成したLiverpoolのチーム一行は、クラブのスタッフと一緒に全員でスタンドの前で肩を組み、ファンと向かい合って、ファンと一緒に'You'll Never Walk Alone'を合唱した。その姿は、「ファンと一緒に戦って勝ち取ったCL優勝」という選手たちの言葉が本心であることの表明であり、「ファンがいない試合は面白いのか?」という疑問に対する回答でもあった。

    フロント3の「頼りになる奴」

    8月31日のアウェイでのバーンリー戦で、Liverpoolは3-0と快勝し、プレミアリーグ単独首位を守った。ところがその試合で、85分に交代したサディオ・マネが、ベンチで怒りをぶちまけた様子がTVカメラに映り、メディアの憶測記事を刺激した。マネの怒りの原因は、試合中に得点チャンスを得た時に、モー・サラーが、自分より有利なポジションにいるマネやロベルト・フィルミーノにパスを出さず自分でシュートした結果、追加点ならず、という場面が複数回あったことだとは、誰の目にも明らかだった。

    「ストライカーが、パスすべき時にパスを出さずに自分でシュートする、ということは良くあること。得点になる時もあるし、ならない時もある。パスが欲しかった選手が、その瞬間にムカッとすることもある。何も特殊なことではないし、サディオは試合後に控室で明るく笑っていた。重要なことは今日の試合でわがチームが勝ったということ」と、試合後の記者会見でユルゲン・クロップは火消しに努めた。

    しかし、スキャンダル好きのイングランドのメディアは黙っていなかった。「サラーの自分本位は昨年から目立ったこと。それはLiverpoolのフロント3に亀裂を作る危険性を持っている」と、元エバトンのアンディ・グレイは危機説を唱えた。いっぽう、マネの「公の場での怒り」を非難する声も同じくらいに飛び交った。

    「開幕4戦4勝、しかもクリーンシートを達成したことで、前週までさんざんディフェンスの問題をつるし上げていたメディアがネタに困っていたところで、絶好の機会を得たとワクワクしている様子が目に見える」と、Liverpoolファンは肩をすくめた。

    直後に、控室に向かうトンネルの中で、マネとサラーの間を歩いていたフィルミーノが、カメラに向かって面白い顔をして笑いを取った動画が、地元紙リバプール・エコーのサイトで公開された。激怒の原因を作ったはずのサラーとマネが、腹を抱えて笑う声が、ファンに安堵の笑顔をもたらした。

    「昨季からの通算で13連勝となったこの試合で、フィルミーノはLiverpoolでの通算50得点を記録し、イングランドのブラジル人選手の最高得点数を伸ばし続けている」と、同紙は続けた。今季のフロント3の得点&アシスト記録は、サラーが3得点2アシスト、マネが4得点1アシスト、フィルミーノが2得点4アシストと、目覚ましいものがあった。

    中でも、コパ・アメリカ優勝で休暇日数も少なく、プリシーズンのトレーニング合流も遅れたフィルミーノが、開幕と同時にフル回転している様子は、Liverpool陣営内外で注目されていた。

    「毎試合でマン・オブ・ザ・マッチ候補の高いレベルを維持しているフィルミーノは、ユルゲン・クロップが最も信頼している選手の筆頭となっている」と、同紙は指摘した。

    「テクニカル面で優れていることは言うまでもないが、それに加えて超一流の態度を維持していることは、ひとえに凄い。その両方を備えている選手というのは珍しい、まさに例外的な選手」と、クロップ本人が同紙の見解を裏付けた。

    アンディ・ロバートソンが続きを引き取った。「ストライカーとして優れている選手は他にもいる、という意見は間違っていないと思う。ただ、ボビー(フィルミーノ)は他の面でも大きな仕事をこなしている。まず第一に、ボビーはディフェンスの第一線。相手からボールを奪って、それをミッドフィールドにつなげる。その間自分は相手ゴールに向かって走り、得点もしくはアシストを決める。ボビーがいないとどれほど大きな打撃か、とても表現できない」。

    ロバートソンの証言は、昨季のカンプノウでのCL準決勝1戦目(試合結果は3-0でバルセロナの勝利)で、ジニ・ワイナルドゥムが漏らした言葉とまさに同期を取っていた。負傷欠場することになったフィルミーノの穴埋めを命じられたワイナルドゥムが、控室で息を切らしながら、「君はいったい、どうやってこのポジションをこなしているんだい?きつ過ぎて耐えられないよ」と、フィルミーノを見上げたという。

    その記事に、Liverpoolファンは大きく頷いた。「サラーが周りを気にせずに自分でシュートすることが多いのは、自信満々のストライカーならではのこと。マネがアシストわずか1というのも、同じように必然性がある。そしてボビーは、自分でシュートするかパスを出すかという判断では常に最良の手段を選ぶ」。

    ボビー・フィルミーノの歌がすっかりスタンドの定番となったことも、ファンの熱烈な支持の表明だった。「いつもさわやかな笑顔を浮かべているボビーは、天使のように利他的なスーパースター」。

    バーンリー戦の試合後のトンネルで、おちゃめな笑顔を浮かべたフィルミーノの動画のキャプションの下に、同紙は結論した。「マネの怒りは静まって、チーム全体が笑いで包まれた。ボビー・フィルミーノが、どんなことでも頼れる選手だという実態が、また一つ証明された」。

    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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