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    リーダーシップ不在のチーム


    9月19日のリーグカップ3回戦で、Liverpoolはアウェイでレスターに2-0と敗れて初戦敗退となった。前半に圧倒的優勢に立ちながら得点チャンスを生かすことができず、0-0で迎えた後半に「またも」ディフェンスの失態で先制ゴールを与えるという、お決まりの敗戦だった。

    猛批判の中で、地元紙リバプール・エコーの記事は手痛いまでに真意を突いていた。「4つのトロフィーに挑むLiverpoolにとって最も重要性が低いカップ戦とは言え、ここで経験を積んで戦力として育つ、あるいは復調を賭けていた、ダニー・ウォード、ジョン・フラナガン、ドミニク・ソランケ、マルコ・グルイッチら数人の選手たちは、唯一かもしれないチャンスを失った」。

    「それらの選手たちをリードする役割が期待されていたレギュラーの選手たちが、本来の責任を果たすどころか、真っ先に存在感を失ったLiverpoolは、リーダーシップの欠如が改めて露呈した」。

    エコー紙が「リーダーシップ不在」を問いかけるのは初めてではなく、話題のたびに非難の指差しは主将のジョーダンヘンダーソンに向かっていた。今回はましてや、その前のリーグ戦(対バーンリー、試合結果は1-1)でベンチに格下げされた後の試合だっただけに、奮起が期待されていた。

    ライバルチームのファンから、「ヘンダーソンが主将をやってるくらいだから、イングランド代表チームがW杯や欧州選手権でダメダメなのは必然」という嘲笑が飛ぶ中で、Liverpoolファンの間でも批判と失望が圧倒的多数を占めた。

    2015-16季にスティーブン・ジェラードから主将職を引き継いで以来、Liverpoolファンの意見は常に二分してきた。真面目な人格者で、努力家であることは誰もが認める一方で、クラブのレジェンドであるジェラードの後任者という点に固執し、「ピッチの上でのリーダーシップ欠けている」という批判の声は、消えたことがなかった。

    常につるし上げに合いながらも、黙々と頑張る姿に協調するファンは、「ディフェンシブ・ミッドフィールドの役割を着実にこなしているヘンダーソンに対して、アンチの人々は、守れば『攻撃に貢献していない』、前に行けば『ディフェンスのカバーが足りない』と批判する。何をやっても勝ち目がない」と反論してきた。

    これまでの議論の中では、「ヘンダーソンは、Liverpoolのようなビッグ・クラブの主将の器ではない」という極論も交わされた。これに対して、ジェイミー・キャラガーが「ヘンダーソンよりも適任者はいない」と擁護し、火消しに努めたこともあった。「確かに、他に誰が?と聞かれて、具体的な名前は出てこない」と、反対派も渋々納得したものだった。

    そこで、「リーダーシップ不在」の議論が再燃する中で、9月23日のリーグ戦では、ヘンダーソンの決勝ゴールでLiverpoolはレスターに2-3と雪辱を果たした。

    しかしその試合の後で、ファンの拍手は、「典型的リトル・マジシャン・フリーキック」で2点目を決めたフィリペ・コウチーニョと、ヘンダーソンのゴールにアシストを出したダニエル・スタリッジの2人に集中した。ヘンダーソンに対しては、「確かに今日の試合では、特に後半は良かった。でも、ヘンダーソンが良いプレイをするのはチーム全体が良い時だけ。低調な試合で底上げするリーダーシップは持っていない」という厳しい声すら出た。

    これを受けて、エコー紙は引き続き「リーダーシップ不在」の議題を掲げ、賛否両論を掲載することになった。その横で、同紙はヘンダーソン擁護の記事を掲げた。

    「コウチーニョのフリーキックが脚光を浴びる中で、そのフリーキックを得たアルベルト・モレノにパスを出したのがヘンダーソンだったことは、殆ど話題にも上がらない。スタリッジがゴール前に割り込んだ時に、最前線でパスを受けたのは、全力で走ったヘンダーソンだった。今季開幕からやや調子が低迷していたヘンダーソンは、打ち続く批判の嵐に対して、最良の方法で答えを出した」。

    ユルゲン・クロップは、「リーダーシップ不在」の議論そのものに疑問を唱えた。「何が問題なのか、私は理解できない。ヘンドはLiverpoolでもイングランド代表チームでも重大な責任を果たしている。しかもまだ若くて成長過程にある。主将だというだけで、人々は常にパーフェクトを求める」。

    ファンの擁護が続いた。「Liverpoolでは、アラン・ハンセン、ロニー・ウィーラン、イアン・ラッシュ、ジョン・バーンズ、ポール・インス、ジェイミー・レッドナップ、サミ・フピア、ジェラード、そしてイングランドでは、ケビン・キーガン、ブライアン・ロブソン、ガリー・リネカー、スチュアート・ピアース、デビッド・プラット、トニー・アダムズ、アラン・シーラー、デビッド・ベッカム、ジェラード、ウェイン・ルーニーという面々に続くという重荷を背負っている」。

    「でも、ビッグ・クラブの主将の中にも、例えばガリー・ケイヒルやマイクル・キャリックのように、物静かな努力家タイプの主将もいる。そして、クロップだけでなく複数の一流監督から信頼されてきたことは評価すべき」。

    ボビー・フィルミーノ

    9月16日、Liverpoolはバーンリー戦に1-1と引き分け、前週のマンチェスターシティ戦の大敗(5-0)のショックからの立て直しを図って臨んだアンフィールドでの2連戦に2分と失意の週を締めくくった(9月13日のCLセビーリャ戦で2-2)。その翌日、母国ブラジルのメディアのインタビューで、フィリペ・コウチーニョが初めて「夏の移籍のゴタゴタ」について語った。

    「他のクラブから誘いを受けて、僕自身も家族も乗り気になった。それは誰もが知るところだと思う。非常に辛い1か月だった」と、コウチーニョは明かした。「しかし、それは過去の話。今は、Liverpoolで新たなシーズンを迎えて、全力を尽くすことに集中している。Liverpoolに対しては常に敬意を抱いてきた。偉大なクラブ、素晴らしいファン。トップの人々も」。

    「他のビッグ・クラブから興味を持ってもらえたのは光栄。でも、Liverpoolもビッグ・クラブだし、このクラブでプレイできることを誇りに感じている」。

    つまり、バルセロナに入る望みが絶たれた後で、コウチーニョは心機一転Liverpoolで頑張る、という決意を表明したのだった。

    これに対して、大多数のファンの意見は一致していた。「プレミアリーグ開幕戦の前日に移籍リクエストを出したことや、『架空の腰痛』で試合に出なかったなどについて、反感を抱き続ける気は全くない。Liverpoolの選手として留まったのだし、ピッチの上で過ちを償ってくれれば、心から応援する」。

    それは、セビーリャ戦で72分のサブで今季初出場を遂げたコウチーニョに対して、スタンドのファンが盛大な拍手で迎えたこととも同期をとっていた。同じように、この夏に出て行く噂の渦中になった末に留まった、他のクラブのスター選手が、ファンからブーイングの洗礼を受けた事例が多い中でのことで、全国メディアは「さすがLiverpoolファンだ」と称賛した。

    ただ、背景には、コウチーニョの「事件」の最中に、Liverpoolファンの間で、「結局、スペインの二大クラブから狙われたら、殆どの選手が、特にラテン系の選手が心を惹かれるのは仕方ないこと。その前提で、Liverpoolにいる間、このクラブに全力を捧げる選手に対しては、我々も全力で応援する」という決意があった。

    その中で、少なくないファンが指摘した。「コウチーニョは、半年前に契約を更新した際に、違約金条項を付けていなかったことが決定打となった。その意味では、狙われたのがボビー・フィルミーノだったらLiverpoolはあっさり負けていた」。

    フィルミーノが2015年にホッフェンハイムからLiverpool入りした時の契約に、100mユーロの違約金条項が付いていることは誰もが知っていた。現在の為替レートでは£92mだった。「2年前なら破格の金額だったが、今では『有能な選手』の相場。Liverpoolは、早いうちにボビーの契約から違約金条項を取り除くか、大幅に上げるべき」。

    実際に、Liverpoolファンの間で、フィルミーノ人気は急上昇していた。CL予備戦勝ち抜きを決めたホッフェンハイム戦(試合結果は4-2でLiverpoolの勝利)で、マン・オブ・ザ・マッチの活躍を見せたフィルミーノについて、地元紙リバプール・エコーは、「親しい友人であり、こんなカッコいい選手が同じチームにいるというのに、コウチーニョは何故、Liverpoolを出て行こうとしているのだろう?」と、半分ジョークを込めて絶賛した。

    この試合の解説を担当していたスティーブン・ジェラードも、フィルミーノを「超人的」とべた褒めした。「昨季末にLiverpoolのチーム一行に交じってオーストリアに遠征した時、トレーニングで最も感銘を受けたのがフィルミーノだった。こんな凄い選手と1シーズンでいいから一緒にプレイしたかった、と残念に思った」。

    プレミアリーグ初シーズンの2015-16季は、ややスロースタートを切ったフィルミーノは、その10月のユルゲン・クロップの監督就任をきっかけに、飛躍的に向上した選手の一人となった。「Liverpoolがフィルミーノを獲得した時に、正直、驚いた」と、クロップは来て早々に語った。「私は同じリーグの選手としてフィルミーノをずっと注目していた。でも、ホッフェンハイムはヨーロッパのカップ戦に出ていたわけでもないのに、どうやってイングランドのクラブがフィルミーノを発見したのか?と」。

    「同時に、ヨーロッパ中に知れ渡った選手でなかったからこそ、わずか£29mで獲得できたと思う。それは、Liverpoolのスカウト陣の有能さの証明でもある」。

    クロップの言葉通り、フィルミーノは、瞬く間にLiverpoolの攻撃陣の中枢となり、Liverpoolファンの「ボビー・フィルミーノ」チャントはスタンドの定番になった。

    それに対して、フィルミーノは、「ファンが付けてくれた『ボビー』というニックネームを気に入っている」と、笑顔で語った。「ファンが僕を名前をチャントしてくれるのを聞くと心から勇気が湧く」。

    セビーリャ戦のファイナル・ホイッスルの直後に、フィルミーノが目をくぼませていた表情がファンの脳裏に焼き付いた。PK失敗したことで、結果的に「決勝ゴールを逃した」責任を感じていた様子に、ファンは異口同音に叫んだ。「みんながボビーのような気合を持っていれば、毎試合楽勝だろうに」。

    潮流の逆転

    9月9日、インタナショナル・ウィーク明けのランチタイム・キックオフで、Liverpoolはマンチェスターシティに5-0と屈辱的大敗を食らった。37分に10人に減ったLiverpoolは、ディフェンスの脆さを暴露した上に、後半早々に白旗を上げた。昨季はトップ6との対戦で無敗(10戦5勝5分)、特にシティには最近5戦で4勝1分と優勢に立っていたLiverpoolにとっては、潮流が一気に逆転した結果となった。

    試合後に、シティの地元グレーター・マンチェスター警察のオフィシャルTwitterアカウントが、「警官が数名、イーストランド(※シティのホームスタジアム一帯の地名。地元ではシティのスタジアムの別名でもある)に向かっています。6万人の目撃者の前で、11人のグループが、無抵抗のLiverpool FCを叩きのめしたという暴力事件を起こしたためです」と、ジョークのポストで笑いを買った。

    これに対しては、「不謹慎だ」と目を吊り上げる人はなく、ユナイテッド・ファンも大喜びで、「Liverpool FCから、『リーグ優勝の望みを失った』という捜索願いは出てませんか?」などと、ジョークのコメントをポストした。これを受けて、「笑っていなければ泣けてしまう」とばかりに、Liverpoolファンは、「ジョナサン・モスはこの試合で笛を吹いたりして、レフリーになりすましていました。逮捕してください」と、ジョークに参加した。

    Liverpoolネタのジョークは全国メディアにも波及した。真面目なハイライト番組で、アナリストたちが「センターバックを補強しなかったために墓穴を掘った。第一希望のフィルジル・ファン・ダイクが得られなかったことは仕方ないにせよ、代わりの選手を取らなかったユルゲン・クロップの賭けは大失敗を見た」とまくしたてる中で、「サウサンプトンからファン・ダイクを拒否された分、元サウサンプトンの選手を取って帳尻を合わせた」と、期限日に正式発表となったアレックス・オクスレイド・チェンバレンの移籍を、ジョークに混ぜる声も出た。

    「チェンバレンは、オールド・トラッフォードでマンチェスターユナイテッドに8-2と大負けした試合がアーセナルでのデビューだった(2011年8月)。そして、アーセナルでの最後の試合ではアンフィールドでLiverpoolに4-0とぼろ負けし、Liverpoolでのデビューでシティに5-0と大敗した」とは、通常は親Liverpoolのインディペンデント紙の記事だった。

    世間一般の冷ややかな反応の中で、£35m(条件付きで最大£40m)という多額の移籍金でLiverpool入りが決まったチェンバレンに対して、ライバルチームのファンの意見は完全に二分していた。負傷欠場や調子の波で、ここ数年ぱっとしなかったという指摘と並行して、「今年の移籍市場では、£40mというのは多額でも何でもない。金額を無視すれば、戦力としてはプラスであることは確かだし、チェンバレンはアーセナルでは成長の余地がなかったように見える。クロップの下で一躍ステップアップする可能性は否定できない」という声も少なくなかった。

    それを裏付けるかのように、クロップがチェンバレンに対する期待を語った。「私がチェンバレンを始めて見たのは、ドルトムントが2014年にCLでアーセナルと対戦した時のことだった(試合結果は2-0でドルトムントの勝利)。サブで出てきて素晴らしい活躍をしたチェンバレンは、次のエミレーツでの試合ではスタートした(試合結果は2-0でアーセナルの勝利)。それ以来、私はチェンバレンを秘かに追うようになった。まだ24歳の若さながらプレミアリーグとCL、そしてイングランド代表チームでも経験豊富な選手」。

    クロップの言葉は、Liverpoolファンに期待をもたらした。「チェンバレン獲得をワクワクしながら待っていた、と言えば嘘になるが、しかしクロップが高く評価していると聞いて、勇気が湧いてきた」。

    地元紙リバプール・エコーは、チェンバレンの移籍を「潮流の逆転」と唱えた。「ウィリアン、モハメド・サラー、ディエゴ・コスタなどなど、近年の移籍市場で、Liverpoolはチェルシーに『狙っている選手』を取られ続けてきた。しかし今回は、アーセナルがチェルシーと移籍金で合意しながら、チェンバレンがLiverpool入りを希望してチェルシーを蹴った。アーセナルが週給£180,000を提示し、チェルシーはもっと高い話だったが、ロンドンの両クラブよりも低い給料という条件をのんで、Liverpoolに来た。それは、ユルゲン・クロップがロンドンの富よりも吸引力を持っているから」。

    インタナショナル・ウィーク明けにメルウッドに初出勤したチェンバレンが、エコー紙の説を裏付けた。「ユルゲン・クロップは、第三者として見ていた時から羨ましいと思っていた監督。ドルトムント時代からの実績と、そのフットボールが超一流だということだけでなく、選手と非常に緊密な関係にあること。この人なら、僕をより成長させてくれるだろうと思った」。

    そして、アンフィールドについての感想を問われてチェンバレンは、笑顔で答えた。「もちろんアーセナル時代に何度も来ているから、アンフィールドの素晴らしさは体験している。ホームの選手としてピッチに立ったら、どんな気持ちだろうと思う」。

    新ワンダー・ボーイ

    8月の移籍ウィンドウが閉まると同時に、英国のメディアは今季第一回目のインタナショナル・ウィークに注目を移した。Liverpoolファンにとっては、誰もが急務としていたセンターバック補強ができなかったなど、移籍ウィンドウの結果について賛否両論が沸き上がる中、今回のインタナショナル・ウィークは、話題を変えるために絶好の、朗報続きの週となった。

    先頭を切ったのは、ウェイン・ルーニーが8月23日前に代表引退を発表したことで空職となったイングランド代表主将に、ジョーダン・ヘンダーソンが抜擢されたことだった。続いて、ジョー・ゴメスがイングランド・アンダー21代表チームの主将に就き、Liverpoolファンの拍手は更に高まった。ほぼ同時に、スコットランド代表チームのW杯予選(対リトアニア、試合結果は3-0でスコットランドの勝利)で、新戦力のアンディ・ロバートソンがゴールを記録するという嬉しいニュースが伝わった。

    「Liverpoolの選手があちこちで活躍しているので、珍しく興味を持って代表戦を見ることができる」と、Liverpoolファンの間では笑顔が飛び交った。

    そんな時に、9月2日のW杯予選(対オーストラリア、試合結果は1-0でウェールズの勝利)で、ウェールズ代表デビューを飾った17歳のベン・ウッドバーンが、ピッチに立ってわずか4分で母国代表チームの貴重な勝利を決める「ワンダー・ゴール」を出し、ウェールズのヘッドラインを独占することになった。

    昨季はLiverpoolで、11月のサンダーランド戦(試合結果は2-0でLiverpoolの勝利)でプレミアリーグデビューを飾った直後のリーグカップ戦(対リーズ、試合結果は2-0でLiverpoolの勝利)で、コップの前でゴールを決めてLiverpoolの史上最年少ゴールスコアラーとなったことで、英国中の脚光を浴びる「新ワンダー・ボーイ」となったウッドバーンは、シーズン後半の負傷者続出時に、得点が必要な時にサブで送り出される大役を担うこともあった。

    今回のウェールズでのデビューは、勝たねばW杯本大会出場が相当厳しくなるという状況の中で、0-0のまま、万策尽きたかに見えた74分のことだった。「ミラクルが必要だった時に、ティーンエージャーがミラクルをもたらした」と、ウェールズのメディアが興奮を散りばめた記事を掲げた、「歴史的なゴール」だった。

    さっそくイングランドのメディアは、Liverpoolの最年少ゴールスコアラーになった時の一方的な騒ぎを蒸し返し、「ウッドバーンは結局、イングランドを蹴ってウェールズ代表チームに忠誠を誓った」と嘆いた。

    それに対して、Liverpoolおよびウェールズのレジェンドであるイアン・ラッシュ(Liverpool在籍は1980-86、1988-1996)が、「私の知る限りでは、ウッドバーンはウェールズ代表チームに対する忠誠は片時も失くしたことはなかった」と、あっさり流した。

    リバプール市の郊外に当たるチェシャーで生まれ育ち、8歳でLiverpoolのアカデミー入りしたウッドバーンの国籍については、Liverpoolのアンダー16チーム時代にウッドバーンを指導したコーチのデス・メイハーが証言していた。「ウッドバーンは、母方のおじいさんがウェールズ人で、お母さんの影響を受けてウェールズ人として育った」。

    17歳の若手が、緊迫した内容の試合に投入されるような落ち着きは、お母さんから授かったものだと、メイハーは、アンダー16チーム時代のエピソードを明かした。

    「学校とアカデミーチームと、チェシャーの自宅から毎日通うのは遠いし不便なので、リバプール市内に下宿させてクラブが面倒を見たい、とご両親にお願いしに行ったところ、お母さんから却下された。『子供の教育は親の責任。自宅に住むことは必須です』と、一歩も引かなかった。素晴らしいお母さんだと感銘を受けた」。結局、クラブがウッドバーンのために送迎車を手配することで、お母さんの許可を取り付けたという。

    「その頃から才能は明らかだったし、お母さんの教えを受けてしっかりした性格を身に付けたウッドバーンが、世間を歓喜させるような偉業を達成しながら、変わらず努力し続けることは、私にとっては驚きではない」と、メイハーは断言した。

    それは、ウェールズ代表監督のクリス・コールマンの言葉とも同期をとっていた。「私は長年、各年齢層のウェールズ代表チームの選手を見てきているので、ウッドバーンのことも昨日や今日、初めて知ったわけではない。ウッドバーンは、常に自信を持って冷静に行動できる選手。しかも、世の中に騒がれるような立場に陥っても、決して有頂天にならず、しっかり自分の足元を見つめて前に進むことができる選手」。

    「これまでに、すい星のごとく現れて『新ワンダー・ボーイ』と言われたかと思えば、知らないうちに消えていった選手の例は数えきれない。若手は、この先何が待っているのか、不確定要素が強い。ウッドバーンも、次の試合でスタートすることはあり得ない。レギュラーとして通用するようになるまでに、まだまだ成長しなければならない点が多い。焦らず、しっかり努力を重ねることが必要。それは、Liverpoolでも同じだと思う」。


    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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