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    新ファブ4の誕生?

    インターナショナル・ウィーク前の11月10日の週末は、マンチェスターシティがダービーで隣人ユナイテッドに3-1と圧勝して首位奪還し、2位のLiverpoolはフラムに2-0と勝ち、3位のチェルシーはエバトンに0-0と引き分けて、12戦終えた時点でトップ3が無敗と、プレミアリーグ記録を塗り替えた。BBCスポーツは、トップ5チームの最下位5チームとの対戦成績は合計20試合でトップ5が19勝(※例外はアーセナルがクリスタルパレスに2-2と引き分けた試合)と、上位と下位とのこの上なく大きい差を指摘した。

    「マンチェスターシティは、異例だった昨季のこの時点より2ポイント少ないが、例えばLiverpoolは30ポイント取っているのに首位ではないという事実が、今季のプレミアリーグのトップ優位ぶりを象徴している」と、同メディアは結論した。

    そして、圧倒的多数のアナリストがマンチェスターシティの連覇を予想する中、その一人であるガリー・ネビルが真面目な表情で語った。「チェルシーは新監督下で選手たちが自信を取り戻し、良いスタートを切ったが、遅かれ早かれポイントを落とし始めるだろう。シティと競えるチームは唯一、Liverpoolだけ」。

    自分の古巣であるユナイテッドが、チーム力の差を見せつけられて惨敗したダービーの余韻の中で、ガリー・ネビルは冷静な口調で締めくくった。「シティとの競争で、Liverpoolにとって最大の難点は、他のチームからの援護射撃は全く期待できないこと」。

    全国メディアやアナリストがマンチェスターシティの優位を掲げる傍らで、Liverpool陣営は自分たちの足元固めに専念する決意を貫いていた。「自分たちがコントロールできないことだから、シティの勝敗は全く意識していない。自分たちの次の試合に勝つことだけを考えている」というユルゲン・クロップの言葉に、ファンは大きく頷いた。

    「フロント3はまだフル回転とは言えない中で今の成績を維持しているのだから、先行きは明るい。夏の新加入選手たちが着実に戦力になっていることも明るい要素だし、フラム戦では怪しい判定の恩恵を受ける運も向いてきた。シーズンは長い。確実に自分たちのプレイを向上させてポイントを蓄積して、シティにプレッシャーを与え続ければ何が起こるかわからない」。

    フラム戦の「怪しい判定の恩恵」について、「ハル・シティ時代にビッグクラブに痛めつけられた経験が思い出された」と、試合後にアンディ・ロバートソンが同情を込めて語った。「先制ゴールをオフサイドとされて相手がひるんでいる最中に、素早いカウンターでゴールを決めるというのは、ビッグクラブの貫禄。フラムには気の毒だが、我々はビッグクラブがやるべきことをやった」。

    この試合でマン・オブ・ザ・マッチ候補の活躍を見せたロバートソンは、今季通算5とLiverpoolの最多アシストとなったジェルダン・シャチリの2点目について質問されて、「素晴らしいゴールだったと思う」と目を輝かせた。

    「ロバートソンは、降格したクラブから格安の移籍金で入ってきて、ピッチの上で世間の冷たい反応を覆してLiverpoolファンの熱烈な支持を受けるに至った選手。同じ道をシャチリが歩みつつある」と、地元紙リバプール・エコーがLiverpoolの明るい要素に着目した。

    「今季これまでの『Liverpoolの意外な数字』の一つが、フラム戦でも両ゴールに貢献したフルバックのアシスト記録。もう一つは、フロント3(モー・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノ)とシャチリが4人揃って試合に出たのは合計204分だが、その4人は23分ごとに1ゴールという高い得点頻度。昨季前半の『ファブ4(※4人目はフィリペ・コウチーニョ)』は32分ごとに1ゴールだった実績を考えると、『新ファブ4の誕生』と言っても過言ではない」。

    「素晴らしいクロスだった」と、シャチリは、ロバートソンの誉め言葉をそのまま返して、自らの役割について語った。「サブで出て試合を変えることも、スタートして良いプレイをすることも、チームの勝ちにつながるならばどちらも同じ」。

    そんなシャチリに対して、ファンの間で支持が急上昇しているというのは、エコー紙の記事の通りだった。「ストークでひときわ目立っていたシャチリは、有能なチームメートに囲まれれば更に磨きがかかって一層良いプレイを発揮する選手だと期待していたが、その通りだった」と、ファンは笑顔を見合わせた。

    ファンの声援が着実に高まる中で、シャチリは力強く語った。「週中のCL戦で(対レッドスター)2-0と敗戦を食らった後だったから、フラム戦は、勝って自信を取り戻してインターナショナル・ウィーク入りすることが必須だった。自分たちが勝ち続けることが重要」

    試合に勝つのはストライカー、リーグ優勝を取るのはディフェンス

    11月初旬にLFC TVがバラエティー番組として放映した、フィルジル・ファン・ダイクとジョー・ゴメスのQ&Aが、ファンの間で大きな話題になった。これは、2人にそれぞれ質問し、片方の回答をもう一人の方が当てるという、お馴染みの仕組みだった。自分の容姿で最も自信がある部位はどこか、など爆笑ものの質問の中で、誰もがほろりと来たのが、お互いの第一印象についての証言だった。

    「とても共通点があり、息がぴったり合う」と笑顔で語ったファン・ダイクに対して、「フィルジルが入ってきて、初めて会話した瞬間に波長が合った」とゴメスは頷いた。そして、二人が同時に「僕はクリーンシートが大好きだ」と声を高めたエンディングに、ファンは一斉に拍手を送った。

    「これから何年にも渡ってLiverpoolのセンターバックを固めるだろう二人は、ピッチ内外で絶妙のコンビを発揮している」と、ファンは、事前予想を大きく上回る安定したプレイを見せているゴメスの成長ぶりについて特に、感心を新たにした。

    2015年夏に、18歳で、地元ロンドンの2部のチャールトンからLiverpool入りしたゴメスは、即座に才能が認められてファーストチーム入りしたが、わずか7試合で、イングランド・アンダー21代表チームでの試合中にじん帯を痛めてしまった。その後、復帰直後に再度負傷するという憂き目に合い、ほぼまる2年を棒に振った上に、昨季末にも負傷でシーズンを終えるという失意の連続だった。

    この夏に、ファン・ダイクの長期的なパートナーとなるべくセンターバック補強の話が出た後で立ち消えた時には、ユルゲン・クロップがゴメス起用を計画しているという説が飛び交った。それに対して、ファンの反応は二分していた。「ゴメスの才能は明らかだし、元々センターバックを目指していたことは周知の通り。しかし、長期負傷の後で、しかも、これまでフルバックで出ることが多かった21歳の経験不足の若手が、いきなりワールドクラスのファン・ダイクのパートナーとは、荷が重すぎるのでは?」という、懸念の声は少なくなかった。

    ふたを開けると、ゴメスはファン・ダイクのパートナーとして定着し、シーズンの4分の1が過ぎた時点で、Liverpoolのディフェンスの中で最もスピードがある(時速21.6マイル)という統計すら出ていた。

    10月のインターナショナル・ウィークでは、イングランド代表チームでも(対スペイン、試合結果は3-2でイングランドの勝利)、マン・オブ・ザ・マッチの活躍を披露したゴメスの評価は、全国的に高いレベルに定着していた。

    そんな中で、デイリーメール紙のインタビューでゴメスが明かした「Liverpool入りした時に、初めての一人暮らしで苦労した意外な事実」が、ゴメスに対するイングランド中の好印象を更に後押しすることになった。チャールトン時代は7人家族の自宅から通っていたゴメスは、Liverpool入りして一人暮らしとなり、料理が出来ずレトルト食品に頼っていた。それを聞いたメルウッドのシェフが、毎日お弁当を包んでくれることになった。

    幼なじみのガールフレンドがロンドンの大学に在学中で、週末だけ会いに来る生活だった間は、ゴメスは毎日お弁当を持ってアパートに帰り、一人寂しく暮らす日々だったという。「毎日2食同じものだったけど、すごく美味しかったし、クラブやスタッフがそうやって僕を助けてくれたことがとても嬉しかった」と、ゴメスは笑顔で語った。今は、大学を卒業したガールフレンドと二人暮らしになり、お弁当も不要になった。

    私生活の苦労と同時に、長期にわたった負傷とリハビリの苦悩も断ち切ったゴメスは、「我がチームのフロント3は世界一と言われる程の高いレベルにある。ディフェンスがそのくらい評価を受けるようになれば、どれほど強力なチームになるか」と、力強く語った。

    「試合に勝つのはストライカー、リーグ優勝を取るのはディフェンス」とは、フットボール界の定説にもなっていた。ゴメスの言葉に、ファンは異口同音につぶやいた。「21歳のゴメスからこんな言葉が聞けるとは感激だし、そのような有能な若手を発掘して、指導して一人前の選手に育てる方針を実践する監督がいる限り、このクラブの将来は明るい」。

    プロフィール

    ピーエルエフジェイ

    Author:ピーエルエフジェイ
    平野圭子(ひらのけいこ)
    プレミアリーグ ファングッズ店長です。

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