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    ファンの支持が着実に高まる待望のレフトバック

    2月24日、Liverpoolがアンフィールドでウエストハムに4-1と快勝した試合で、また3人揃って得点を上げたフロント3がヘッドラインを飾り、パブロ・サバレタから「Liverpoolのフロント3は対戦相手のディフェンダーにとっては悪夢」と、称賛のこもった完敗宣言が出た。

    そんな中で、その日のマッチ・オブ・ザ・デイで元ストライカーのアラン・シーラーが、世間の意表を突くかのように、開口一番に「ピッチの中のベスト・プレイヤーは、Liverpoolのアンディ・ロバートソン」と絶賛した。

    「彼は本当に素晴らしい。ペース、エネルギー、そしてクオリティ」。

    強力なタックルあり、相手の攻撃を瞬時に判断して動く安定したディフェンダーであると同時に、ウエストハム戦でもサディオ・マネの4点目にアシストを決めるなど攻撃力も発揮しているロバートソンは、中立のアナリストや他チームのファンの間でも「今季のベスト・バーゲン」リストの常連になりつつあった。

    そして、2月26日にスコットランド代表チームのベテラン主将であるスコット・ブラウン(セルチック)が代表引退を発表した時に、スコットランド人ファンの間で「次期スコットランド代表主将」候補として、誰もが上げた2選手が、キーラン・ティアニー(セルチック)とロバートソンだった。

    「次期主将はロバートソンかティアニーで決まり。どちらが抜擢されても、この先10-15年は主将職が定着するだろう」。2014年に20歳でフル代表デビューを記録して以来、ロバートソンはスコットランド代表チームのレギュラーとして安定したプレイを披露し、ファンの支持を集めていた。

    そのロバートソンに対する支持は、Liverpoolのファンの間でも着実に高まっていた。昨年8月に、£8m(※オプション付きで最高£10m)で移籍が決まった時には、多くのLiverpoolファンが、「Liverpoolの歴史はスコットランド人が作った」という決まり文句でロバートソンを歓迎した。

    ただ、移籍が正式に決まった時にはプリシーズンが終わった後だったことに加え、第一子の出産が重なったなど、ロバートソンは公私ともに大変なスタートを切った。ピッチの上では、アルベルト・モレノの予想外の復調劇の中で、ロバートソンの出場機会は11月下旬の時点でわずか3試合、ベンチ入りもできない状況が続いた。

    いっぽうで、スコットランド代表チームではゴールも記録し、安定したプレイを見せるロバートソンの様子に、Liverpoolファンの間では「ロバートソンはユルゲン・クロップが欲しくて取った選手ではないのかも?」という心配の声すら出た。

    それから3か月、クリスマスの過密日程に「休ませられた」1試合を除き13スタートと、負傷したモレノに代わってレフトバックのポジションに定着したロバートソンに対するLiverpoolファンの期待は、「スコットランド人」であることを超えて、「待望のレフトバック」というタイトルで語られるようになった。

    「21世紀になってから、ヨン・アルネ・リーセ、ファビオ・アウレリオ、クリスティアン・ツィーゲなど、14-15人の選手が短期間で交代する、落ち着かないポジションだったレフトバックに、やっと本来のフルバックが入ってきた。左利きで、守れてクロスも出せる純粋なレフトバック。しかもまだ23歳で、まだまだ成長過程にある上に、今後10年は第一線で活躍してくれるだろう」。

    かくして、アラン・シーラーが絶賛するような活躍を見せたウエストハム戦の後で、Liverpoolファンは、「僅か3か月前には、ロバートソンがあまりにも試合に出られないことが気になったが、振り返ってみると、ロバートソンがLiverpoolのチームに順応するために、クロップはじっくり時間をかけて育てていたに違いない」と、笑顔で頷きあった。

    それは、ロバートソン本人が裏付けた。試合に出られなかった時期に、ロバートソンは何度かクロップと面談したという。何故、出してくれないのか?という不満の相談ではなく、純粋に「自分に欠けているものは何で、どうやったら克服できるのか?」というアドバイスを求めるための会話だった。

    「チームの役に立てる選手になるために、何を身に付ければいいのか教えてください、と監督にお願いした」と、ロバートソンは語った。「監督がくれたアドバイスは、具体的な内容は明かすつもりはないが、僕にとってはとてもありがたかった。そのポイントをしっかり理解して、それを実現できるように頑張った」。

    「今は、自分がやるべきことができるようになったと感じている。ちょっと時間がかかったが、この調子でどんどん良くなろうと意欲に燃えている」

    3人ゴールキーパー体制

    2月14日、CLラスト16の1戦目でLiverpoolは、アウェイでポルトに5-0と圧勝した。サディオ・マネのハットトリックを含み、ボビー・フィルミーノとモー・サラーの「フロント3」がさく裂し、今季の3人の得点合計は63となった。各チームのトップ3の通算では、プレミアリーグの首位を独走するマンチェスターシティ(※セルヒオ・アグエロ、ラヒーム・スターリング、レロイ・サネ)ですら60、ヨーロッパ全体を見渡してもLiverpoolを上回るのは唯一、PSGの67(ネイマール、エディンソン・カバーニ、キリアン・ムバッペ)だけだった。

    数字を引き合いに出すまでもなく、Liverpoolの「フロント3」の攻撃力を評価しない人はなかった。ライバル・ファンの間では、Liverpoolの現戦力について「超一流の攻撃陣、可もなく不可もないミッドフィールド、2部並みのディフェンス、GK不在」という言い回しが定着していた。ただ、「2部並みのディフェンス」に関しては、1月にフィルジル・ファン・ダイクを取ったことで、世間の目も徐々に変わりつつあった。

    それだけに、「不在」とまで言われているGKが脚光を浴びるのは不可避だった。

    リーグではシモン・ミニョレ、CLではロリス・カリウス、国内カップ戦ではダニー・ウォードという3人ゴールキーパー体制で開始した今季、Liverpoolはリーグカップに続きFAカップでも早々に敗退したことで、方向転換を強いられることになった。

    1月14日のマンチェスターシティ戦(試合結果は4-3でLiverpoolの勝利)から、ミニョレに代わってLiverpoolのNo.1に抜擢されたカリウスは、ミスから同点ゴールを与える困難なスタートの後で、次第に落ち着きを取り戻し、1月30日のハダースフィールド戦(試合結果は0-3でLiverpoolの勝利)ではマン・オブ・ザ・マッチ候補に入る活躍を見せるに至った。

    続くトットナム戦(試合結果は2-2)、サウサンプトン戦(試合結果は0-2でLiverpoolの勝利)で試合の行方を変えるセーブを連発したカリウスに、全国メディアの視線は和らぎ始めた。

    「ハダースフィールドでの17分目に、『不在』と言われたLiverpoolのゴールにカリウスが堂々と名乗りを上げた」。

    カリウスがLiverpool入りした2016年の夏に、ユルゲン・クロップは誇らしげに語った。「ドイツは歴史的に偉大なGKをたくさん出した国。子供たちはグローブを付けたがる程。カリウスはそのGK大国ドイツで生まれ育った、典型的なドイツ人キーパー」。

    クロップがLiverpoolのNo.1としてカリウスを獲得したことは、誰もが予測したことだった。ところが開幕前に負傷を負うという不運に見舞われたカリウスは、復帰後わずか11試合でミニョレにゴールを明け渡す試練を味わった。

    「昨季の失意から学んだ。今のチームは攻撃陣が必ず得点してくれるから、僕が守れば勝てる」と、カリウスは自信を語った。

    一方、代わってベンチに格下げとなったミニョレが「試合に出られる新天地を探す」意思をほのめかす中で、ハダースフィールドではベンチにも入れなかったウォードが、スタンドからチームの勝利を見守っていた。

    「試合に出たいのは本音。しかし、チームが即戦力のGKを3人抱えていて、監督が選択肢を持てる状況を維持することが今の僕の務め」と、ウォードは地元紙リバプール・エコーのインタビューで語った。

    昨季はローン先のハダースフィールドで46試合に出場し、プレイオフ決勝では昇格決定のPKセーブ・ヒーローとなったウォードを、ハダースフィールド・ファンは決して忘れなかった。LiverpoolのNo.3としてスタンドに座っていたウォードに対して、ホーム・サポーターは「オンリー・ワン、ダニー・ウォード」チャントで歓迎した。

    「僕にとってハダースフィールドはスペシャルなクラブ。みんなで力を合わせて世間の予測を跳ね返したのだから」と、ウォードは微笑んだ。

    「苦戦を強いられているクラブでは、例えば2-0で負けても5-6本のセーブをすることがある。でもLiverpoolのようなクラブでは、GKがセーブを強いられる機会は決して多くない。必要が生じた時に確実にセーブできるために、常に集中力を維持することが必須。夏にローンから戻って来た時に、監督を話をした結果、僕はLiverpoolで新たなチャレンジに挑む決意に至った」。

    カリウスがNo.1の座についたことを、ウォードは前向きに捉えていた。「GK同士の連帯感はひときわ強い。日々、3人で力を合わせて全体のレベルアップに励んでいる」。

    「フットボールではいつ何が起こるかわからない。その時にチームの勝利に貢献できるよう、日々頑張ることが僕の務め」。

    クロップは「GKにとっての集中力は他のポジションとは異なる。体力的な集中力よりも精神的なものが求められる」と、折に付け強調している。今季の3人ゴールキーパー体制がどのような実を結ぶか、まだ答えは出ていない。


    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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